実銃

2019/11/16

実銃レポート「ストックガンの精度を検証!」【後編】

ただでさえ難しいといわれるハンドガンシューティング。当たらないのをガンのせいにする人も少なくないが、果たしてストック(箱出し)のファクトリーガンは、どのくらいの精度を持っているのだろうか。ストックガンとカスタムの精度比較をしてみた。

 

実銃レポート「ストックガンの精度を検証!」【前編】はコチラ

 

 

TT(I タラン・タクティカル・イノベーション)がプチカスタムしてくれたG17スライドの中身はスプリングガイド以外ストックのままだが、フレームのロッキングブロックを交換しているからか、必要十分の精度を叩き出してくれた。

 

昨今のストックガンの性能向上には目覚ましいものがある。特にセミオートピストルの世界では、一昔前と比べるとその精度も装備やフィニッシュにおいても格段によくなっている。

 

私が所有していたシリーズ70はグリップを握ってシェイクすると、スライドやバックストラップあたりのあちこちから「カタカタ」と音がしたものだった。これがいけないという訳ではないが、パーツの間に大きな遊びがあるという証明でもある。現行ガバメントでシェイクしてみると「カサコソ」程度の音はする。これがS&W M945に至っては、コソリとも音が出ない。スライドの遊びたるや感じることもできないし、銃口に指を当てぐりぐりしても、まったくソリッドな感じしかしない。

 

カスタム部分は、前後サイト交換、グリップ周りの整形(バックストラップが限りなくストレートになっている)、スティップリング、ロッキングラグの交換、トリガーチューンなどだ。

 

右下の2発をフライヤーとすると、69mmという好結果を叩き出したGen3。バレル基部を支えるロッキングラグを交換してあるのが効いたと思われる。

 

今回の精度テストでは、フェデラルのファクトリーアモを使用し、20ヤード(約18m)先のターゲットにピストルレストを使って10発を撃ち込み、明らかにヒューマンエラーと思われる1~2発を除いた弾痕のセンターからセンターまでを計測した。弾頭とバレルには相性があり、1種類のアモだけで精度結果とするのは抵抗があるが、これまでの経験上このフェデラルのHSTシリーズは特に新しい機種とは相性がいいという結果が出ているので、今回の目安とすることにした。このあたりを公正にするためにそれぞれ10発を撃ち、より平均的な結果を得られるようにしたのだ。

 

Glock Gen5 G19

 

現行ストライカーピストルでは箱出しでもトップクラスの性能といえよう。カスタマイズしなくてもかなり使える。ただしポリマー製の前後サイトだけは交換の必要ありだ。

 

左の2発は私のミスである。以前のテストではPRIME製の124グレインFMJでベストのスコアを出していた。コンパクトガン20ヤードでこの結果は納得だ。

 

これらのテスト結果から、時代の進歩をひしひしと感じることとなった。ファクトリーストックガンといえども、20ヤードの距離からヘッドショットを狙えるのだ。

ただし、ここで際立っていたのは、カスタム陣の撃ちやすさだ。S&W M945の手の平に吸い付くような撃ち心地は最高だし、SAI M&Pのフロントサイトの戻りの速さ、リコイルの軽さは特筆ものだ。

 

SAI M&P PROカスタム

 

3年ほど前にSAIがカスタムしてくれたM& Pのフルカスタム。バレルもオーバーサイズのマッチバレルをフィットしてある。撃ち心地も最高だ。

 

上に1発飛ばしてしまったが、62mmに収まったSAIのターゲット。今回は他と公平にするためドットサイトは使っていない。以前のテストでは25ヤードで50mm以下という成績も叩き出している。

 

【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】

大胆な加工が施され、外観がガラッと変わるカスタムモデルは、当然の如く良好な結果を示している。ベースとなるストックガンの性能とて、決して悪いモノではない。しかし、その差はグルーピング性能だけではない。撃った際のフィーリングやサイトの戻りやすさと言った点にも表れるのだ。Hiro Soga氏のレポートは、そういった部分にまで言及されているので、実銃にさほど馴染みがない我々でも分かりやすい。

 

 

Photo&Text:Hiro Soga

編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年12月号 P.114-121より抜粋・再編集したものです。

 

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