2026/01/06
昭和大好きかるた 時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る 第44回「わ」
時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る
第44回
わ
ワッフル
令和となってはや幾年。平成生まれの人たちが社会の中枢を担い出すようになった今、「昭和」はもはや教科書の中で語られる歴史上の時代となりつつある。
でも、昭和にだってたくさんの楽しいことやワクワクさせるようなことがあった。そんな時代に生まれ育ったふたりのもの書きが、昭和100年の今、"あの頃"を懐かしむ連載。
第44回は、軍事フォトジャーナリストの菊池雅之がお送りします
![]()
ワッフルを知らない、という人は少ないでしょう。
網目のような凹凸がついた焼き菓子のことです。ベルギーの国民的なお菓子ですね。改めて調べてみると「蜂の巣」を意味するオランダ語”wafel”が語源だそうです。
材料としてイーストで発酵させた生地を使うのが本番ベルギー風。一方で、アメリカではベーキングパウダーを使うそうです。原料に違いはあるにせよ、蜂の巣状になっていることが大事なようです。
「どら焼きの西洋版」に親しんだ少年時代
小さい頃の私が知るワッフルは、“どら焼きの西洋版”でした。小判型に焼いた生地で折りたたむようにあんこやクリームを挟んでいました。肝心の蜂の巣状にはなってはいませんでしたので、厳密に言うなら、これはワッフルではない、ということになります。
話は脱線しますが、小学生の頃の私は、「亀屋万年堂」のナボナも大好きでした。王貞治選手(当時)をイメージキャラクターとして、「ナボナはお菓子のホームラン王」というキャッチコピーで人気を博したちょっとお高めのお菓子です。ナボナをはじめ、当時の焼き菓子と言えば、何かを間に挟む系が多かった気もします。
日本版ワッフルのルーツを辿ると、諸説あるらしいのですが、定着させたのは岡山県の洋菓子屋さん「白十字」という説が有力だとか。ベルギーの方にこの“どら焼きの西洋版”たる日本版ワッフルを出したら、どんな顔をするか見てみたいですね。おいしいのは間違いないので、納得できないながらも受け入れてくれそうではあります。
今では「昭和のワッフル」として、あえてこのスタイルで、販売されているのを見ます。
昭和が終わり、私は本物のワッフルと出会います。
それを教えてくれたのが、銀座4丁目に今もある「銀座マネケン」です。このマネケンはもともと大阪の洋菓子屋さんで、日本において本場のベルギーワッフルを広めたと言われています。
当時の私は、周りの女子からは“甘党だよね”と言われていました。スイーツ男子という言葉は存在しませんでしたが、間違いなく私はスイーツ男子であり、とにかくお菓子は大好きでした。
昭和末から平成初期には、海外からよくわからないお菓子がとにかく来日しました。ティラミスにナタデココ、パンナコッタ……。なんとなく広告代理店により無理やり流行らされた気がしなくもないですが、元祖スイーツ男子の私は飛びついたものです。銀座にて、本場のワッフルと出会ったことも、これら未開のお菓子たちと同列に新鮮でした。
特にザラメの触感のワッフルが大好きでした。これは「リエージュ・ワッフル」と呼ばれ、ベルギーのリエージュ地方で食べられていると教わりました。
本場で味わった本物のベルギーワッフル
この出会いから10年後くらい経ったでしょうか。
私は仕事でベルギー陸軍のヘリ部隊を取材することになりました。訪問先となる基地が、なんとリエージュにあったのです。当然ながら私の頭の中に真っ先に浮かんだのはワッフルでした。
ベルギーの首都ブリュッセルから電車でリエージュに到着。駅前のホテルにチェックインし、部屋に荷物を置くなり、すぐさま街へ繰り出しました。目的は当然ながらワッフル探訪です。確か時間は20時近く、晩ごはんもまだでしたが、とにかくワッフルが食べたかった。
お店はすぐに見つかりました。私が「リエージュ・ワッフル下さい」と告げると、「すべてワッフルだよ」という反応。これは、広島で「広島風お好み焼き下さい」と告げて「お好み焼きの事だろ」という反応に近かったのかな、と分析しました。
かくして網目がくっきりついたワッフルが目の前に。外側にはザラメ感はなく、思っていたものとは少し違う……。でも、一口食べると、生地の中にしっかりとした砂糖の感覚。本場のリエージュ・ワッフルにようやくたどり着いた満足感は、今でも忘れられません。
昭和のワッフルは、まさに日本人が得意とする自己流アレンジでありますが、これもまたよし。本場を知ったとしても、昭和のワッフルは今でも大好きです。
うん、今こうして文章をしたためながら、ワッフルを食べたくなってきました。
今では、本場ベルギーの味が日本各地で食べられるようになったのはうれしいですが、昭和のワッフルも変わらずに生き続けて欲しいです。
TEXT:菊池雅之
※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

