2025年12月号

2025/11/19

【NEW】補足レポート:XDMエリート 3.8" コンパクトOSP マグスリーブの撃ち心地【動画あり】

 

10月13日配信の“スプリングフィールドアーモリーXDM Elite 3.8" OSP”のレポートの補足をさせて頂きたい。グリップの握り具合を改善するマグスリーブを使っての射撃に関することだ。これを使うとフルサイズ並みのグリップ感が得られる。

 

*それぞれの画像をクリックするとその画像だけを全画面表示に切り替えることができます。画面からはみ出して全体を見ることができない場合に、この機能をご利用ください。

 

 グリップ部の短い3.8インチのコンパクトモデルに、XDMフルサイズ用のマガジンを挿入して使用する際に、グリップの安定性を高める機能があるマガジンスリーブを前回のレポートの中でご紹介した。しかし、実射シーンの撮影はスリーブの入手より前におこなっていたため、スリーブを装着した時の射撃感などについては、お伝えできていない。そこで、これを装着した状態での実射レポートをここに追加補足させて頂きたいと思う。

 

▲サブコンパクトであるXDM Elite 3.8” OSPとマイクロコンパクトのHELLCAT
全長はそれぞれ171.45mm(6.75“)と152.4mm(6”)で、XDM Elite 3.8”は約19mmほど大きい。*この2枚は別々に撮影したものを組合わせたもので(角度がちょっと違うのでお判りでしょうけど)、大きさの比率は概ね合っているものの正確ではありません。


 前回の重複になるが、フルサイズを切り詰めて作られたサブコンパクトは、 新規設計により、小型で薄く作られたマイクロコンパクト(スプリングフィールドアーモリーでいえば、ヘルキャットがこれに相当する)と比べて、操作性が高いという利点がある。またフルサイズのマガジンがそのまま使用できるという事も魅力だ。
 但し、短いグリップフレームに長いマガジンを差し込んだ状態は握りやすいとは言い難い。特に大幅にグリップ部が短いXDM Elite 3.8" OSPの場合、それが顕著だ。
 

▲XDM Elite 3.8”コンパクトには、XDMフルサイズ用のマガジンを使用できる。写真は19連マガジンを装着した状態だ。

 

 そのため、スプリングフィールドアーモリーでは、握り心地を改善するためのマガジンスリーブが作られている。使い方は簡単で、単にフルサイズマガジンに被せるだけだ。

 

▲これがそのマガジンスリーブ。単にマガジン本体に写真のように被せるだけの構造ながら表面テクスチャーはXDMシリーズのグリップデザインに準じており、外観上の一体感もある。

 

▲左:付属のマガジンを装着して銃を握った状態。少し短すぎてベースプレート部分にちょうど小指がかかり、やや不安定な握り心地となる。
右:スリーブ付き19連マガジンを握った状態。ショートマガジンよりも圧倒的に安定感が向上する。


 

▲Mag Sleeveは19連マガジンにそのまま装着するだけで、まるでグリップが延長されたかのように保持力が向上する。スリーブ自体はXDMシリーズのグリップデザインを再現しており、自然に握り込むことができる。ただし、マガジンが固定された状態でも若干のガタがあり、わずかな違和感は残る。とはいえ、小指の置き場が確実に確保されていることは大きな利点だ。

 

▲▲フルサイズ相当のグリップ長となったことでリコイルコントロールが大きく向上し、発射時のリコイルそのものもよりソフトに感じられる。グリップの安定性がシュータビリティを大きく引き上げられるのだ。

 

▲人間工学的に小指にしっかりと力を込められるようになったことで、グリップ全体にかける握力も向上する。なんでも手のひらのアーチ構造の関係で小指が確実に乗らない場合は親指方向に力が逃げてしまい効率的に伝わらず、握力は10~20%程度低下するという話を聞いた。

 

Springfield Armory XD, XDM Elite Compact, Hellcat撃ち比べ(Mag Sleeve無し)実射動画

 

 サブコンパクトを日常的にキャリーする際、グリップとフラッシュフィットする小型マガジン(14連)を使用することでコンシーラビリティを高め、この時、フルサイズ用マガジンも手元に用意しておけば、いざという時にはファイアパワーとコントロール性能を大きく向上させられる。
 スリムなマイクロコンパクトでも大容量マガジンがどんどん増えているのが現状だ。ヘルキャットの場合、スタンダードで11発、エクステンデッドだと13発であったが、その後、15連マガジンが追加された。社外品ではヘルキャット用32連マガジンがProMagから出ている。
 やや大型化したヘルキャットPro用は15連マガジンがスタンダードで、17連マガジンもある。これらにエクステンデッドベースプレートを装着すれば、2発から4発程度の増量も可能だ。
 従ってフルサイズをベースにしたサブコンパクトの場合、装弾数での優位性はほとんどなくなりつつある。しかし、フルサイズのマガジンを用い、サブコンパクトならこのようなマガジンエクステンションを用いることで、その操作性や撃ちやすさをフルサイズに近づけられる点は大きな魅力だ。
 一方、マイクロコンパクトにはロープロファイルキャリーという明確な強みがあり、使用目的に合わせて、双方の特性を生かした使い分けをするのがベストであろう。

 

Text & Photos by Yasunari Akita

 

Gun Pro Web 2025年12月号

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

RELATED ARTICLE 関連記事