2025/03/04
BERETTA BU9 NANO 9mmパラ口径のサブコンパクトオート
BERETTA BU9
Nano
シンプルで刺激的!ベレッタ流9mm サブコン
by Toshi
Gun Professionals 2013年1月号に掲載
ベレッタNanoは2011年10月に発売された9mmサブコンパクトだ。このレポートの時点でも、発売から1年ちょっとの新製品だった。ところがベレッタは、2019年に早くもNanoを製造終了にしてしまった。じゃあ代わりのCCW用超薄型サブコンパクトを発表したのか…といえば、それもない。5年が経過したが、今でも何故か、このカテゴリーの製品がないのだ。
2025年3月 GP Web Editor
9mmサブコンの台頭
ただいま米国では、9mmパラ口径のサブコンパクトオートが大流行である。ソレ系ばかりを特集したムック本が発行されるほどの人気ぶりだ。この流行の裏には、今更言うまでもないが、米国民の拳銃携帯許可証への関心の高まりがある。長引く不況は犯罪の増加を招き、結果社会不安が増大し、人々が自衛の名目でこぞって銃を買いに走るという構図だ。
余談ながら、筆者の住むイリノイは全米で唯一、携帯許可を一切出さない州なんだよね。あのカリフォルニアでさえ一応許可する(大都市エリアでは、まず下りないが)ことになっていっているのにさ。
愚痴はともかくとして、従来、その9mmサブコンパクトオート(以下9mmサブコンと略)といえば、あくまでもフルサイズ銃のカットダウンが基本だった。S&Wのセカンド及びサードジェネレーション辺りでブームとなった流れである。が、現在の盛り上がりはそういったカットダウン版にではなく、一から9mmサブコンを目指して新規に設計された、このカテゴリーに特化したモデルに集中しているのだ。
さらに特徴的なのは、それらが装弾数6~7発程度のシングルスタックマガジン仕様であることだ。多弾数にこだわっていないのである。携帯性とコンシールメント性を第一に考え、キャリーするのが億劫でないように、手の届く場所にいつも置いて邪魔にならないように、サイズ(とりわけ薄さ)と軽さをとことん追求しているのである。
こういったシングルカアラムの9mmサブコン特化モデルの口火を切ったのは、95年のKAHR K9だ。当初は金属フレームを用い、やや高価ではあったが、コンセプトの新鮮さと入念な造りで売れた。
2009年頃にはポリマーフレーム化も実現。380口径の独壇場だった中型オート分野にスマートに入り込み、浸透させた偉業は大したもの。であると同時に、シリアスなピストルカートリッジである9mmパラ口径の強みやらポピュラー度みたいなものを、まざまざと見せ付けられた感があった。
いま市場を見渡せば、実際、怒涛の勢いで9mmサブコンは増殖中だ。そのKAHRを筆頭に、ポリマーフレームではKEL TEC、RUGER、TAURUS、WALTHER、新興のDIAMOND BACK等々があり、金属フレームではKIMBERのSoloやSIGのP938が出色。役者が揃ってきている。昨年出たSIGの P290(ポリマーフレーム)もこのタイプだ。
思うに、9mmサブコンのカテゴリーには、DIAMOND BACKのような新参メーカーにも活躍の余地が充分あるのではなかろうか。いきなりフルサイズでの勝負は今どき厳しい。まだまだ未開拓感が残り、余り目の肥えていない一般市民が「何しろ小さい銃
を」と護身用に求めるケースが多いこの分野なら、ちょいとオシャレにデザインしておけばブランドよりもお値段での勝負が可能だからである。
さてと、それでだ。レトロ趣味全開の筆者は、流行を追うことは最近全然やっていないのだが、時流に置いてきぼりはリポーターとして少々マズイので、1挺買い込んでみることにした。選んだのはベレッタだ。


シューティング イン ショッピングモール
ベレッタのNANOである。装弾数6+1発のシングルカラアム薄型ポリマー9mmサブコン。ベレッタ初のストライカー方式を採用した、手のひらサイズのベイビーなベレッタだ。作動方式はカム式ティルトバレルのショートリコイルで、エジェクションポートにロッキングラグを据えたロックド・ブリーチを採用している(要するにブラウニング系)。
2011年の夏に製作が発表され、同年10月に発売。直後は6カ月のバックオーダー待ちなどとも伝えられたが程なく安定し、現在はどのショップでも手に入る。メーカー希望小売価格は475ドルだ。

現行品の購入なら、ローカルの銃砲店よりも大型スポーツ用品店のほうが絶対にお安い。ということで、やってきたのはBASS PRO SHOP。アウトドアー用品を扱う全米規模の大型チェーン店である。自宅から車で15分の巨大ショッピングモールの一角にソレはある。
日本に居た頃、映画『ゾンビ』をテレビで観た自分は、「アメリカのショッピングセンターはデカイなあ。しかも銃砲店まで入ってるなんて凄すぎ」と衝撃を受けたものだが、このBASSPRO SHOPはもっと凄いというか、店内になんとシューティングレンジを完備してたりする。
家族でお買い物の際、母ちゃんと子供らがモールをウロウロしてる間に、父ちゃんは射撃を悠々愉しめちゃうワケだ。弾が尽きてレンジを出ても、店内を見て回れば、母ちゃんから「済んだから、帰るよっ」とケータイでお呼びが掛かるまでぜんぜん飽きないという寸法。便利なこっちゃ。

ま、それはともかくとして、ショーケースのベレッタには、嬉しいことにセール中の赤正札が付いていた。429ドル(+消費税+バックグラウンドチェック代5ドル)で売るらしい。よっしゃラッキー! ベレッタ見せてと店員に頼んだら、彼の顔がいきなり曇った。
「お勧めしないぜ」
エッ? まさか、早速リコールでもあったの?と理由を質すと、そこから彼の講釈が始まった。
「コイツにはスライドリリースレバーが付いてない。サムセフティもない。おまけにストライカー方式でハンマーもないから、扱いにくいぞ」
う~ん、そうだけど…。
「KEL TECなんかどうだ? コレなら安いし、スライドレバーもサムセフティもある。TAURUSもお勧めだ。RUGERならホレ、レーザーまで付いてるぞ」

多分その店員は、アジアのしがない駐在員がハウスプロテクション用の小型銃をお昼休みに物色しに来た、くらいに踏んだのであろう。ならば好都合とばかりに、彼がお勧めの銃たちを店頭で思いっきりいじらせてもらった。各々の印象を手短に述べると…、
@KEL TEC PF9
(299.99ドル。トリガーの感触がフワフワで、ストロークも長く、造りが安っぽいというかスカスカ感がいけない。薄さではNANOに勝つ。生涯保障付きながら粗悪感を拭い切れない哀しさ。重量434g、装弾数7+1発)。
@RUGER LC9
(399.99ドル。レーザー付きは469.99ドル。人間工学に基づいた薄くて最高の握り心地。トリガーのストロークは長いが、切れは割りとスムース。重量481g、装弾数7+1発)
@TAURUS PT709
(399.99ドル。コイツも薄くて握りも良いが、トリガーガードが狭く指が上部に当たってやや不快。重量525g、装弾数7+1発)
ざっとこんな按配。NANOは、PF9やLC9より分厚く重いが、前後上下のサイズは小さく、装弾数は1発少ないといったところが基本的な立ち位置だ。
さてさて、痺れを切らした店員がダブルカラアムのS&W M&P9 Compactまで薦めてきたところでさすがにさえぎり、


「ありがとう。あーでも、今日はベレッタにしとくよ」
と告げるとかーなり怪訝なお顔をしつつも、
「OK。ところで、BASS PRO SHOPのクレジットカードを申し込むと更に10%OFFだぜ」
と薦められましたが、めんどーだったのでそれは断りました。が、それでもサービスとしてシューティングレンジの1回フリー券(14ドル相当)を付けてくれました。あの手この手ですな。
エッ? どうしてオマエはNANOにしたのかって? それはつまり“安っぽ過ぎず高価過ぎず、ネタとしても新鮮で頃合いなポリマー製のメジャーブランド品”というのが理由ですね。ニューモデルに対しての情熱が希薄な筆者でスミマセン。

