2025/08/28
【NEW】CZ BREN 3 アドバンスドアサルトライフル【動画あり】
CZの進化型アサルトライフル BREN 3
2016年に登場しチェコ共和国軍で配備が進められたBREN 2だが、2024年には早くも次世代型BREN 3が誕生した。両者を見比べると、外観はよく似ているものの、その機能は大幅に進化していることに気付く。CZは新たなる高みを目指しているのだ。
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805 BREN、そしてBREN 2
かつてワルシャワ条約機構(Warsaw Treaty Organization / Warsaw Pact Organization)に属していたチェコスロバキアは、1993年にチェコとスロバキアに分離し、1999年にNATOに加盟した(スロバキアは2004年に加盟)。ワルシャワ条約機構の中で、唯一AKファミリーではなく、独自設計のVz58を装備していたチェコスロバキアは、分離後も7.62×39mm弾を使用するVz58を装備続けた。それでも、これをNATO弾である5.56×45mmのライフルに更新する計画が、NATO加盟以前からずっと模索されていたことがよく知られている。
しかし、莫大な軍事予算を必要とするライフルと弾薬の変更は困難を極め、これが実行されるのは、2011年まで待たねばならなかった。
この時、CZ(Česká zbrojovka Uherský Brod)が開発したCZ 805 BREN A1およびA2が採用されたが、これはNATO規格の新型アサルトライフルとして、ヨーロッパでは高い注目を集めたことを記憶している。
805 BRENは5.56×45mm NATO弾を基本口径としつつ、モジュール交換により7.62×39mmにも対応する多用途設計を採用、レシーバーはアルミ削り出し、ストックは折りたたみ伸縮可能なチークピース付き、操作系は完全アンビ仕様というモダンなスペックを持っていた。撃発メカニズムはAKデザインを近代化させ、これとマイクロロッキングラグを装備するボルトアッセンブリーと組み合わせている。
しかし、現場での運用が進むにつれていくつかの問題点が浮き彫りになってきた。特にその重量(約3.6kg)が問題視され、併せて、中途半端な操作性、工具を要する分解方法、STANAGマガジン非対応など、支給された兵士達から様々な不満が挙がってくるなど、早期に改良が必要な状態に陥った。
それらの声を受けて、CZは2014-2015年にかけて“マイナーチェンジ版805”を限定的に製造した。これは公式には“805 BREN A1/A2 2015”などと呼ばれるものだ。チャージングハンドルの再設計による操作性の向上、撃発メカニズムの軽量化、STANAG対応マガジンウェル、バランス調整などが施されている。この“密かな改良型”は主にチェコ軍特殊部隊や一部国外顧客にも出荷され、のちのBREN 2に至るパイロットモデルとなった。
そして2016年、ついに本格的なアップデートモデルとして登場したのがCZ BREN 2だ。レシーバー形状を刷新し、ポリマーとアルミの複合構造で大幅な軽量化を実現している。マガジンはAR互換のSTANAG仕様に統一され、チャージングハンドルは非貫通型のリバーシブルデザインへ変更している。セレクターやボルトリリースも人間工学的に再設計され、現代的な操作性を持つものとなった。
このBREN 2には、カービン型(5.56mm/7.62×39mm)に加え、DMR(Designated Marksman Rifle)を意識した7.62×51mm口径の“BREN 2 BR”も用意されている。16インチバレルを持つこのモデルは、スコープ搭載前提で、セミオート射撃に特化し、中距離狙撃を担う兵士向けの、いわば戦術的セミオートスナイパーライフルとしての側面を持つものだ。
さらに、軍・警察の特殊部隊向けとして短銃身型(SBR)なども展開され、BREN 2は多用途モジュラーシステムとして国際的な評価を確立していった。
より洗練された第三世代 ― CZ BREN 3 の特徴と進化点
BREN 3は、BREN 2の完成度をさらに高め、次世代制式火器に求められるあらゆる要素を盛り込んだ、より洗練させたモデルとして2024年に発表された。外観こそBREN 2と似ているが、各部にはこれまでの配備実績によるユーザーからのフィードバックを元にした数多くの改良が加えられている。

- 設計・製造:Česká zbrojovka Uherský Brod(チェコ共和国)
- 作動方式:ガスピストン式、ロータリーボルトロック
- セレクター:セイフ/セミ/フルオート(ミリタリー仕様)

■ BREN 3 9 inch 300 AAC Blackout
- 銃身長:229mm(9インチ) 1:5” 4R
- 全長:520mm / 715-785mm(伸縮・折畳式ストックにより可変)
- 重量:約3.1kg
- マガジン:30連(STANAG規格)
BREN 2からの主な変更点
1. レシーバー構造の見直し extruded aluminum monolithic upper
BREN 3では、アッパーレシーバーに使用される素材と構造を全面的に見直し、7075-T6航空機グレードアルミ合金による押出一体成型となった。これによりアッパーレシーバーの硬度を上げているが、さらに可動部にはスチール補強を配置し、耐久性と剛性を高めている。
また、従来のBREN 2ではバレルの長さが違うだけで異なっていたアッパーレシーバー形状を統一し、すべてのバレル長と口径の違いに完全対応する共通プラットフォームとしてモジュラー性を大きく向上させている。これにより1挺の銃で、様々なバレル長とそれに合せたハンドガードに交換でき、また5.56mmと300BLKの切り替えが可能とした。

Image courtesy of Česká Zbrojovka a.s.
2. 操作系の再設計
アンビセレクター、ボルトキャッチ、チャージングハンドルの位置と形状が一新され、グローブ使用時でも確実な操作が可能になっている。また、チャージングハンドルは従来通り左右入れ替え可能であるが、BREN 3ではより人間工学的な使いやすさを目指し、その位置をレシーバーの少し低い位置に移動させた。
3. 新型トリガーユニット
BREN 3は、トリガーの引きしろやリセット感に改良が加えられ、よりシャープでコントロールしやすいトリガープルを実現させている。軍用としての信頼性を維持しながら、セミオート射撃時により正確な射撃を可能にしたわけだ。そのトリガープルは25N(2.549㎏)で、4mmのショートリセットだ。
4.改良型ストックモジュール
ストックは従来のフォールディング+テレスコピックタイプ(折りたたみ+伸縮型)を踏襲しつつ、調整パーツの剛性やラッチの保持力が改善されており、より安定した射撃を可能としている。バットプレートの形状が変更され、肩当て時の滑り止め効果が向上した。
5.アクセサリーレイルとハンドガード
ハンドガードはM-LOKスロット数を増加させるとともに、放熱性と握りやすさを両立させた形状に改めた。トップレイルはフルレングス仕様で、ナイトビジョンと光学照準器との併用も前提とした設計となっている。