2025/05/31
【NEW】Smith &Wesson モデル10/ミリタリー&ポリス
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ハンドエジェクター
1899年、S&Wは中型Kフレームのモデル1899ハンドエジェクターをリリースした。これは同社として2機種目のスイングアウトシリンダーリボルバーであり、1894年に発売した同形式の小型Iフレームリボルバーが持っていた様々な問題点を改良した製品であった。
ハンドエジェクターという名称は、従来トップブレイク(中折れ式)リボルバーばかりを開発販売してきたS&Wとして、新たなスイングアウトリボルバーを総称するものだ。トップブレイクリボルバーは、銃を折る動作で自動的にエキストラクターが作動して、射撃後の空薬莢を排出する“オートマチックエジェクター”であったのに対し、新しいスイングアウトリボルバーは、手動でエジェクターロッドを押してエキストラクターを作動させる“ハンドエジェクター”であることから付けられた名称だ。
1900年にアメリカ海軍、1901年にアメリカ陸軍が、モデル1899ハンドエジェクターをそれぞれ1,000挺ずつ導入したことから、“ミリタリー&ポリス”という新しい呼称が生まれ、後にKフレームのこのモデル固有の名称として定着する。
このミリタリー&ポリスは1902年に最初のアップデートが加わり、現代のS&Wリボルバーにつながるデザインを備えるようになった。その後もS&Wは短いサイクルで何度も改良を加え、ミリタリー&ポリス/ハンドエジェクターをアップデートし続けた。
そして第一次大戦と第二次大戦時には、軍用拳銃として数多くのミリタリー&ポリス/ハンドエジェクターがアメリカ軍に納入された。この時、アメリカ軍はセミオートマチックのM1911、およびM191A1をサービスピストルとして採用していたが、絶対数が足らなかったため、多数のリボルバーでそれを補ったのだ。
第二次大戦中には、内蔵されたハンマーブロックセイフティの改良が行なわれ、その安全性はさらに向上、戦後、ミリタリー&ポリスは細部をアップデートした新型に切り替わり、多くの法執行機関関係者や一般市民から、これまで以上に高く評価されるようになっていった。
そして1957年、S&Wは製品すべてに二桁のモデルナンバー制を導入する。ミリタリー&ポリスには“モデル10”という、もっとも若い番号が与えられた。これは1957年の時点で、ミリタリー&ポリスが、その歴史、構造、機能において、全S&Wリボルバーの“基本形”であったことから来ている。
これ以降、モデル10が正式名称となり、それまでのモデルはPre Model 10として分類されるようになった。
モデル10は、その始まりであるモデル1899の登場から今年で126年、ナンバー制導入からも既に68年が経過している。それでもモデル10は依然としてS&Wリボルバーの基本型であり続けているのは、その元設計が極めて優れていたからに他ならない。
モデル10の魅力を要約すると、以下のようになるだろう。
・リボルバー用カートリッジとしていつの時代もスタンダードである、.38スペシャルを6発装填できるサイズのシリンダーと、S&Wのラインナップの中でも最もスタンダードなミディアムサイズのKフレームを使用する。
・ダブルアクショントリガープルは均一でスムーズであり、固定式サイトは調整の必要がなく、破損の可能性も極めて低い。
・2インチから6インチまで、様々な銃身長、および軽量なテーパードバレルと重量を増加させたブルバレルが用意されていて、用途によって選ぶことができる。
・最小限のトレーニングで、対人用として必要な射撃技量を身につけることを可能にするシンプルな操作性を持っている。
・そのメカニズムはダブルアクションリボルバーとして完成されたもので、もはや改良する必要がない。
以上がミリタリー&ポリスが今日に至るまで成功し続けてきた理由だ。その総生産数は600万挺以上といわれている。
ここからは、Model 10/ミリタリー&ポリスの4インチと3インチを写真でご紹介していきたい。





右:ハンマー部分のチェッカリング。もっともスタンダードなスリムハンマーが装着されている。ハンマーの仕上げはケースハードゥンだ。
