2025/04/27
【NEW】“競演”懐かしのモデルガン&実銃 ワルサー/CMC P-38 コマーシャルタイプ
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2025年 6月号
1977年の規制により、ピストル型金属製オートマチックモデルガンのほとんどが市場から消えた。その中には金属製P-38モデルガンの最高傑作だと当時いわれていたCMC製も含まれている。そんなCMCのP-38を、ワルサーの実銃P38と比較してみた。
1971年から1977年まで作られた東京CMCのP-38は、多少の揺らぎがあるものの、通常は“P-38”と表記していたと思います。今回の記事ではワルサー製の実銃は戦後の商品名である“P38”で表記し、CMC製を“P-38”としました。タイトルはのP-38はCMCに寄せています。
CMCのP-38
モデルガンのファンが、モデルガンに何を求めるかは、皆それぞれに違うだろう。
自分の場合は、ひたすらロマンだ。平たく言えば鑑賞派。握って眺めて、それで幸せ。金属製を好むけれどもプラ製もこよなく愛し、空撃ちの耐久性が確保されればメカのリアルさは二の次でオッケー。
だから自分は昔から、勢いMGCに嗜好が傾いていたわけだが、それでもCMCの製品には一目も二目も置いていた。3月号で扱ったS&Wのモデル29など当時としては最高レベルのメカに酔いしれたし、昨年の6月号で出したRUGERの22オートに至っては外観も内部も唯一無二のリアルさに脱帽だったからね。

対するはCMCのP-38だ。見るからにリアル、且つ堂々たる佇まい。操作性も良く、何より重く冷たい。金属P-38モデルガンでは最高峰の一挺と自分は思う。
今回のネタである金属製ワルサーP-38も、別格のリアル感と重厚感に満ち満ちていて、自分は握るたびに感動だった。いや尊敬と言ってもイイ。おかげで同社の製品は、SAオンリーのPPKとか、ややでっち上げのエルマルガーですらも立派に見えて大好きだった。

手元の資料によれば、CMCのP-38の登場は昭和46(1971)年の10月だ。第一次モデルガン規制(10月20日施行)の直前であり、実際、きわめて短期間の販売でいったんは消滅。
その二年後の1973年に、銃口が塞がれ金色に塗られた規制適合品が登場する。ブローバックモデルが¥7,000、スタンダードモデルが¥4,500の価格だった。
ご覧の個体は規制後の製品。smマーク付きのスタンダードモデルだ。中学時代に友人から中古を格安で払い下げてもらった(昭和52年の第二次モデルガン規制の少し前の事だったのでギリギリセーフ。規制後はsmマークのモデルガンの売買、譲渡が禁止されている)。発火済みの使い古しでも全然嬉しく、遊び倒した。P-38は当時、まだまだ拳銃界のスーパースターでありトップランナーの地位にあった。

右:CMCの銃口。超鋼材で完全に埋まる。ライフリングのモールドなどはまだ意識にも無かった時代。フロントサイトの厚みは2.3mmだ。

下:CMCのバレル。ショートリコイルが素晴らしい。全長は122.9mm、突き出し分は63mm、先端径は14.2mmだ。テーパーも無理なく良好。
とにかく大のお気に入りで握るたびにバチバチ空撃ちしていたら、大学に入った頃、とうとうトリガーが引けなくなった。分解して中を見ると、ハンマーの根元の薄い箇所が割れていた。
既に第二次規制(77年)の絶版から6年目頃の話だ。パーツの入手は無理だろうと落胆しつつ、試しにアメ横のCMCに電話したらまだ残っていて、大喜びで送ってもらった思い出がある。それからは、空撃ちは極力控えるようになったけどね。

右:こちらはCMC。スライドキャッチは戦後の形をしっかりコピー。が、指掛け部のグルーブはない。スライドの刻印はCMCが独自にアレンジした模様。ネットで実銃を色々探したが、同じものは見つからなかった。

右:CMCのトリガー。戦前のツーピースタイプを再現。裏面の肉削ぎがバッチリある。トリガーガードも芸術的な仕上がり。