2025/03/06
CHARTER ARMS BULLDOG 44SPL.【この銃に会いたかった】
この銃に会いたかった
CHARTER ARMS
BULLDOG 44SPL.
フォト&キャプション:Toshi
Gun Professionals 2013年1月号に掲載
「この銃に会いたかった」は、日本全国のガン愛好家の方々に銃への憧れとか思い入れを声高々に語って頂くコーナーです。
今月は、原型師がご職業の髙木亮介さんがご登場。お目当ての銃は、44スペシャル弾を撃つ大口径小型軽量リボルバー、チャーターアームズの44ブルドックです。
それではハリキッテどうぞ!
はじめまして。
私はものづくりを生業にしている者です。GUNとのお付き合いはアニメや特撮で使用された銃からで、実際トイガンには、友人のモーゼルHScのグリップが発火とともに吹っ飛んだ記憶や、タニオ式ワルサーP38のトリガーが重く引き切れなかった記憶がございます。後に実銃を撃つ機会がありトイガン熱は少し冷めてしまいましたが、お仕事で映画用のプロップ製作をさせて頂くようになりまして、GUNに関してはズルズルと趣味と実益(?)を兼ねてお付き合いさせて頂いております。

1973年に誕生し、その後の14年間で50万挺を売り上げた、侮れない3流リボルバーだ。S&Wチーフより10グラムも軽いボディから発射する44SPL弾は、威力も反動も強烈そのもの。まさに野銃である。
私は、凄い銃、変な銃、妙な銃に非常に興味があります。銃というのは“道具”なので、あまり珍妙な物は使いにくく流行りませんが、過渡期の物や袋小路に入ってしまったような物は味わいがあって好きです。しかし、珍妙な銃は好き嫌いが激しいのでトイガンにしてもあまり売れず、なかなか商品化はされません。一方、映画に使用される銃でヒーローガンと呼ばれる物は、実銃にはない味とキャラクター性を持ったものが多く、夢があります。実用性は微妙ですが…。
私とチャーターアームズ製ブルドッグCal.44との出会いは、そんな映画用のプロップでした。

1982年のSF映画『ブレードランナー』で使用された、通称ブラスター(正式名称は無いはず)。映画の中で、ブルドックはプロップガンの中身、つまりSF-GUNの発砲用の小道具として使用されていました。それは、ブルドックにシュタイヤーライフルの部品をゴテゴテと被せ、さらにオーバーサイズのグリップを取り付けて一見ではそれとは確認できない物でしたが、運良くサムピースの形状からブルドックかチーフスペシャル(旧型)のどちらかであると判断し、当時モデルガンを探しました。そこで手に入ったのがカナマル社のガスガン“ブルドック”でした。
当時はサバイバルゲームが走りの時期で、5連発や6連発のリボルバーは不利との理由から、カナマル社はシリンダーの中にカセット式のロータリーマガジンを内蔵するという画期的なデザインによって10連発を可能としました。これが後にタナカ社のペガサス式リボルバーに発展したのだと思われますが、10連発であってもシリンダーが回らないモナカ式の銃にもかかわらず¥5,800-もしたので、売れ行きは芳しく無かったと記憶しております。形状も今思えば少々メタボな感じでしたし、口径も6mmと実銃の約11.5mmとは倍も違うので相対的に太めに見えたのかも知れません。トイガンは鉄などの硬い材質は使用できません。亜鉛とかプラとかの軟らかい材質で強度を高めようとすれば、太くせざるを得ないのです。



最近思ったことですが、トイガンは実銃と同じ材料を使えない以上、多少のアレンジは必要なのではないでしょうか。確かに実銃と寸分たがわないレプリカを作ることは可能と思いますが、おもちゃとして遊ぶには厳しい物だったりすることもあります。
安全対策上、実銃の部品が付かない様にしてある場合もありましょうし、プラの強度の問題またはコストの問題もあるでしょう。実銃と比べてコンマ何mmしか違わないと声高に叫ぶよりも、アレンジの仕方に考えをめぐらせたほうが建設的だと思います。
実銃のブルドックは、1973年に販売された無駄のない安価な銃でした。アルミフレームを使用し、当時としては比較的軽量だったので、バックアップ用に警察などでよく使われたようです。しかし、設計上は44SPLを撃てるとは言っても、あの見た目の華奢な軽い銃で大口径を撃つのはまことに不安なものです。


その点ブルドックは、フレームにサイドプレートが無く、グリップフレームを外すことによって分解する構造になっています。サイドフレームが一体化していることにより、フレームの厚みが2.4mmと薄くても剛性が保たれているのです。コレは、丈夫で知られるスタームルガー社の設計に近いと思われます。
シリンダーは、コルト社と同じ右回りです。シリンダーラッチは前に押すのでS&W社と同じです。引くよりは押すほうが扱いやすいと思います。ブルドックには最近ファミリーも増えて、カラーリング違いの商品(メタリックピンクまである)もありますが、やはり最初の一歩は黒いブルドック・クラシック(現在はこう呼ばれている)でしょう。



以前、アメリカで実銃のブルドックに触れる機会を得ましたが、その時に感じたことは、とにかく軽く、こんな薄さで本当に強度が保たれるかという点でした。シリンダーの壁などは1.5mmぐらいしかないし、フルートも大きく抉られております。特にクラシックはリアサイトもフレームを削り込んだタイプの物で、76.8mmのテーパーバレルは先端と根元では直径で約4mmも異なります。バレルの先端の肉厚はおよそ2mm弱。マグナムではないとは言え、約11.5mmの弾丸を発射するバレルの肉厚が2mmと言うのはとても不安な気持ちになります。シリンダークレーンにしても幅5mm弱しかありません。44口径5連発のシリンダーをこれで支えるのです。メーカーでは問題ないということですし、警察でも使われていたようですし、今でも売られていることを考えれば、大きな事故はないのでしょうが…。
強度はともかく、形状としては美しい物があります。極端に削られたテーパーバレル、それに伴い大型化されたフロントサイト、大きく口を開いたライフリング8条の44口径銃口、アクセントとしてあるようなシリンダーのロックを兼ねたエジェクターロッド、小判型のシンプルなシリンダーラッチ(サムピース)、小さめのハンマーなど、格好いいというよりは可愛いという印象です。


残念ながらブルドックの実射まではできませんでしたが、私はコルトコブラ38splを射撃した経験があります。銃自体が小さく軽いために反動がきつく、素手で撃つのはとても辛いものがありました。コブラとブルドックはほぼ同一の大きさです。しかし口径は、9mmと11.5mmの違いがあり、その分、ブルドックは反動が…考えただけでも怖いです。怖い物見たさで撃ってみたいのですけどね。形状としては木製のグリップが好みですが、実際射撃をすることを考えるなら、ラバーグリップが楽かもしれませんね。
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私にとって銃とは?
これは難しい質問ですね。大きく捕らえれば力の象徴ですが、日本刀と同じような道具であり美術品である、いわば鋼の芸術品でしょうか。

今月、語って頂いた方
プロフィール
お名前(P・N)
髙木亮介
・年齢、性別
50歳,男
・出身地
東京
・トイガン歴
40年
・職業
モデルメーカー&原型師
・自分を芸能人に例えたら
???例えられるほど芸能人を知りません。
・子供のころの夢
Doctorになること
“サムの息子”事件で使用され、凶悪のイメージが定着してしまったこの44ブルドックは、撃つと本当にキツイです。銃口はリコイルで天高く舞い上がり、弾痕はガク引きでどんどん下がっていく。小型軽量ボディに大口径の組み合わせは、頼もしさよりも用途不明感のほうが色濃く漂いますが、空前のダーティハリー・ブームに沸いていた当時としては例えマグナムではないにしろ44口径のアピール度は絶大だったと思われます。とすれば、つまりコイツもマグナムブームの落とし子ということになるのでしょうか。
ともあれ髙木さん,思い入れタップリの原稿,本当にありがとうございました。
フォト&キャプション:Toshi
Gun Professionals 2013年1月号に掲載
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