2025/07/31
【NEW】亜米利加ガンショー徒然日記 108 Greenville Gun Show編
今年の3月号と同じ、グリーンビルのガンショー。今回は頑丈が取り柄のルガーリボルバーから、正体不明のトルコ製まで雑多なハンドガンを見た。往年の名機は特に無し。そんな中、S&Wのカッコ悪いコンパクトオートを発見!これにはちょっと興味をそそられた。
熱波のガンショー
あじいぃ。ノースキャロライナはこのところずっと暑い。東海岸に発生したヒートウェイブ(熱波)の影響で、かれこれ一ヵ月近く酷暑が続いているのだ。この地へ越して7年になるが、ココまで酷いのは初めて。
しかし、どんなに暑くてもガンショーへは行かねばならぬ。今月はGreenville(グリーンビル)のショーを見学した。
このショーは自宅から結構遠い。片道80マイル、一時間半のドライブ。それも、ローカルの田舎道を延々走るのだが、途中、Vanceboro(ヴァンシブロ)という街の小さな小さな警察署の横を通る。自分は以前からこの警察署の建物が気になっていて、今回写真を撮ってきた。日本のコンビニよりも狭いんじゃないかっていう佇まいが何だか可愛くてね。Vanceboroは人口900人足らずのちっぽけな街なのに、ちゃんと自前の警察署があるのは自分には羨ましい。
だって、自分が住むHubert(ヒューバート)という街には警察署が無いんだよ。人口は一応2万人以上だから、Vanceboroよりよっぽど面積も経済規模も大きくて、犯罪もそれなりにありそうにもかかわらずだ。
なぜにウチの地元は自前の警察署が無いのかと言えば、自分も詳しくは知らないけど、アメリカの市町村の地方自治体の成り立ちと仕組みに関係があるらしい。アメリカでは、地方自治体は住民の総意によって設立されるため、場合により自治体が設立されない地域が存在するんだと。そういった地域は非法人地域(unincorporated area)と呼ばれて、我がHubertはそれに該当するらしいのだ。自治体が無いから、警察署も市役所もないワケ。
じゃあそういったエリアの治安は誰が守るのかと言えば、より上位の行政区分である郡(カウンティ)がやってくれる。カウンティのシェリフがパトロールしてくれているのだ。アメリカは歴史上、市民の手によって作り上げられた国で、地方分権の意識が元々強いから、こーゆーパターンが結構あるらしい。
自分は渡米以来あちこち移り住んだけど、いつも必ず街の名を冠したポリスがいて、親しみと安心を感じていた。だから地元ポリスがいない今はちょっと寂しくてねえ、みたいなことを考えてる内に現地へ到着。

会場はGreenville Convention Center(グリーンビル コンベンションセンター)だ。とても綺麗で、モダンで、天井が高くて、明るくて、冷房完備。ああ涼しい。助かるわあ。よし周ろう。
一発目、Ruger(ルガー)Security 380(セキュリティスリーエイティ)に目が留まる。ルガーの中堅ポリマーオートであるセキュリティ9の380口径版だ。セキュリティ9は以前所持して記事も書いたが、セキュリティ380はまともに見てなかった。意外なほど図体がデカいんだよね。グリップ部は気持ち短いにしても、全体としてはフルサイズに近い。こんなデカい380口径って、需要があるのかね。無論、成りが大きければリコイルも相対的に弱まって撃ち易いと言うのはあるだろうが…昨今は9mmパラを小型銃で撃つ時代だからその逆張りってこと? ルガーもなかなか面白いことやるなあ。
続けて、同じルガーの古リボルバー、筆者お気に入りのSecurity Six(セキュリティシックス)もあった。ステンレスの4インチ。出会うたびに眺めてしまう。何挺か持っているのにまだ欲しい。お値段599ドルは現在の相場。程度がちょっと悪いな。


お次はすごく良いのが来たぞ。S&WのCS9だ。9mm DAサードジェネレーションの変わり種。シングルカラアムでスパーレスハンマーのコンパクトオートだ。昔から気になっている1挺。カタチがね、どこかイモいところがとてもそそるのだ。箱付きでコンディションは良さそう。お値段も安めの450ドル+税。500ドル以下ではなかなか見ない。ただ、黒モデルなんだよね。自分は出来ればステンレスが欲しい。う~ん迷う。どうしよう。とりあえず保留にして先へ進んでみようか。

さて、その日のショーでは弾を探していた。今号でリポートしたルガーLCRxの327フェデラルマグナム弾だ。自宅近くのガンショップではセルフディフェンス用のすっごく高いHP弾(20発で30ドルとか)しかなく、実射用にもうチョイ落ち着いたのがないかとね。けど、何処にもない。普通、ガンショーだったら一個くらいはあるでしょう。でも無い。参ったな。帰りに幾つかガンショップへ寄ってみるか。
再び銃へ戻って、今度はあんまし観たことのないゲテモノ系を触る。その名もMini 9 Fire Storm(ミニナインファイアストーム)。ギトギトなニッケルめっきの9mm小型DAオート。フレームはアルミながら、持ち上げると結構重い。MADE IN ARGENTINA(アルゼンチン製)の刻印がフレーム左サイドにあり、もしかしてと右サイドを見たらBersa(ベルサ)の文字があった。ベルサかあ。同じベルサのThunder 380(サンダースリーエイティ)ならゴロゴロ観るけど、コイツは初めて。フレームのダストカバーに妙な溝。コレ、レイルなのか? 後で調べたら、どうやらサンダーシリーズの前身にあたるモデルらしい。まあ、現行のサンダーシリーズよりは濃くて面白そうだけど、429ドルは出せませんね。

そしてもう一挺、全然知らないグロックもどきも。Adler Arms(アドラーアームズ)のAD-9だって。トルコの会社。G19サイズだ。スライドのデザインは何となくArchon(アーコン)のTYPE B(タイプビー)似、フレームはLone Wolf Arms(ローンウルフアームズ)のTimberWolf(ティンバーウルフ)似か。エキストラクターが長めで、プランジャーではなくピボット式なのが特徴と言えば特徴。それと、金属製の15連マガジンはなんとベレッタ92のパターンだ。ダストカバーにはピカティニィーレイル、スライドにはオプティックカット、そしてバレルにはスレッド。デカいプラ製ハードケースにナイロンのホルスターと2種の交換用バックストラップが付いて、ガンショースペシャル価格が299ドル+税。コレって前にも紹介したっけ? 全然覚えてない。覚え切れないくらいグロックもどきは世に多いです。

小物類では、飛び出しナイフを眺めたよ。ボタンを前へ押すと刃がまっすぐ突き出し、ボタンを手前へ引くと刃がスパッと戻る。飛び出しというか、突き出しナイフだ。州によってはご法度だけど、ノースキャロライナは良いらしい。商品名ライトニングナイフでお値段89~99ドル。コレはBenchmade (ベンチメイド)のPhaeton(フェートン)のコピー品だね。オリジナルなら400ドル以上する。さすがコピーだけあって、ロックがいまいち甘い。飛び出した刃が何処かへ飛んで行きそうで怖いです。
以上ざっとこんなところだ。会場を周りつつ、頭の中ではずっとCS9が気になってねえ、何度か観に戻り、残っているのを確認して、でも結局買い切れんかった。実は最近、飼い猫が次々病気して、医者代がかさんでさ。後ろ髪をグイグイ引かれる思いで会場を後にしたのでした。
@今月の買い逃し@
CS9が気になって気になって。家に帰ったら余計に後悔の念が強くなって、実は翌日、我慢できずに再びGreenvilleまで走った。果たして無事にCS9が買えたかどうかは、来月のお楽しみという事で。

Text & Photos by Toshi
Gun Pro Web 2025年9月号
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