National Rifle Association (NRA、全米ライフル協会)は、米国における銃器を所持する権利を守る政治ロビー団体として知られているが、銃器を安全に扱うための教育や、各種競技射撃の開催など、その活動は幅広い。年に一度の大集会に合わせて開催される展示会には多くの銃器メーカーや関連グッズメーカーが出展するので、地元の銃器/射撃愛好家はもちろん、全米各地から人々が訪れる。
NRA年次展示会は、一般消費者が来場できる米国最大の銃器見本市だ。ブースの数や床面積では年始に開催されるSHOT SHOWに及ばないが、来場者数で上回る。流通業者/小売業者、そしてメディア関係者に限らず、NRA会員とその家族であれば無料で入場できるため、子供連れの来場者も珍しくない。
今年(2025年)の第154回NRA年次展示会は、ジョージア州アトランタで4/25~27に開催された。例年と大きく異なっていたのは、NRA会員でなくとも10ドルの入場料を払うだけで3日間の開催期間中に展示会場への出入りが可能となっていたことだ。それにより来場者は増えるだろうと思われたが、後に発表された来場者数は70,000人以上で、これは昨年ダラスで開催された第153回の72,000人以上よりも少ない。それでも、今年1月にラスベガスで開催されたSHOT SHOW 2025の55,000人以上と比較すれば約15,000人多かったようだ。
基本的に、銃器業界の新製品は年始に開催されるSHOT SHOWで発表されることが多いが、近年はNRA年次展示会で新製品をお披露目する銃器メーカーも増えてきた。
それらのブースで新製品を撮影するのが、私が現地に赴いた理由のひとつだが、各銃器メーカーのマーケティング/メディア担当者に直接会って、本誌への協力をお願いするためでもある。今回は特に、印刷物としてのガンプロフェッショナルズ誌が会員制のGun Pro Webに移行した件を伝えねばならなかった。日本語で書かれた内容は読めずとも、クオリティの高い写真と良質の紙で製本されたガンプロフェッショナルズ誌が今後発行されないと知って残念がる担当者は多かったが、デジタル化は時代の流れでしかたないと考える人がほとんどであったのは幸いだ。以前からお世話になっているメーカーに今後も変わらぬ協力をお願いしただけでなく、新たなメーカーの担当者にもGun Pro Webをアピールできたの幸いだ。とはいえ、会場ではよい反応をしてくれる人でも、送ったメールに返信してくれないというケースも珍しくない。関係作りは根気が不可欠であることを再認識させられた。
閑話休題、2025年度新製品の多くはSHOT SHOWで発表されており、それらは本誌2025年4/5月号のSHOT SHOW特集でカバーされているので、本記事ではなるべく重複を避けつつ興味深い製品を写真とキャプションで紹介してゆく。
▲2025年度のNRA年次展示会の日程は4月25~27日で、ジョージア州アトランタのジョージアワールドコンベンションセンター(Georgia World Convention Center)で開催された。これは2日目の朝で、広大な建築物の内部を通って展示会場へ向かう人々の様子。開催期間中は良い天気に恵まれたが、私が現地入りした24日は大雨であった。