2025/07/06
【NEW】亜米利加ガンショー徒然日記 107 ジャクソンビル ガンショー編
今月がジャクソンビルのガンショーにしか行っていない。最近はハズレのガンショーが多かったが、今回はアタリだ。大好きなレトロ系の銃がいっぱいあった。もっともえらく高かったり、程度が悪いものが多くて、買えなかったり、買う気が起きないものばかりだったけどね。
いつものJacksonville
読者の皆さん、お元気ですか?
自分は今、元気がないです。実は酷い風邪をひいてしまい、二週間以上も体調不良が続いているのだ。元々気管支系が弱い自分は風邪をひくと咳が止まらず、痰が絡んで窒息に近い状況になる事もしばしば。若い頃には風邪なんか、一晩寝れば吹っ飛んだもんだけどね。ホント歳は取りたくないよ。
そんなわけで、今月はたった一個しかガンショーへ行けなかった。筆者の地元のお膝元、毎度行き付けのJacksonvilleのショーだ。
会場までは車で30分ちょい。途中、Jacksonvilleの中心街の大通りを走るのだが、その道の名前がWestern 通り。で、そのWestern通りを進んで行くと、Winchester通りってのに交わる。WesternとWinchesterだからね。自分はその交差点を通るたびに、ちょっとだけほっこりした気分になる。そういえば、自宅の近くにはGun Smoke通りなんて道もある。何の由来があるかは知らないけど、もしも自宅の住所がGun Smoke通り357番地だったりしたらウケるよねえ(笑)。もう、絶対引っ越ししたくないだろうなんて、くだらない事を考えてるうちに会場へ到着。さっそく偵察を開始する。
先ずは一発目、S&Wのミリポリを観た。かなり使い込んだニッケルめっきの2インチ。5スクリューだから少なくとも1955年以前の製品だ。フロントサイトが半月型でエジェクターロッドのヘッド部が太く、ハンマースパーの形状も古めかしい。惜しいのはグリップがオリジナルではなく、Jay Scottのフェイクスタッグホーンなのだ。どうせなら本物のスタッグホーンにして欲しかった。お値段は425ドル。メッキの状態が悪くて渋々見送る。ミリポリは何挺か持ってるしね。グッと我慢だ。

お次はルガーP08。アーティラリーモデルである。チャンバー上部に1916の刻印、シリアルは9383、トグルにはDWMの花マークが浮き、使用したドイツ軍兵士の名前と軍番号を証明するドキュメントが付属する。程度は中の下だか、価格はなんと6,250ドルだと。ドキュメント付きとはいえ、今はそんなに上がっているのか。カリフォルニア時代に記事にした借り物アーティラリーは、購入のチャンスがあったのに逃した。確か千ドルちょいだったと思う。大失敗したなあ。

同じテーブルに十四年式もあった。トリガーガードはダルマ型。昭和20の刻印と名古屋工廠のシャチホコマーク、ロ68776の製造番号が確認できる。後期というより末期の粗悪さが目立つところへ、マガジン押さえも破損のだめだめコンディション。それでも、オリジナルのホルスター付きで3,500ドルだと。明らかにぼってるね。付属のホルスターもなんか怪しいのだ。蓋の表に清水、裏面にナカオと白ペンキの無造作な書き込みがある。天皇陛下からお預かりしているホルスターにそんな落書きはしないだろう。 その辺の事情が分かるアメリカ人は、きっと少ないに違いない。ともあれ、そのテーブルにはウエブリーとか1911ミリタリーとかM1ガーランドに同タンカースモデル等々、ヴィンテージな銃器が目白押しでベタベタ触りまくってしまったよ。目の保養と手の保養が出来ました。

そしてさらに進むと、今度はハイパワーのスポーツモデルが出現。台座付き三角フロントサイトにフルアジャスタブルのリアサイト。セルピコがガンショップで買ったモデルだ。箱無しの程度極上で1,400ドルだってさ。無理ですね。
同じテーブルにはローマンMKⅢもあった。ニッケルの4インチ。シリアルがJ73954なので1972年の製品。前出のミリポリと同様、擦れ擦れでめっきもかなり曇っている。にもかかわらず986ドルだと。4インチに関しては、過去に何度も買い逃してきた。自分は2インチの綺麗なヤツのみにマトを絞り込んでいたためだ。最近では2インチなんかもう破廉恥なほどの高騰ぶりでさ。もしも飛び切り綺麗な箱入り2インチが出てきたら、手元のグロック3挺、いや4挺くらいと交換取引ってくらいのものよ。ローマンは販売当時、「コルトで一番醜いDAリボルバー」と呼ばれてあんまし売れなかったらしいんだよね。その分、余計に値が上がってる感じだな。


鉄砲以外では、カイデックスホルスターのオーダーメイドを実演販売するテーブルがあった。地元のJacksonvilleにカスタムショップがあるんだってさ。お値段は130ドルから。製品を見たところ、ややデザインに華が足りないかも。でもまあ、製造中止の古い銃とかマイナーな銃のオーナーにとっては有難い存在かもね。一応ビジネスカードは貰ったよ。
そしてもう一軒、その場で銃にレーザー刻印を彫ってくれるテーブルもあった。サンプルを見せてもらうと、機械が悪いのかセンスが悪いのか、凄くヘタ。文字とかに全然シャープさが無いのだ。コレは任せられんぞ。アメリカには、言っちゃ悪いけど腕は無いのに自信だけ大いにある方、たくさんいらっしゃって困る。だから自分はアメリカの医者と弁護士と車のメカニックには、まずは疑ってかかるもんね。

さらにもう一軒、CAAのMICRO RONI(MCK)を大量に並べたテーブルもあった。
今年になって、バイデン政権時代にスタビライジングブレイスをストック扱い(ショートバレルライフル)にした規制がほぼ撤廃(州や自治体ごとで見解にズレがある模様)。再びピストルへの取り付けが自由となり、様々のブレイスたちが息を吹き返している。CAAのMICRO RONI(MCK)やらFLUXのRaider Xやらは、マシンピストル風のギミックが実にカッコ良い。そのテーブルではMICRO RONIをバリバリ撃ちまくるビデオを流して購買意欲を煽っていた。自分も、幾つか持ってたブレイスのコレクションを、規制で焦って売り飛ばさなくて良かったと安堵しているところだ(所持自体は規制時も合法だったので念のため)。

再び銃に戻って、今度はSIGのP226を眺めた。昨年リリースされた40周年記念モデルだ。1984年登場当時の姿と箱を再現した限定版。グリップはホーグが手掛けたアルミ製が付く。2,000挺の限定で、定価は1,299ドルのところ、そのテーブルでは1,090ドルの値札。1,000ドル越えはきついな。それと、自分は少し前に92年製のP226を買ったばかりだから、多分コレは買わない(買えない)。
でだ。そこにあった個体には、スライドの右サイドに“40th ANNIVERSARY 1 of 2000”の白文字が入るんだけど、ネットを見ると文字が無いタイプも売っている。もしも買うなら、どっちかねえ。自分なら文字無しのほうが品があってイイかもとか、きっと買わない(買えない)のに色々考えながらしばし眺めていました。
以上、ざっとこんなところだ。久しぶりにレトロな銃がたくさんあって愉しめた。このガンショーもわりと波があるけど、今回は当りだったようです。
@今月の買い逃し@
特に買い逃しは無いかも。あえて挙げるならミリポリかローマンだけど、どちらも程度が悪かった。P226の記念限定版はしばらく悩んでみます。

Text & Photos by Toshi
Gun Pro Web 2025年8月号
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