2025/07/12
【NEW】CZ P-10 C Ported 2025年7月1日発表【動画あり】
2025年7月1日 発表
CZはポリマーフレーム+ストライカーファイアードのP-10シリーズに、新たなバリエーション“P-10 C ポーテッド”を加えることを2025年7月1日に公式発表した。これは、バレルにポートを開けたインテグレーテッドコンペンセイター仕様で、P-10 Cの進化型といえるものだ。
Text by Tomonari Sakurai & Satoshi Matsuo
Images Courtesy of Česká zbrojovka a.s.
CZ100シリーズ以降、長い間作られなかった、ストライカーファイアードのポリマーフレームピストルをCZが新たに開発し、リリースしたのが2017年だ。P-10 Cと名付けられたこのコンパクトピストルは、市場から高く評価され、その後にフルサイズやサブコンパクト、マイクロコンパクトなど数多くのバリエーションがをP-10シリーズとして展開されるようになった。
このP-10 Cが2016年末に発表されたとき、本誌2017年2月号で速報としてお届けしている。あれからもう8年半年が経過した。
そんなP-10シリーズの新たなバリエーションがP-10 C Portedで、従来のP-10 Cに、インテグレーテッドコンペンセイターを追加している。
いわゆるポート加工を施したバレルとスライドを持ち、これによってマズルライズの低減を図るものだ。いわゆるエクスパンションチェンバーを持つ一般的なコンペンセイターほどマズルライズを抑えることはできないが、ノーマルのP-10 Cと撃ち比べてみれば、その効果は明らかだろう。
よくわからないのは、今回バレルは10%重くなっているとCZがいっていることだ。
Compared to the standard CZ P-10 C, the barrel of the PORTED model is 10% heavier, which further reduces recoil during firing. State-of-the-art cold hammer forging technology is a matter of course for us.
このP-10 C Portedは既存のP-10 Cとほぼ同じサイズ(発表されている全長は1mm短くなっているのだが)で、ホルスターも共用できる。そのバレルにポート加工を施して、10%重くなっているということはバレル自体が太くなっているのだろうか。実際、銃本体の重量は、この新型が760gで、従来のP-10 Cの公称値は740g(いずれもマガジン込みの非装填時)だった。この20gの差はバレル部分の違いなのだろう。
基本的には、このインテグレーテッドコンペンセイター部分が今回発表された新型における最大の特徴だ。
もう一つ、大きな違いはスライドのコッキングセレーションが改良されており、スライド上面にまでセレーションが追加されている。またスライド側面のセレーションも、従来型と比べて本数は減ったが、より深い加工が成されているようだ。
DiFEND Method
この改良は、CZが取り入れているDiFENDメソッドから来たものだ。CZは2015年以降、エルゴノミクスデザインを徹底追求している。
そのために、チェコ共和国Pilsen(ピルゼン)にあるUniversity of West Bohemia(西ボヘミア大学)Faculty of Mechanical Engineering(機械工学部)にあるRegional Technical Institute(地域技術研究所)と提携した。そこで生み出された研究成果が、“DiFEND”メソッドだ。
“DiFEND”とは、Digital Firearm Ergonomic Design(デジタル銃器人間工学設計)の略で、NASA(米国航空宇宙局)向けに開発された人間工学ツールを活用して銃器設計をおこなうことをいう。具体的にはデジタルヒューマンモデル(DHM)を活用し、銃器のデザインを仮想現実環境でテスト、検証するものだ。これにより、グリップの角度、太さ、スライドの形状、トリガーの位置と引きやすさ、マガジンキャッチの操作性、サイトの形状や見やすさ、など、あらゆる項目について、人間が使った場合の良し悪しを判断する。DHMは欧米人に限らず、あらゆる人種、性別、考え得る体形差をすべて網羅しており、これにより真に使いやすい銃のデザインを生み出すことができるのだ。
その他の特徴は、P-09 NOCTURNEシリーズと同一仕様の蓄光サイトの採用、そしてダットサイト対応のOptics-Ready仕様の標準化などが挙げられる。
CZ P-10 Cは、多くのメーカーが主力モデルを投入する主戦場“Compact”カテゴリーに属する製品だ。今回の“Ported”投入は、CZとして、他社に後れをとることなく、先頭集団の中の一社であり続けるための一手なのだと感じる。驚くような新製品ではないが、インテグラルコンペンセイターは今のトレンドなのだ。CZとしてこのバリエーションを発売しないわけにはいかない。

■ Spec
口径:9×19mm
装弾数:15発
全長:186mm
バレル長:101mm
重量(空マガジン込):760g
トリガープル:25±4N(約2.5kg)
トリガートラベル:9±1mm/リセット:4mm
フレーム材質:グラスファイバー強化ポリマー
安全機構:トリガーセイフティ、トリガーバーセイフティ、ファイアリングピンブロック
CZ P-10シリーズはこれからも進化し続ける。
Text by Tomonari Sakurai & Satoshi Matsuo
Images Courtesy of Česká zbrojovka a.s.
Gun Pro Web 2025年8月号
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