2025/10/05
【NEW】タナカ Evolution 2 快音カートリッジ その実力【動画あり】

タナカが2021年に発売したエボリューション2快音カートリッジについて、遅ればせながら、詳しくご紹介したい。モデルガンのブローバックカートリッジとして、タナカがCPとは異なる独自デザインにこだわるのには、明確な理由があるのだ。
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1994年、タナカは独自設計のブローバックモデルガンを発売した。それがP226で、あれからもう31年が経過している。
この間、P226は何度もアップデートを繰り返した。現在のモデルは2019年に新型EVO2カートリッジに対応する形で登場したEvolution 2で、その最新型がオールヘビーウェイト仕様だ。
EVO2カートリッジは、その材質をそれまでの真鍮ではなく硬質アルミとし、カートリッジ内でキャップ火薬を発火させる“トップ”と呼ばれるパーツにガス抜きスリットを設けることで、ガスの抜けを良くしたものだ。
これを使うP226のEvolution 2仕様は、銃本体のリコイルスプリングガイドに衝撃吸収バッファーを組み込み、スライド内側のスライドストップを受ける部分には補強プレートを追加、バレルの素材も変更するなど、各部の耐久性を著しく向上させている。
そして2021年秋、タナカから“エボリューション2快音カートリッジ9mmパラベラム”が発売された。EVO2カートリッジのトップを改良、ガス抜きスリットをやめ、4つの小さな穴をトップ部に設けている。これによって発火ガスをより中心に近いところから逃し、音の抜けを良くした。またこれによってOリングへの負担が少なくなっている。
この快音カートリッジは、既存のEVO2カートリッジとの互換性があるため、銃本体はEvolution2のまま使用可能だ。
快音カートリッジが発売されてから約4年が経過しているが、Gun Professionals誌でこのカートリッジにフォーカスを当ててその詳細をレポートしたことはない。そこで今回、遅ればせながらテストしてみた。
Evolution2(エボリューション2) 快音カートリッジ
10発セット 材質 アルミ(アルマイト) 5mmキャップ火薬1個使用 \9,900(税込)
マルシンから発売されたプラグファイヤーカートリッジに対抗するべくして作られ、その後の閉鎖系カートリッジの主流となった。キャップ火薬の撃ち殻はその後、利用されなくなってOリングをセットしたトップに変更されているため、その名称とは実態が異なっているが、CPの名前はすっかりと定着し現在に至っている。細部の仕様はこの43年間に少し変わっているが、基本的なデザインはそのままだ。
CPカートリッジがブローバックカートリッジの主流になったとはいっても、2025年10月現在、CPカートリッジ、またはその発展型カートリッジを使うモデルガンを生産供給しているメーカーは、B.W.C.とMULE、TANIO KOBAのみとなっている。製品の供給数でいえば、タナカの方が多いだろう。だとするとCPが主流だとは、もはや言えないのではないだろうか。
タナカのカートリッジは、CPカートと比べて、パーツ点数が多い。この構成になったのは、1994年にP226と共に発売されたパラレルディビジョンカートリッジ(略してパラカート)と呼ばれる樹脂と真鍮を組み合わせたタナカ独自のカートリッジがその原点にあるからだ。
パラカートは黒い樹脂製の本体が左右分割で作られ、それを束ねる真鍮製の筒で外装が構成されている。その樹脂製の本体内部には、筒状の真鍮製ライナー、アンビル、トップが収まる。ライナーを組み込んだのは、カートリッジ本体が樹脂製だったためだろう。このパラカートはあまり評判が良くなかったのか、比較的すぐに真鍮製の他社製と同様のカートリッジに変更された。しかし、ライナーを組み込む内部デザインはそのまま残って現在に至っている。
カートリッジ本体が真鍮製になったので、もはやライナーを組み込んで部品点数を増やす意味は無いと思いがちだが、この形式は別の利点も生んでいる。
ブローバックカートリッジは狭い空間内に少量の火薬(雷管)を燃焼させ、その時に発生した圧力で可動パーツをカートリッジ内で移動させることで、スライドを後退させ、これによって排莢、次弾の装填を可能としている。
このカートリッジ内の空間は狭いほど発生する圧力が高まる。実銃が銃弾を高速で撃ち出すことができるのは、チェンバーという半閉鎖空間内で弾薬の発射火薬が急速に燃焼するからだ。これによって発生した圧力で前進したブレットは、バレルというタイトな筒状の部分を通過する間も火薬の燃焼圧力を受け続け、それによって数km先までブレットを高速で飛ばす。
チェンバー内でなく、解放された空間に弾薬を置き、その薬莢内の火薬を何らかの方法で燃焼させたとすると、ブレットは力なく飛び、おそらく数m先までしか到達しない。チェンバーがボルト、またはブリーチフェイスで閉鎖された半密閉空間であるからこそ、火薬の燃焼は高圧を発生させるのだ。
火薬量は圧倒的に少ないが、ブローバックカートリッジも同様に半密閉空間を作り出してヘッド部を高速で動かし、それがスライドを後方に動かす。タナカのカートリッジはライナーと5mmキャップを用いて、CPカートリッジよりも狭い空間を作り出し、これがパワフルなスライドの動きを生み出しているのだ。
5mmキャップと7mmキャップは見た目の大きさは大きく異なるが、どちらも一粒当たりの薬量は0.01g以下で同じだ。従ってCPカートリッジと比べて、狭い空間で火薬を燃焼させるタナカのカートリッジは、より大きなパワーが得られるものとなっている。
タナカは2021年に快音カートリッジを発売する少し前の5月、9mmパラベラムのWキャップカートリッジ(EVO2仕様専用)を発売した。こちらは7mmキャップ火薬を使用する。
価格:¥7,150(税込) 7発セット
これをEvolution 2仕様のモデルガンで使用する場合は、専用のフロントファイアリングピン(¥1,650:税込)に交換する必要がある。


