2025/12/14
パフォーマンスセンター モデル627 5 inch カスタム 8 Shots

Nフレームは.357口径であれば、8ショットシリンダーにすることが可能となっている。“リボルバーは6連発”、という認識はもう過去の話なのだ。今回はパフォーマンスセンターがリリースしている5インチ仕様に、ちょっとだけ手を加えたカスタムモデルをご紹介したい。
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ある日、タランの個人コレクションの中にもモダンなリボルバーが含まれていると聞き、それが何なのか、見せて貰った。今回ご紹介するS&W モデル627カスタムがそれだ。
シューティングスポーツ業界においてリボルバーのトップシューターといえば、ジェリー・ミチュレック(Jerry Miculek)が広く知られている。しかし、他の一流シューターの中にも、競技経歴の中で一時期リボルバーに傾倒していたことのあるシューターは少なくない。メジャーマッチにはリボルバーで参戦していなくとも、ローカルマッチにおいて腕試しを重ねてきた者たちだ。実はタランもそんな一人であった。
日頃はセミオートを中心に撃っている印象が強いだけに、タランとリボルバーという組み合わせは結構意外だ。西部劇映画ファンでもあるタランが、コルトSAAといったSA(シングルアクション)リボルバーを複数所有していたり、『ダーティハリー』ファンでモデル29-2を持っていることは以前から知っていたが、他にもモダンなDA(ダブルアクション)リボルバーがそのコレクションに含まれていたということはとても新鮮だった。
タランは史上初めてグロックを使ってUSPSAの最高峰、GM(グランドマスター)へと昇りつめたことで知られているが、その後もっとも新しいリミテッドオプティックス部門も含めて、全てのディビジョン(部門)でGMの称号を獲得している。つまりリボルバーでもGMの地位を獲得しているのだ。
2012年にタランが立ち上げたカスタムガンメーカー、TTI(Taran Tactical Innovations)は、カスタムグロック、自社ブランドの2011シリーズ、さらにはカスタムベネリやAR系ライフルまで幅広くラインアップしている。

USPSAには全米共通のクラシファイア(Classifier)ステージが多数設定されており、ローカルマッチではその中からステージがランダムに採用される。各ステージで記録されたステージハイヒットファクターに対する達成率に基づき、出発点であるDクラスから最高位のGMまでランク付けが行なわれる仕組みだ。GMの認定には95%以上という極めて高い達成率が求められ、極端に低い成績を除外した上でもっとも新しい8つの結果の平均値が95%を超えていなければならない。この基準に到達することが容易ではないのは言うまでもない。
リボルバーは装弾数がセミオートより少なく、さらに重く作動距離の長いDAトリガーであればセミオートに対して不利な条件が多い。しかしクラシファイアの設定値は部門ごとに独立しており、各ディビジョン内で公平に平均化されるよう調整されている。このため、リボルバー部門はリボルバー部門として適正に評価される仕組みとなっている。
全長:241mm, 全高:155mm, 銃身長:127mm, 全幅:43mm, 重量:1,236g
Images courtesy of Smith & Wesson
モデル627
1935年に登場した初の357マグナム6連発リボルバーが、その名もズバリ、“357 Magnum”だ。当時最大のNフレームを採用、その時点では世界最強のリボルバーとなっていた。そんな357マグナムは、仕上げの良さに加え、1939年まではカスタムオーダー制を導入していたことで、レジスタードマグナムとも呼ばれていた。これは当時のS&Wにおけるトップ ザ ラインに位置付けられた存在であった。
第二次大戦中は製造が中断されていたが、戦後になるとアップデートしたものが再登場する。さらに、より実用性と手頃な価格を重視する市場向けとして、仕上げを簡素化した廉価版、ハイウエイパトロールマン(Highway Patrolman)が1954年に加わった。こちらの外観はマットブルー仕上げとなり、バレル上のチェッカリングなどの高級仕上げを省略することでコストを抑えた実用モデルとなっている。
1957年になると、357マグナムはモデル27、ハイウェイパトロールマンはモデル28のナンバーが与えられている。
しかしその後、357マグナムはKフレームが主流となり、1980年にはLフレームが登場したことで、Nフレームの357マグナムは口径に対して大きく重すぎるという意見が寄せられるようになった。
実用品としてよりコレクションにおける美しさを優先し、リボルバー全盛期の仕上げと風格を再現したクラシックシリーズから、モデル27が現行モデルとして販売されている。バレル長は4インチ($1,209)と6 -1/2インチ($1,249)から選べる。美しいブルー仕上げが大きな特徴だ。
クラシックシリーズはサイドプレートが4 Screwとなっている。これは1956年以前のモデルに備わっていた特長だ。
Images courtesy of Smith & Wesson
しかしS&Wは、その特徴をむしろ逆手に取った。設計技術や素材製造技術の向上により、安全性を維持したままシリンダーの肉厚を薄くすることが可能となったことから、Nフレームの大型シリンダーに357マグナムを8発装填できるモデル627を1996年に発表、これによりNフレームの357マグナムは再び大きな注目を集める事となった。
357マグナムで8発というファイアパワーはリボルバー愛好家にとって衝撃的であった。当時、アサルトウエポンバンの影響で、ハイキャパシティマガジンのオートでも民間市場向けの装弾数は10発+1に抑えられていた。11発 vs. 8発なら、その差はわずかだ。結局、アサルトウエポンバンは2004年に失効し、オートとリボルバーの装弾数の差は大きく開いたが、その後も8連発リボルバーは一部で人気を保っている。
そもそもリボルバーの強みはそのカートリッジのパワーにある。オートは設計上、全長の長いマグナムカートリッジの使用は不向きだ。長いカートリッジをグリップ内のマガジンに収めようとすれば、必然的にグリップが大型化し、手の小さな射手には保持しにくくなる。実際にクーナンやデザートイーグルなどのモデルも市場にはあるが、グリップサイズは万人向けとは言えない。
これに対し、リボルバーはグリップのサイズを変更する必要はない。加えるとすれば強力なリコイル対策としてクッション性の高いラバーグリップなどを組み合わせることになる。またリボルバーは構造がシンプルで強度を高めやすく、長大なマグナムカートリッジの発射でも十分な強度を与えることは設計上、オートよりも容易だ。
また装弾数以外の面でもリボルバーにはオートに対する優位性がある。言うまでもなく、オートに特有のフィーディングやエジェクションに起因するジャムが発生しないという高い信頼性と安心感を備えている点だ。
このような特性から熊などの危険な大型獣と遭遇しやすい地域で生活する人々の間では護身用の“ベアガン”として、マグナムリボルバーは現在でもオートに置き換えられることもなく高い人気を保っている。
38スペシャル/357マグナムを8発装填できるモデル627は、競技リボルバーシューターにはたまらないモデルとなっている。パワーファクターが問われない競技では、38スペシャルや、さらに短い38ロングコルトなどがリコイルが小さくて撃ちやすいとして人気だ。


