2025/01/25
【検証 02】.50BMG VS iPhone4装甲ケース 装甲ケースは耐えるか?破壊されるか? 完結編
.50BMG vs iPhone 4 装甲ケース
Turk Takano
Gun Professionals 2012年10月号に掲載
世界最強の1インチ(25mm)装甲 iPhone 4ケースを.50BMGで撃つ。製造メーカーは.50BMGの直撃を想定して設計したという…装甲ケースは耐えるか?破壊されるか?
前回、未完で終わったリポートだったが今回はどうやら完結できた。
先回は予定していたオリジナル軍用徹甲弾(AP)ラウンドが入手できず、一般市場向けのモドキ徹甲弾で幕引きを計ろうとした。ところがだ…はじき返され日本製装甲ケースの強靭さを見せ付けられた。
馬鹿にされた感じ、とはこのことを言うのであろう。
見学者も含め…たかが1インチ(25.4mm)厚の装甲ケースは.50BMGモドキ弾でもデカイ穴があくに違いないと予想していた。ところが完全に当てが外れた。もともとミリタリー・オリジナルAPの力を借りるまでもないと、タカをくくってスタートしたテストだったからである。


今回、入手の.50BMG APはサープラス物で販売されている合法品だ。大半のレンジは例え.50BMGによる射撃を許可していても、ボールのみでAP弾の使用は許可していない。
しかし今回のレンジは我々のプライベート・レンジで、そのような規則はない。先回のリポートでも触れたように我々のレンジは大きなバックストップを持ち、合法で所持できる銃弾なら20mmを含め何でもストップできる。


サープラス発売元のセールスマンは“装甲板であっても1インチなら簡単に抜くよ”と笑いながらの応対だったという。OK…今回、入手できたのはたったの2発だ。値段は1発7ドルとたいした額ではないが、その辺に転がっているボールとは違う。見つけることができたのはラッキーだったといえる。
しかし2発となると一抹の不安もある。当たらない可能性も否定できないからだ。100ヤードやそこらで当たらないことは無いだろうと思いがちだが、連続撮影を同時におこなうとなるとある程度、コードネイトしてスタートしないと上手く行かない。
リハーサルを何回かやった。撮影は8枚/秒、バッファー容量の関係もあって約5秒、40コマ撮れるのだがシューターによっては起動がスローでファイヤーと怒鳴っても即座にトリガーを引けないときがある。狙いが定まらないとか理由は千差万別だ。この種の射撃に慣れているのは常連相棒のマイクだ。シドロモドロされると5秒の期限は切れてしまう。

先回のテストでモドキAPといえど結果があまりにも情けなかったせいか今回は観客なしとなった。抜けはしない…またはじき返されるだけだよ。APは所詮ミリタリーAPでも同じさ!…そんなことからイベントとしての魅力は半減したようだ。というわけで、今回は当事者だけの世界となった。
正直に言えば我々(マイク、ロン、筆者)もどっちともいえない方向に傾きつつあった。サープラス発売元のセールスマンから“簡単に抜けるよ”とは聞いたものの、防弾鋼板にもいろいろの種類がある。セールスマンが見た貫通装甲板と材質不明の日本製装甲板が同じである可能性は極めて小さい。

昔、フィンランド製のラティ20mm対戦車ライフルで鋼板貫通テストを行ったことがあった。弾はフィンランド製の第二次大戦サープラス徹甲弾、ブレット重量約2,000grに対しスチール板はマイルド・スチール(通常の多目的用軟鋼板)を束ね溶接したものだった。厚さ46mmである。
しかしながら紙標的のごとく簡単に貫いた。さすが20mm対戦車ライフルといいたいところだが、既に第二次大戦前、戦車装甲の進化により対戦車用としては時代遅れとなっていた。
テキサスのサンアントニオ市(アラモ砦)の近郊にフレデリックスバーグという町がある。太平洋戦争で活躍したニミッツ海軍提督出身地でニミッツ提督博物館が町の中央にある。ここに太平洋戦域から捕獲された日本軍兵器が陳列されその中には日本軍の中、軽戦車が展示されている。その中に.50BMG APでやられたんじゃないかと思われる弾痕が砲塔にあった。抜けていたと記憶しているが確信は持てない。再度、行く機会があったら確かめたい。
司馬遼太郎先生が学徒動員、戦車兵としての経験談をまとめた本のなかで、日本軍戦車の装甲はヤスリで容易に削れたと書いてあったような記憶があるが?何十年も前に読んだ本なのではっきりしたことは言えないが…かといって確認するためニミッツ博物館の日本軍戦車にヤスリを使って確かめる…などと言うことはしないのでご安心を…

ロンは先回テストの後、スコープを外し、リングを交換したとかで再びゼロインを試みた。彼の持参した.50ボールは少なくとも200発、調整用には十分と見た(笑)。これがロンのプリンキング・カートリッジだ。財力の差である。マイクや筆者には真似ができない。我々が使うプリンカーは.22LRだ。2発のAP弾でインパクト調整するわけには行かず数のあるボールを使った。
インパクトがAP弾のそれに近いことを祈りつつ……
ロンのEDMのトリガー・グループ・ユニットが射撃の衝撃で緩んでくるとかで何回か締め付けなおす羽目となった。ロックタイトを使うべきなのだが・・デザインに問題があるようだ。
快調なのは例によってAR-50だ。もっとも先回、ボルト・ハンドルが折れるという珍事はあったが…AR-50はシンプルなシングルショットのボルト・アクションで壊れるような複雑なメカは備えていない。というわけで下手なリピーターより稼働率は高い。初期のマクミラン.50BMGはシングルショットで米軍にも納入されている。

余談はこのくらいにしておこう。万全な調整とリハーサルの末、我々は.50BMG AP弾を装甲ケースに放った。マズルブレーキにより舞い上がる埃を見てもらいたい。シューターは射撃時、リラックスしようと口をあけることがある。口の中に埃が舞い込むので注意すべし…写真を見て頂くとお判り頂ける通り、先回のモドキ徹甲弾のニキビの跡とはまったく違った貫通穴をみた。
撃ったロンもスコープを通して見た貫通穴で興奮した。“やった!!!!”…さすがミリタリーAP、先回の雪辱を果たした。日本製の装甲板(ケース)を米国が誇る.50BMG AP弾で仕留めた。こういうフィーリングなのだろう。
見に行こうじゃないか…ということで穴のあいた装甲ケースに歩み寄った。ロンはニコニコし、興奮を隠し切れない。装甲ケースを手にしてびっくり…。裏面が若干盛り上がったぐらいで抜けてはいなかった。正面からみたら抜けたようにしか見えないのだが。




一瞬、ニコニコ興奮が冷めたが…スゲイじゃないかと言う賞賛に変わった。ロンは“明日、サープラス屋のセールスマンに電話しなきゃならん”とつぶやいた。
先回のモドキAP弾の結果が馬鹿にされたものであり…もしかしたらミリタリーAPでも抜けないのではないかという予想があったのでどちらに転んでも驚きはなかった。
しかし、さすがオリジナル・ミリタリーAPだ。結構深い穴を掘った。装甲ケースと同じマテリアルを軽装甲車に使うのであれば0度で貫通はしない。しかし狭いエリアに何発も撃ちこまれたら結局は貫通となるだろう。装甲板もアングル付なら更に耐弾性は増すはずだ。
ハイスピード硬体による装甲板に対する貫徹云々はいまや時代遅れだ。しかし少なくとも.50BMGに耐えるレベルが無ければ装甲車両とはいえない。これが最低限度といえそうだ。APCなどを実際に撃ち確かめたいところだがそれは軍の仕事で我々にできる限界をはるかに超えたものだ。今回のように装甲板の切れ端でテストするのが関の山である。
軽装甲車両とか話が飛躍してしまったが今回、テストのiPhone4 /4S装甲ケースは間違いなく世界最強のタフさを備えている。“所持者死すともiPhoneは死なぬ”というわけだ。
もっとも操作面側から撃たれたら、iPhoneも破壊されるので、決して無敵というわけではない。

「劣化ウラニウム弾なら何とかなるんじゃないか?米軍が使っているんだからサープラスぐらいあるだろう?」「劣化ウラニウム弾は・・・法的にOKなのかな?」「いや駄目だね。違反だよ、それって・・・」
どう考えても抜けなかったことが癪に障るというわけだ。.50BMGの威力は元兵隊の二人にとって信仰に近いものがある。これまでいろんな貫通物をベトナムで見てきた。ミリタリーものならともかく一般商品であるiPhone装甲ケースが抜けなかったことは少なからずショックだった。
Gun Professionals 2012年10月号に掲載
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