2025/09/19
コルトコブラ vs ニューコブラ 新旧毒蛇対決!

Gun Professionals 2018年2月号に掲載
コルトが2017年に発売した最新ダブルアクションリボルバー、その名は“コブラ”。これはもう往年のDフレーム コブラと対決させるしかない。というわけで新旧毒蛇対決と相成った。旧コブラが登場したのは1950年のことだ。それから67年後に生まれた“シン・コブラ”が、まさか旧コブラに劣るわけがない…と言いたいところだが、なんといってもコルト製。一抹の不安がよぎる。これはもうプラスPのパワー全開で勝負に臨もう!
NEW COBRA
コルトがニューコブラを発表して、そろそろ一年が経つ(2017年末時点)。市場での人気は上々のようで、未だに供給が安定しない。
近隣のガンショップを片っ端から回ったが全く見付からず、一軒だけ置いていた店では非売品の表示。
行きつけのショップの話では、「発売以来2挺だけ入ってすぐ売れた。その後、全然来ない」といった状況らしい。
この品薄に乗じて、標準小売価格の699ドルを遥かに超える820ドルの値段を付けたテーブルをガンショーで見掛けたりしたのは、2018年1月号のガンショー日記にも書いた通りだ。昨今、コルトの過去の製品はべらぼうな高騰なので、さてはニューコブラの品薄もコルトが値崩れしないように生産調整してるんじゃないかとか、どうしても勘ぐってしまう。
ご覧の一挺は、結局、ネットで購入したものだ。実はかなり恐々だった。というのも、自分は過去に通販で面白くない体験を何度かしている。第一、現物を手に取って見れないのはツライ。それに輸送中の紛失事故等も怖い(結構起こります)。また、返品可能を謳っている場合でも、返送料金に加えてディーラーの手数料も必要となってくる。銃器類は、FFLを持たない人間が勝手に郵送してはいけないし、直接自宅へ郵送して貰うのも法律上ご法度だ。必ずFFLを通さねばならず、その際、いちいち手数料を取られる。さらに返品となるとRe-Stock料をチャージされる場合もあったりで、リスクが一杯なのだ。
しかし、リスクばかりではない。他州からの通販購入なら、売上税⦅日本の消費税に近い)は免除される。アメリカの場合、売上税は州ごとに管理され、レートも違う。ガンショーとかでも、他州から来たディーラーから買い物をする場合、売上税は払わなくても済む。
と、ココまでじくじく考えないと実行できない小心者の筆者なのだが、今回は新品銃なのでコンディションはとりあえず心配ないはず。もしも不備があれば、メーカー保証も使えるしとネットを覗いたところ、たまたま、お隣りのインディアナ州のショップが649ドルというグッドなプライスを出しているのを発見。送料の30ドルに、こちら側のFFL代の25ドルを合わせても本来の定価+売上税(イリノイのレートは現在8%)より安くなる計算ということで、決断した次第だ。
幸い、モノも無事に届いて一安心だった。何かあったら、車で走ってクレーム付けに行くつもりだったんだけどね。
毒蛇の逆襲
というわけで、ニューコブラだ。.38口径6連発の小型DAリボルバーだ。
すでに述べた通り、コイツはバリバリの新製品。2017年の登場である。プレス系へのリリースは2016年の11月にGunsiteで行なわれ、翌17年1月1日に情報が解禁。同年のSHOT SHOWで一般にお目見えした。
コルトのDAリボルバーとしては久々の新型だ。確か、ディテクティブのステンレス版である95年のSF-VI(後のDS-Ⅱ)以来か。
全身マットシルバーの上品で落ち着いた佇まい。バレルに堂々打たれた+Pの表示が頼もしい。最新の銃だけあって、フレーム右側面にはQRコードなども見える。
手に取れば、各部のエッジが強烈に鋭い。コレはメリハリを通り越して指を切りそう。往年のコルト製品がバフだれ気味だったことを思うとかなりの変化だ。ココは出来れば、もうちょい優しい肌触りでも良かったのではないか、といったところが第一印象である。
コルトが今回、リボルバー復活第一弾(?)として小型のスナブノーズを出してきたのは、まあ常套手段だろう。つまり、護身用である。コンシールドキャリーというカテゴリーだ。オート全盛の今、リボルバーが潜り込める余地はかなり限られている。護身用は最後の切り札、砦と言っても過言ではない。
無論、ファンとしては中型のVフレームやら大型のアナコンダ等が復活したら楽しい。恐らくコルトには、既に大量のリクエストも集まっていることだろう。しかしそれらは、もう用途が非常に限られているし、言ってしまえば趣味のエリアだ。マニア向けオンリーで採算が取れるものでもない。それに元々コルトのDAメカは、PPC等の競技には向いていないという傾向もある。ライバルのS&Wにしても、リボルバーは昔ならK フレームが主力だったのが、今はこれまた護身用のJフレームに主軸が移っているのが現実だ。
と、堅苦しい話は大概にして、旧コブラは軽量アルミフレームが売りだったが、コイツの材質はステンレスだ。だから本来、名称はニューコブラじゃなくてニューディテクティブ或いはDS-Ⅲとするべきだったろうが、やはり響きの良さとヘビ系での統一を狙ったか。ということは、もしも将来、アルミフレーム版が出たらどうなる? それはニューエージェントと呼ぶのか?
おっといけない。名前の件も置いといて、コルトに詳しい方なら、このニューコブラを見てハハ〜ンと思われた向きも多いかもしれない。
そうだ。「コレってもしや、SF-VIの単なる復刻なんじゃないの?」という疑問だ。実は自分も、そう睨んだクチである。
86年、コルトはディテクティブ系D フレームの生産をいったん終了。その後95年に全面的な改良を施し、ステンレスで復活させたのがSF-VI(Small Frame-6 Shotの意)だ。従来のコスト高のメカにMKV系のアレンジを加えて、ハンドフィットが極力省けるようシンプル化。外観も一新し、S&Wのレディスミスの対抗馬という位置付けだった。製造はコルトが通常販売リボルバーの生産をギブアップする99年まで続き、最終年には.357にボアアップした“マグナムキャリー”なども出た。
あれから17年。
経営不振やら倒産やら身売りやらと、浮き沈みが激しいコルトが、今さらメインストリームから外れるリボルバーなど真面目に作ってくれるだろうか? オートならともかく、DAリボルバーを新規で設計する余裕や能力が、果たして同社に残っているのだろうか?
右:旧コブラの銃口。こんもりラウンドのクラウンがレトロな風景。ライフリングはこちらも6条左回りだ。
右:旧コブラのボディ。厚みは14.3mmで、ニューコブラより僅かに薄い。アルミ合金のアナダイズド仕上げは妙にテカテカしているが、トリガーガードは往年の美しい眉型だ。サイドプレートの先端の割り位置が異なる点に注意されたし。
右:旧コブラのフロントサイトはバレルと一体型。時期によって台座の様子が多少異なる。厚みはたっぷりの2.8mmで反射除けのセレーションも入る。全体が艶消し仕上げなのも抜かりが無い。


