2025/02/13
Beretta Mod70 PUMA “スパイライクな32口径中型オート”
Beretta
Mod70 PUMA
Toshi
Gun Professionals Vol.3 (2012年6月号)に掲載
“スパイライクな32口径中型オート”
ベレッタ雑感
ベレッタで真っ先に思い出すのはM1934? それとも92Fか?
大雑把に、かなり乱暴な言い方をすれば、昭和40年代に小、中学生だった自分の世代を境とした場合、それより前の世代はきっとM1934を上げ、後ろの世代は92Fの答えが返ってくるのではあるまいか。
そして自分の世代は、M1934に大きく振れつつも92Fに引っ張られる部分もあって、ついでにM84とか93R方向へも過敏に反応しちゃう特異体質なのではないかと。
斯く言う自分自身はと聞かれれば、本来ならM1934と言い切りたいところが、なぜかスズキの92SBを即座に思い出してしまう情けなさだ。お察しの通り、モデルガン絡みの個人的事情(このモデル、買い損ねました)が大きく影を落としている模様。
いずれにしても、今の時代はもう、ベレッタとくれば92Fと答えるのが模範解答であろう。うっかり92SBを思い出してしまう自分ですら、とりあえず本物を1挺(ステンレスの92FSです)は所持している。決して嫌いじゃないし、カッコ良いとも素直に思う。ただ、どこか馴染み切れないというかピンとこない部分があるだけの話で。
米軍制式の座を勝ち取った事で、92Fは確固たる地位をなし崩し的に築き上げてしまった。コレだけ巨大な既成事実は今更どうにも動かせないだろうし、ベレッタという会社自体、米国政府御用達の親方日の丸(星条旗?)メーカーとして、どっしり構えちゃってる感も大いにある。
つい最近、同社の22口径オートNEOSに、セフティ絡みの欠陥が見付かってリコールが掛かった。聞けば、セフティ・オンでも撃てちゃったり、まれにセフティをオフからオンにすると暴発しちゃったり(ひえ~)するらしい。おっかねえ。今のところ死傷事故までは起こってないらしいが、選りにも選って命の危険に直結するセフティの欠陥とは驚いた。
ベレッタさん、どっしり構え過ぎちゃってるからこーゆー事態を招いちゃうじゃないのかな。
まあしかし、例え招いちゃったとしても、今さら滅多な事ではビクともしないだけの政治的なバックアップすらも、この会社は92Fの成功によって得てしまったワケで、それを考えると余計に怖い気分なのだが。
さて、そんな悲喜こもごも(?)のベレッタと聞いて、最初にコイツを思い出しちゃう人は多分あまりいないだろう、取り分け日本人には少なめだろうというモデルをご紹介したい。
Mod 70 、PUMAだ。

Mod 70
毎度毎度同じ台詞で恐縮だが、自分はこのモデル、ずっと気になっていたクチである。
その昔、銀玉デッポウで確かに見たカタチ。
60年代の映画スパイたちが好んで使いそうな、如何にもなルックス。何と言うか、男心をワクワク揺さぶる曲線美がたまらない。
口径はヨーロピアンな32ACPだ。フレームはアルミでシングル・カラアム(装弾数8+1)のマガジンが付き、ハンマー露出のシングル・アクションにストレート・ブローバックというシンプルなメカ。オープン・トップのスライドがどこまでもベレッタベレッタした、小型軽量なセミ・オート・ピストルである。
誕生は戦後、手元の資料では1958年とある。全くの同型で380口径のモデルも存在し(フレームは鉄製)、そちらはM70 COUGARと呼ぶ。
勘の良い方ならお気づきかもだが、両者は、あの第二次大戦時のイタリア軍の制式拳銃、M1934(380口径)およびM1935(32口径)の後継機というか改良モダン・バージョンの位置付けだ。つまり、M1934がM70 COUGARに、M1935が今回M70PUMAに引き継がれたというワケ。
今更ではあるが、思えばベレッタの拳銃には、猫名前がやたらと多い。
PUMAにCOUGARにCHEETAHにTOMCATにBOBCAT。PANTHERなんてのもある。


今回のM70には22口径の姉妹品も存在するのだが、それがまた M71 JAGUARと、しつこく猫名前だ。
ややこしいのは、例えばCOUGARのように、M934(M1934の戦後版)と、380口径のM70と、そしてロータリー・ロッキングのM8000というように計3回も登場のケースがあること。
聞こえの良さにこだわったのか、ノスタルジーに訴えようとしたのか、はたまたそれだけ過去の同名モデルが売れたという証拠か。恐らくはその全部だろう。S&WのM&Pシリーズにしても全く同じ手法を仕掛けている。
なおこのモデル、カタログ落ち(或いは輸入中止)の時期が、資料不足でいまいちハッキリとしない。

PPKのように68年の米GCA法のサイズ規定に引っ掛かって消えたか、或いは69年に同社から出たM90(32口径の小型DAオート)にその座を奪われたのかなとも考えたが、米Gun Digest誌のカタログ・ページには80年代に入ってからもM70Sオート(Sは多分スポーツの意味と思う。ベレッタUSAが輸入販売)として載っているから、意外と息は長かったようだ。特に380口径と22口径モデルに至っては、80年代半ば過ぎの同誌にまで姿が確認できる。
その間、アルゼンチンのBERSAとか同じイタリアのBERNARDELLIといったメーカーがコピー品を連発していた。以上の事実からしても、このタイプの銃は、シンプルで真似しやすいのと同時に、一種定番的な人気がしっかりあったのだと断言できそうである。
