2026/04/03
【気鋭作家×HOBBY JAPANコラボレーションナイフ企画】萩野 力 Asurah Knives
気鋭作家×HOBBY JAPAN コラボレーションナイフ企画
萩野 力 Asurah Knives
「気鋭作家×HOBBY JAPANコラボレーションナイフ企画」の各作家にクローズアップ。ナイフと作家へのご理解を深めていただければればと思う。
ナイフを持っていてよかった、と感じてもらえる1本をつくりたい
「ナイフならではの『実用性』をずっと追求しています」
Asurah Knivesの萩野力さんは、そう語る。
萩野さんの活躍ぶりは、ナイフファンならずともよく知られている。
ナイフ制作を始めたのは約5年前。独学でナイフをつくりナイフショーに出展して、を繰り返す中で、Asurah Knivesを象徴する「インテグラルスタイル」にたどりつく。たっぷりとした厚みあるブレードに、テクスチャーのついたハンドル。丈夫かつユーティリティ性が高いデザインは、たちまち各方面から注目を集めるようになった。
2021(令和3)年に開催された「マトリックス・アイダナイフコンテスト」などでの受賞でナイフファンにその存在を知られるようになり、アウトドアのインフルエンサーとのコラボナイフ「さばいどるナイフ」シリーズのヒットで幅広い層からの人気を集めるようにもなった。
それらの実績を踏まえた上で昨年発売したホビージャパンとのコラボ作“Monolith Modern”は、当然のことながら予想を上回る人気を得て成功に終わった。準備期間を含めると数年にわたるプロジェクトで、筆者が何よりも貴重だと感じたこと。それは、制作現場を見学し、デザイン画や試作品を直接手に取りながら、彼の制作に対する姿勢や考え方に触れられたことだった。
萩野さんが制作において行うことは、おそらく他の作家たちと大きく変わることはない。
まずはデザイン画を描く。日をおいて見直して気になるところを修正する。もう一度見直してさらに修正を行う。何度も繰り返してこれでいいと思ったところで筆をとめる。そこからはひたすら手を動かして鋼材を削り出していく作業だ。ナイフ制作を始めてから少しずつ増やしていった機械工具類も活用しながら、一定以上のクオリティを保ったものづくりを行う。
オーソドックスである。だが、当たり前の作業を積み重ねた結果、生み出される作品は、ひと目で彼の作品とわかる個性、それに加えて実用のための理と機能美を併せ持ったプロダクトとしての魅力を兼ね備えている。
独自性の高い、用と美のバランス。それこそが萩野さんの作品の他にはない魅力であることを、実感させられたのである。
今回のコラボモデルは、そんな萩野さんの特徴である厚みを幾分か薄くし軽やかさを強調した小型ナイフである。
「今回の“Monolith Prime”はデスク周りで使えるような汎用性を意識したモデルです。アウトドアやキャンプでの汎用性にフォーカスした前回の“Monolith Modern”とコンビを組める1本になると思います」
萩野さんの言葉通り、手にすると想像以上の「軽さ」に気付かされる。手のひらにすっぽり納まりそうなサイズも相まって操作性の高さを予感させるモデルだ。
インテグラル構造でヒルトやガードとなる部分はない。だが、絶妙な段差を設けることで、操作性を失うことなく、手がブレードエッジに当たることを回避するデザインとなっている。ハンドル部分のテクスチャーも滑り止めとして効果的で、さまざまなポジションで使える。デスクナイフとしてはもちろんだが、キャンプでの料理などでも間違いなく活躍してくれる1本になるはずだ。
「小型化しても、ナイフが本来持つユーティリティ性や信頼性を欠かすことな<詰め込まなければならない。ハサミやカッターではなく『ナイフ』だからよかった、と感じていただけるような1本にしよう。そんなコンセプトでデザインしました」
他にはない個性で一躍人気となった萩野さんだが、その根底には刃物として機能を追求したいという思いが一貫して流れている。
「ナイフは道具だと思います。実用性を追求した先に生まれる美しさに僕自身がとても惹かれるんです。これからも実用性を追い求めながらナイフ作りを続けていきたいです」
コンセプトから制作方法まで、どこまでも「当たり前」を突き詰めたものづくり。そこに彼だけのセンスが加わることで、唯一無二の「道具」となったAsurah Knives。その世界観を常に身近に備えることができるモデル。それが今回の“Monolith Prime” だ。
ブレード長:70mm
ブレード厚:3mm
ブレード&ハンドル材:EXEO-CR20
価格:¥55,000(税込)
専用シース付属
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構成:服部夏生(刃物専門編集者)
この記事は月刊アームズマガジン2026年5月号に掲載されたものです。
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