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2025/12/09

昭和大好きかるた 時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る 第42回「れ」

 

時代を超えた普遍の良き「何か」を振り返る

 

第42

レンタルビデオ

 

 令和となってはや幾年。平成生まれの人たちが社会の中枢を担い出すようになった今、「昭和」はもはや教科書の中で語られる歴史上の時代となりつつある。
 でも、昭和にだってたくさんの楽しいことやワクワクさせるようなことがあった。そんな時代に生まれ育ったふたりのもの書きが、昭和100年の今、"あの頃"を懐かしむ連載。
 第42回は、軍事フォトジャーナリストの菊池雅之がお送りします。

 

 

映画好き少年が出来上がるまで

 

 私は小学生の頃から映画が大好きでした。最初は『ドラえもん』や「東映まんがまつり」など、子供が見るべき映画の登竜門はたどり、小学4年生ぐらいからはハリウッド映画にハマりました。


 当時の鑑賞方法は、主としてTV。
 しかし、当時はただ映画を流すだけでなく、ストーリーテラーがいて、放送前にあらすじや見どころを語り、終了後はネタバレを含む裏話などを語っていました。水曜ロードショーの水野晴郎さん、日曜洋画劇場の淀川長治さんなど、素敵な方々がそうした仕事を行っていました。


 映画館でハリウッド映画を観るようになったのは、友人に「今度母親と『ベスト・キッド』見に行くけど、一緒に行かないか?」と誘われたのがきっかけです。
 小学生の頃は、まだ子供だけでそうした映画を見るのに罪悪感があったので、親が付き添うことは珍しいことではありませんでした。ただ、その友人は、ボチボチ親、それも母親とふたりで出かけることに抵抗を感じていたようです。私を誘ったのはそのような理由もあったのでしょう。

 

今ではお目にかかることも少なくなったビデオテープ。当時はVHSとベータという仕様がありました

 

 そうこうするうちに、我が街にレンタルビデオ店が出来ました。いや、すでに他にもあったのかもしれません。だから、目に留まった、という方が正しいかもしれません。
 ビルの1階に入る個人店でした。品揃えは良かった記憶があります。


 何より店長のキャラクターが良かった。
 リーゼントに革ジャンという、なぜか「ロック」ないで立ち。それでいて厳つさはまったくなく、とても親切。


 しかも、週に1回ぐらいのペースで、手書きのチラシを作っていました。チラシと言うよりも学級新聞に近い感じで、店長のおススメ映画や、注目の俳優さんの紹介などが書かれていました。ネットがなかった時代、こうした口コミの情報は非常に大事なものでした。

 

 

映画の醍醐味を伝えてくれたレンタルビデオ店


 最初は父親同伴で、会員証を作りました。本当は、父親のカードを作る予定でした。でも私が映画好きだと知り、父が私のカードも作ってくれました。
 当時のレンタル料はそこそこ高く、確か2泊3日で800円ぐらいだった記憶があります(もう少し高かったかも…)。いずれにせよ、小学生の私には1カ月に何本も借りられるような価格設定ではなかった記憶があります。


 しかし、ある日、画期的なシステムが、その店に導入されました。
 月3,000円で借り放題!! 今風に言うならばサブスクの導入です。
「絶対にお得じゃん!」と私はすぐに申し込みました。


 その時の「やっぱり君が来たか」と喜ぶ、店長の笑顔は今でも覚えています。
 それからは借りると3日後ぐらいには返し、その際にまた借りる…という方法で、かなりのヘビーユーザーとなりました。
 店長はキャラに似合わず、戦争映画が大好きだったので、彼のおすすめをたくさん教えてもらいもしました。


 戦争映画だけじゃありません。「これ見てみなよ」とホラー映画の『バタリアン』をおススメされたこともありました。当時は、なぜ? と思ったものですが、きっと「もっといろんなジャンルの映画を見ろ」とのメッセージだったのだろうと、今は思います。
 中学生になってもしばらく通いましたが、だんだんクラブ活動やバンド活動が忙しくなってきて、いつしか通うことはなくなりました。

 

レンタルビデオ店だけに限らず、常連になって店員さんとする会話はやはり楽しいものである

 

 今のネット配信はとても便利です。しかし、対面での情報交換ができるレンタルビデオにしかない楽しみもありました。
 ちなみに私は返すのを忘れて延滞金を支払う、というレンタルビデオあるあるは経験していません。返す面倒くささよりも次の映画を借りたい欲望の方が強かったからです。
 

 

TEXT:菊池雅之

 

 

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