2025/07/26
グロック マガジン ついにやってきたか?経年劣化

Gun Professionals 2014年3月号に掲載
2013年、手持ちの初期型グロックのマガジンに亀裂が入った。ポリマーマテリアルを多用したグロックが大人気となった1980年代後半、この素材はいずれ経年劣化が起きて使い物にならなくなるというネガティブな説が囁かれた。これは遂にそれが起こり始めたということなのだろうか?

グロック17が米市場に登場したのは1985-1986年だった。タイトル写真のグロック17はグリップを見ればお判りのように初期のモデルGen1で、そのうちの1挺はオーストリア陸軍採用モデルと同じスペックだ。
初期モデルとその後のモデルの主な違いはバレルの肉厚だ。当初、上陸したモデルのバレル外径は0.530”だった(通称ペンシルバレル)が、直ちに外径0.570”に変更された。その理由は噂ではあるが、米国人はリロードも含め、ホットにする傾向があるので、バレルの膨らみ、および破裂を防止するためだということらしい。初期のグロックでそんな問題が起こった事例を聞いたことはない。真相はどうであれ、ともかくバレルは太くなった。
ポリマーは当時、新しいマテリアルでこれまでのプラスチックとは違うと言われても、経年劣化の心配は当初からあった。第二次大戦前から銃器の一部に鉄と木以外の材料が使われ始めている。たとえばベークライトの使用だ。金属以外のそういった材料が割れるといった不具合は実際に起こり、現時点では問題はなくても、いつの日か砕けるんじゃないかという心配が常に付きまとう。
グロック17はそれまで一般人には聞きなれないポリマー/コンポジットマテリアルをフレームに採用したユニークなハンドガンだった。また従来のコンポジットマテリアルと違い、そのタフさも力説された。しかし歴史がない。アルミなら工業製品として100年の歴史がある。スチールならそれ以上だ。鉄の時代も含めたら何千年…
グロックマガジンの経年劣化による亀裂の話はネットじゃ以前から騒がれており、最新のニュースではない。“やっぱり…”とは思ったが自分のマガジンに起るまで実感が湧かなかった。
筆者は亀裂入りマガジンを2本所持している。写真のマガジンは2本目の亀裂で1980年後半に購入したマガジンだ。昔の話だが、グロック社からマガジンを包んだコンポジットマテリアルはフレーム(レシーバー)で使われているポリマーと同一種ではないと聞いた。しかし、別な機会には同じポリマーだとも聞いた。聞く度に違った回答で筆者にも本当の事はわからない(苦笑)。
フレームにある日突然、亀裂が入らないことを強く願う。もっともフレームに亀裂が入ったという話は今のところ聞いていないので、これは杞憂かもしれない。しかしマガジンでは実際に起こっている。メタル製マガジンで亀裂が入った話は聞いたことがない。もっともメタル製マガジンにも欠陥溶接による不具合の可能性はあるだろうが…
GP Web Editor 2025年7月補足:この記事は2014年3月号に掲載されたものです。あれから11年半が経過しましたが、その後にグロックマガジンを含め、ポリマーパーツが次々と破損、崩壊していくという話は出ていません。その意味では、このマガジンの亀裂は何らかの理由で発生しただけで、ポリマー樹脂そのものの耐用年数が30年程度ということではないと思われます。
Text &Photos by Turk Takano
Gun Professionals 2014年3月号に掲載
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