2025/03/20
COLT vs S&W 70〜80 年代リボルバー対決!
COLT vs S&W
70〜80 年代リボルバー対決!
Toshi
Gun Professionals 2013年2月号に掲載
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Masterpieces of 60's-80's

リボルバー党
先日、『この銃に会いたかった』の原稿執筆の件で、手持ちの銃の総リストを先方へ送ったら、一言返ってきた返事が、「リボルバーが多いですね!」
実際、多いと思う。
所持する銃(100挺を軽く超えてます)の半分がリボルバー、それもDAリボルバーである。オート全盛のこのご時勢、比率として30%も越えたら充分多いって話になるのだろう。
自分のリボルバー好きは、折に触れて書いている。
70〜80年代、自分がモデルガン集めに躍起になっていた頃、ぞっこんで観ていた映画はウエスタンでも戦争物でもなく、刑事アクションだった。TVの刑事ドラマも黄金期を迎えていた。そして、そこで使われるヒーローの銃は、殆どがリボルバーだったのだ。影響されやすい自分は、つまり物凄く影響されてこうなった。
手持ちのDAリボルバーをざっと眺めると、半数近くの30挺あまりがS&Wで、20挺弱がCOLTで、残りをRUGERその他の諸々メーカーで分ける。
そうだ。リボルバー好きの自分は、S&W好きなのだ。リポーターの立場上、自分の好きを前面にさらけ出すのはちとマズイか知れんけど、たまには良いだろう。
S&Wのリボルバーは、カタチもアクションもスムーズ。文武両道のバランスが取れた優等生タイプである。巷のいわゆるコピーDAリボルバーの殆どがS&Wアクションという事実もある。映画やTVでの露出度も高いから、影響されやすい自分は、S&W好きになった。

ただし、だ。COLTだって自分は大々大好きだ。
個性やアクが強く、情念に溢れ、時に泥臭くもあり、要するに濃い銃。芸術肌の体育会系とでも表現すべき存在感を放ち、モノによってはS&Wが3挺束になって掛かっても勝てない魅力と性能を持ったモデルも勿論ある。両者を比較するのは、タークさん風にいえば、リンゴと梨の味比べ的傾向が強いかも。
正直、両方捨て難いのは確か。とにかく自分はリボルバー党だ。
そんな自分の特性をきっちり見抜いている編集部から出されたお題が、COLT vs S&Wリボルバー対決。
「80年代までバリバリに活躍していた銃を採り上げるのが今回の企画です。お持ちのCOLTとS&Wのリボルバー総出演でどうでしょう」
望むところだ。願ったり叶ったりだ。
ちなみにリンゴと梨だと、自分はたぶん梨のほうが好きかもです。

Jフレームvs Dフレーム
先ずは小さいヤツからいこう。
S&Wのチーフ(Jフレ)、COLTはディテクティブ(Dフレ)だ。
どちらもスナブノーズの代表格、とりわけチーフは決定版、花形スターである。というのも、その開発のコンセプトからして徹底的にスナブノーズに徹したモデルだったからだ。
チーフの誕生は1950年。同社のIフレーム(1894年登場の.32口径用小型リボルバーフレーム。74年にJフレの台頭で消滅)をベースに、法執行機関用のアンダーカバー若しくはオフデューティのガンを目指し、.38spl口径が撃てるポケットサイズの最小フレームとして設計された。正式名称はチーフス スペシャル。57年以降は36のモデルナンバーが付く。当時のS&W外様社長C.R.ヘルストロムが、知恵と情熱を注ぎ込んだモデルと聞く。結果、警察関係にバカ受けし、その名称も、試作品を提出した国際警察長官協会の大会(50年、コロラドスプリングス)において、長官らの投票によって決まったほどだ。
ご覧のチーフは54年製の4スクリュー(サイドプレートを止めるネジが後期のものより1個多い。55年頃変更)モデルである。俵型サムラッチが付いた古い物。今じゃかなりの希少品だ。何しろ小さく軽く、いじらしいほど愛くるしい。柔らかめでスッキリとしたデザインが気持ち的にも馴染みやすい。
一方のディテクティブは、スナブノーズの本家本元、家元的存在のモデルだ。スナブノーズという呼称が最初に使われたのがコイツだったからだ。COLT社は創立以来、フルサイズのモデルに加えて必ずといってよいほど短銃身のポケットサイズ版を姉妹品に付けて商品展開をしていた。その積み重ねが、このディテクティブというモデルで一つのトレンドとして花開いたワケである。正式名称はディテクティブ スペシャル。
登場は1927年だ。禁酒法たけなわのいわゆるローリングトウェンティースの時代。同社のポリスポジティブ(小型軽量の4インチリボルバー。1905年に登場)からの派生モデルとして出た。コンシィール性に優れた短銃身のコンパクトボディは、たちまち人気の的となった。以後、改良やらモディファイを重ね、86年に姿を消すまで総数40万挺以上が生産された。
歴史が古いというか、スナブノーズの歴史そのもののモデルである。大恐慌時代の探偵銃のイメージは、もう、ディテクティブ以外ないほど。当時はS&Wからも.38ミリタリー&ポリスの4thチェンジ版(1915〜45年)の2インチ銃身モデルが出ていたはずだが、どうやらCOLTの人気に隠れて注目度が低かったようだ。
写真のディテクティブは66年製である。グリップフレームが短縮化され(66年末に変更)、フロントサイトから台座が消えた2ndモデルの後期タイプに当たる。
何処か動物的な面影。気品よりも情熱。本能を目覚めさせてくれるようなほとばしるワイルド感が素敵だ。
両者を比較すると、ディテクティブには決定的なアドバンテージがある。
それは弾数だ。チーフは5発で、こちらは6発なのだ。加えて、長さが稼げるフリーフローティングのエジェクターロッドも得点高い。この対決はディテクティブの勝ちか? イヤそうとも限らない。チーフのほうが一般にはポピュラーなのだ。
チーフは、あくまでも携帯性を重視し、思い切って弾数を5発に減らしてその分薄くする賭けに出た。それがどうやら受けた模様。例えば刑事たちなら四六時中、銃を懐に持ち歩かなきゃならない。それでいて現場で撃つ機会は一生に一度あるかないかだ。となれば、軽くて薄い銃を選びたいのは人情ってもの。加えて、握った時の感触、つまり純正グリップの形状そして肝心のトリガーアクションも、チーフのほうが上を行く。
自分だったら軽さと薄さを生かし、チーフを2挺、左右の脇のアップサイドダウンホルスターに突っ込んで歩きたい。スナブノーズの二挺拳銃だ。多分10発もあれば、勝負はつくってもんだろう。
日本では、両者とも相当古くからモデルガン化されている。が、70〜80年代の日本のアクション映画とか刑事ドラマでの印象となると、両者ともやや薄い。規制後のプラ化が遅れたせいか。ディテクティブに至っては、プラ製モデルガンは2010年のタナカまで待たなきゃならなかったし。
コレが海外映画となると、ディテクティブならワンサカと面白い作品が目白押しだ。主役が使ったTVシリーズも数多い。けれど、それでもチーフが目立った作品がイマイチ少ないように感じるのは筆者の不勉強のせいか?思い付くところでロイ・シェイダーの『セブンアップス』くらい(アレはトリガーガードが小振りな極初期タイプでしたね)。チーフは思いっ切り小さく、ラインもナチュラル過ぎて画面に溶け込んでしまう嫌いがあるのかも。チーフかと思ってよく観ると、ミリポリの2インチだったって場合も多々ある。その点、ディテクティブは個性的(一種不恰好?)なカタチゆえに小型でも目立つし、言い知れぬ存在感がある。
個人的には、ペキンパー監督の大失敗作『キラーエリート』の前半、ジェームス・カーンが腰のインサイドパンツホルスターに突っ込んでいたのがディテクティブだったのを思い出す。この映画、自分の第二の故郷サンフランシスコが舞台で、ラストの戦艦での銃撃シーンは、自分が住んでたベニシアという街の湾に今でもズラッと浮かんでるリタイアした戦艦で撮影したんですね。最近DVDで観直して感動を新たにしたところであります。