2025/06/28
【NEW】キンバーR7 MAKO サメ肌のポリマーサブコンパクト
R7 Mako(メイコー)は、Solo、EVOに続くキンバーのストライカーファイアードピストルだ。意外なことに、ストライカーファイアードでポリマーフレーム+ダブルスタックマガジンは、キンバーとしてこれが最初の製品となっている。いわゆるグロックの牙城への挑戦だが、さすがキンバー、グロックのそっくりさんにはしなかった。
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キンバーのポリマー
キンバーのR7 MAKOは、2021年に登場した同社初のグロック系ポリマー9mmオートだ。
ガンプロでは2022年11月号で矢野さんがチラリとだけ紹介(『ショーケースの片隅から』)。自分としても一応注目していたら、その記事の直後に行ったウイルミントンのガンショップでたまたま中古を発見した。リテイル価格は599ドル、ストリートでもまだまだ550ドルは割らない時期に、税込み400ドルちょいの安さで出ていた。
「う~んコレは買いか。キンバーの本気度を探る意味でも試してみたいじゃん」と思いつつもその日はぐっとこらえて帰宅し、編集部へ「矢野さんはキンバーのMAKOやりますかねえ?」と尋ねた。前述の矢野さんの記事に、キンバーへ記事用のサンプル銃を問い合わせ中とあったからだ。
編集部からさっそく矢野さんに聞いてもらったところ、現時点では借りない方向にあるとの返事。そして編集部の見解としては、仮に矢野さんがやったとしても「同じ銃を複数のリポーターが吟味するのもありと思いますよ。多少時期をずらして貰えれば問題ないですし」との事。
そこで自分は取って返してMAKOを手に入れようかと思いつつも、踏みとどまってしまった。
リポーターがそれぞれのカラーと視点で同じ銃を扱うのは面白いと思う。例えば米軍がSIGのP320を採用(M17)した時などは、各リポーターがこぞって記事にした過去もある。ああいったお祭り騒ぎも悪くはない。
けど自分の場合は、矢野さんのようにメーカー直の裏情報を引っ張ってきたり、ガンスミススクール出身ならではの鋭い視点で銃を分析する能力は全くない。同じ銃を扱ったら、きっと絶対見劣りするのがオチだ。なので出来るだけ、他のリポーターの方々から離れたところでコソコソやりたい気持ちが強いんだよね。そんなワケで、バッティングの可能性が少しでもあるMAKOはワザと流したのだった。
ところが、である。結局矢野さんはMAKOを扱う事はなく、自分も他の銃に目移りしてる間にどんどん時が過ぎちゃってさ。先日、久しぶりにそのウイルミントンのお店へ行ったら、なんとMAKOがまだ売れ残っているではないか。さすがにコレには強いご縁を感じて、引っ掴んだという次第。
MAKOは今年のSHOT SHOWで新型のCarbon Compactモデルが出ちゃったからね。バレルが0.53インチ伸び、各部もやや大きくなった拡大進化版だ。ウカウカしてると旧型はどんどん影が薄くなる。ちょっと焦りながら購入したですよ。
イヤしかし、思うに昨今のガンメーカーの傾向として、先ずは小型版を出し、様子を見つつ後から段々大きくしていくやり方って多いね。SIGのP365やらスプリングフィールドのHELLCATなんかもそう。昔は逆だった。最初に大きく作り、その後に縮めていった。この流れは多分、コンシールドキャリー隆盛に合わせたサイズ設定と、小型でも多弾数を可能にする技術の進歩が大きな要因として挙げられるでしょうね。
MAKO
初っ端から余談を長々すみません。
そんなワケでキンバーのMAKOだ。箱付き、程度極上の中古品だ。マジでほとんど撃っていない上に、オマケとしてMUDDY RIVER TACTICAL製のIWBホルスター(30ドル相当)と、ショップ近くのリニューアルオープンした射撃場の一回タダ券(25ドル相当)まで付いてきた。もう大満足。待てば海路の日和ありとはまさにこの事かと。
MAKOはいわゆるサブコンパクトのカテゴリーに入る銃だ。グロックで言えば43Xのサイズ。ダブルカラアムのマガジン装弾数は11連と、43Xの10連よりも1発多い。エクステンデッドなら13発、別売りで15連の純正マグも用意されていて頼もしい。
第一印象として、非常に変わったルックスだ。はっきり言って、崩れている。かなりの頭でっかち感とフレームにコレでもかと執拗に広がる粗目のテクスチャー加工…実に妙で惹き付けられる。例えば、またぞろSIGのP365を引き合いに出して申し訳ないが、アレなんかひたすらスッキリあっさりで、いまいち色気が足らないんだよね。性能も握り心地も最高ながら、整い過ぎていて心に引っ掛かり難い。その点、このMAKOはやたらとケッタイな分、グサグサ来るものがある。
おもむろに握ると、グリッピングが凄く良い。粗目のテクスチャー加工が手に程よくへばり付く。MAKOの名称はアオ鮫から来ているそうだが、それはこの荒れたサメ肌を指すんじゃないかってくらいの代物だ。テクスチャーだけでなく、手のひらに当たる部分を微妙に膨らませたシェイプがフィット感に繋がるのと、フレームの上部が僅かに盛り上がっていて握り手がスライドに被らない工夫もある。無論、トリガーフィンガーが動く範囲に粗目処理は無く、トリガー操作に支障はない。研究の跡がありあり。
昨今の流行りとして、スライドキャッチはアンビだ。前述のフレーム上部の盛り上げの中に組み入れることで極々自然なスナッグフリーを実現。またボタン式のマグキャッチもオールタイムのアンビだ。レバーではなくボタン式なのが非常に使い易くて好感が持てる。
そしてトリガーも良さげである。フラットフェイスでストレートな形状。指触りがカスタムっぽい。無論、指セイフティ付き。プルはスムースで乱れが無く、やや弾力を感じつつも切れは上々。トリガーガードにはハイグリップを可能にするアンダーカットも忘れずある。グリップ部が短い銃には必須の仕様。抜かりはない。
惜しいのは、ダストカバーの貧弱なアクセサリーレイルか。ピカティニーではなく、スロットも皆無なのだ。Viridianから設置可能なレーザーが出ているが(E Series Green Laser)、専用ということでどうも 買い切れない。このクラスの銃では、スプリングフィールドのHellcatは短いながらも一応ピカティニーが切ってある。せめてライバル機種と同等な装備は不可欠だろうと思ったら、2024年に出たMAKO のTACTICALモデル(スレッドバレルと15連マガジン付き。前述のCarbon Compactとは別物)のダストカバーには、なぜかピカティニィーレールが付いているのである。写真で見る限り、別段ダストカバーを延長した形跡はないにもかかわらずだ。やればできるのに、なんで最初から付けないワケ? 自分はこの事実をMAKO購入後に知り、ちょっと騙された気分になったけどね。