2025/06/22
Smith & Wesson Model 19 のメカニズム
Gun Professionals 2014年9月号に掲載
オートピストルの普及でリボルバー人気は過去のものと思っていたが、最近復活の兆しを見せている。コンシールドキャリーウエポン(CCW)のライセンスが多くの州で許可されているからだ。携帯する上において、装弾数の多さにこだわらないのであれば、小型リボルバーにはいくつかのメリットがある。
リボルバーと言えば6発シリンダーと相場が決まっていたのだが、これを5発とし、さらにシリンダーから贅肉を落としたものが出てきた。また最近では、マテリアルの選択の域が広がり、リボルバーでもポリマー採用はめずらしくなくなりつつある。これにより、これまで考えられなかった軽量化が実現し、.357マグナムで500g以下というのも登場している。5発でよければリボルバーはCCW向きだ。もっとも大きなメリットは、使う弾の威力の強弱、ブレットの形状に関係なくトリガーを引けば弾が確実に出ることだ。オートならフィーディングトラブルが起こった場合を想定し、引っ掛かったケース(薬莢)を素早く排除する技術などをトレーニングする必要がある。リボルバーならそんな心配はない。
編集部からS&W Kフレーム、モデル19コンバットマグナム(.357マグナム)のメカ解説のリクエストが来た。モデル19はポリマーフレームや、CHLに適合する小型シリンダーを搭載した最先端モデルではなく、従来型のクラシックモデルだが、今回の主題にはモデル19でなくてはならないのだそうだ。
幸いなことに、S&Wリボルバーは右側面のサイドプレートを外せばメカがほぼ丸見えなのでカッタウェイする必要がない。

サムピース(ボルトと連動している)をマズル方向に押し、シリンダーをシューターから見て左にオープンする。シリンダーが閉じられている時、シリンダー内のエキストラクターの中央から突き出したプランジャー形状のセンターピン先端がボルトを押しながらフレームのホールに入っている。シリンダーをフレームに保持するのはセンターピンだけとなる。DAリボルバーは元々それだけだったのだがその後、エキストラクターロッドの先端をバレルのチャネル(溝)部で保持するプランジャー/スプリングのロッキングボルトが追加された。しかしこれはあくまでも支えの役目しかない。




ハンマーはトリガーによりコッキングポジションでホールドされる。SAによるコッキングはDA時より4~5mm後方にコッキングされた位置となる。その結果、SAではプライマーが発火したがダブルアクション(DA)では不発ということがあり得る。プライマー一つにしてもメーカー製すべてが統一されているわけではなく、微妙な差があるからだ。ハンマー打撃力はグリップ下部に備えられたストレーン・スクリューで調整できる。ファクトリー出荷時の調整で不発という話は聞いたことがない。ユーザーがDAのプルを軽くしようとハンマースプリングに調整を加えたとき起こるので注意が必要だ。

ハンドはトリガーと連動、トリガーを絞るとシリンダーのラッチにかかり、6連発なら1発分の60°を回転させる。シリンダーストップは通常、シリンダーが勝手に回転しないように上端がシリンダーの溝に入っている。但し、トリガーを引くとシリンダーが回転する直前にシリンダーストップが下降、シリンダーが回転できるようにする。シリンダーストップ・プランジャースプリングのテンションがかかったシリンダーストップは、シリンダーが1発分回転した後、即座に回ってきたシリンダーの次の溝に入り、シリンダーをロックする。発射時、シリンダーはハンドとシリンダーストップにより位置がずれないようにロックされるのだ。

リバウンドスライドはハンマーレストポジションでハンマー、フレーム間に若干のセイフティクリアランスを設ける。しかしながらこれだけではハンマーレストポジションでの6発装填携帯を想定した場合、安全とは言いがたい。
もし地面にハンマーから落とした場合、ハンマーピンなどがフレームから崩れプライマーを打つ可能性も考えられる。再度、触れるがハンマーブロックの追加はこれを更に確実にするための第二のセイフティなのだ。
Text by Turk Takano
Photo by Toshi
Gun Professionals 2014年9月号に掲載
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