2025/11/27
東京マルイが放つ電動ガンの新たなカタチとは?「東京マルイフェスティバル2025」レポートダイジェスト
電動ガンEVOLTシリーズ、ついにベールを脱ぐ!
東京マルイフェスティバル2025が11月8日、9日にベルサール秋葉原1Fで今年も開催された。ここで発表された新製品についてご報告させていただこう。
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2014年に始まって以来、今年で9回目となる東京マルイフェスティバルは、毎年魅力的な新製品が発表されるため、たくさんのエアガンユーザーが集まり、会場は熱気に包まれる。今年は新製品として、“電動ガンプラスシリーズ・MP5Kプラス”、“エアーリボルバープロ M1851 NAVYシルバーモデル”、『リコリス・リコイル』コラボレーションモデル“「たきなの銃」”がいずれも8日の午前10時の会場オープンとともにアンベールされ、来場者に公開された。
電動ガンプラスシリーズ MP5Kプラス
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MP5Kプラスは、2023年から始まった電動ガンプラスシリーズの6機種目で、サイズ的には現時点でこのシリーズ最小モデルとなる。FET回路を搭載して安全性を高めるとともに、アッパーフレームをカーボン入り強化樹脂、ロアフレームとフォアグリップにはガラス繊維入り樹脂を採用して剛性強化。また新しいMS・Li-Poバッテリー7.4V 800mAhのスティックタイプが使えて、従来の8.4Vニッケル水素AKバッテリーも共用できるというものだ。マガジンは最後の1発まで撃ち切れる新型フォロワーが採用されたMP5シリーズ用41連新型マガジンを標準装備(オプションとして発売予定)。鋭意進行中、発売時期、価格未定。
エアーリボルバープロ M1851 NAVYシルバーモデル
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ちょうど1年前の東京マルイフェスティバル2024で発表され、2025年1月に発売されたエアーリボルバープロシリーズM1851 NAVYに、初のバリエーションとしてシルバーモデルが登場する。本体をシルバーのウレタン塗装とし、グリップはクリアパール塗装のアイボリーカラー、また各部のスクリューはメッキ仕上げとして、本体と色調を揃えている。こちらも鋭意進行中、発売時期、価格未定だ。
「たきなの銃」
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「たきなの銃」は、アニメ『リコリス・リコイル』の“井ノ上たきな”が劇中使用する銃だ。アニメの描写に合わせるべく、銃全体がほぼ新規で作られている。スライド、フレーム、フロントサイト、リアサイト、アウターバレル、リコイルスプリングガイド、マガジンボディ、マガジンバンパーが独自形状であるため、新規金型で製作するということは、外装パーツのほとんどすべてが新規製作になり、これはかなり大掛かりな製品だ。鋭意進行中、発売時期、価格未定。
一方、ベールに覆われたプレゼンテーションステージでは…
これら3機種の新製品はそれぞれ魅力的だ。しかし、会場の奥に設置されたプレゼンテーションステージは10時15分のプレゼンテーション開始まで黒い布で覆われていて、見えない状態を維持し続けた。
今回初めて一般公開された、自衛隊に納入する市街地戦闘訓練用教材“20式5.56mm小銃型エアソフトガン”も、10月の「SEECAT テロ対策特殊装備展25」では関係者以外には非公開だったため、もしやこのフェスティバルにおける目玉の新製品は、この20式の一般市販型ではないか?という噂もあった。しかしその推測は完全に外れることになる。
やがて予定時刻の10時15分、その姿を公開したのが“電動ガンEVOLTシリーズ”である。
東京マルイの強い決意が創り上げた「電動ガンEVOLTシリーズ」
今回、こういう演出が行なわれたのは、この電動ガンEVOLTシリーズが東京マルイとして極めて重要な製品だからだ。
1965年に「株式会社東京マルイ玩具」として創業した同社は1979年に“造るモデルガン”でトイガン市場に参入。1985年にエアコッキング式エアソフトガン“ルガーP08”を発売すると驚くほど高性能だと評判になった。同年に社名を「株式会社東京マルイ」に変更。その後1991年に発売した世界初の電動ガン“FAMAS 5.56-F1”は当時サバイバルゲームで圧倒的な人気を集めていたBV式フルオートモデルをわずか数年で駆逐し、電動ガンがこの市場における主役に躍り出る。
トイガン業界を牽引するメーカーとなった東京マルイは電動ガンとほぼすべてのエアソフトガンカテゴリーで高い実績を打ち立てていく。しかしそこにはリーディングカンパニーとしての苦悩もあった。後年エアソフトガンは海外でも盛んに作られるようになったが、その多くが東京マルイ製品を無断でコピーしたパテント侵害によるものだったのだ。なかでも電動ガンは東京マルイにとって一歩も譲れない存在である。電動ガンを最初に作り上げたメーカーとしてのプライドを懸け2007年には次世代電動ガンを開発。従来型の電動ガンは“電動ガンスタンダードタイプ”と区別されるようにまでなった。
そんな次世代電動ガンの登場から18年が経過した今、東京マルイは新たな、そして大きな1歩を踏み出す。それが今回の電動ガンEVOLTシリーズだ。電動ガンのカテゴリーでは常にNo.1でなければいけない。その強い決意がこの電動ガンEVOLTシリーズを創り上げたといえるだろう。
電動ガンEVOLT M4A1カービン
DATA
- 全長:776mm~858mm(14.5インチ時)/700~782mm(11.5インチ時)
- 銃身長:229mm(インナーバレル)
- 重量:2,700g(空マガジン、バッテリー含む)
- 装弾数:81発
EVOLTとは、Evolution(進化)とVoltage(電圧)を組み合わせた東京マルイによる造語だ。この製品は“東京マルイにおける究極のM4”を目指したものだ。ここでいう“究極”とは“リアル”という言葉に凝縮されている。18年前に登場した次世代電動ガンは、スタンダード電動ガンをベースに進化改良を加えたものだが、EVOLTシリーズは従来の電動ガンをいったん白紙とし、新たに作り上げた製品だ。これは、そうしなければ、この“リアル”を実現できなかったからに他ならない。
■リアルな外観
電動ガンEVOLTシリーズはアッパー、ロアともにアルミダイキャストのリアルサイズ。これは外観のみならずレシーバー内部の幅から、指で押して引き出すことができるテイクダウンピン、ピボットピンに至るまでリアルサイズとなっている。
電動ガンとして内部にモーターを仕込みながらも実銃グリップと同じ薄さを実現すべく、ベアリング仕様の逆回転式モーターEG1000BRを新たに開発。A2グリップは強化樹脂製で無塗装、さらに将来のバリエーション展開として、グリップ取り付け基部の角度も変更可能な設計にしている。
アルミ切削によるバッファーチューブもリアルサイズのインチ仕様。すなわち実銃の各種ストックがそのまま装着できる。ハンドガードもリアルサイズで内部のヒートシールドも再現している。またハンドガードの固定部分はインチ、ミリの両方に対応可能なハイブリッド仕様だ。これにより実銃のハンドガードも無加工で装着できると思われる。
■リアルさと機能性を追求した内部構造
リアルさの再現は外観だけでなく、内部構造にも及んでいる。既に述べたとおり過去の電動ガンの発展型ではなくゼロから作り直したことによりメカボックスはまったく新しいもので、リアルサイズのレシーバーに収めることができた。またテイクダウンを実現するため、メカボックスとシリンダーアッシーを別々の構造とした。
メカボックスを構成するギアやシャフトもすべて新規設計し滑らかな回転と耐久性を実現させている。さらには貫通式アンビセーフティセレクターも実現。テイクダウンによって見えるアッパー、ロアの内部構造はさすがに実銃と同じとまではいかないが、その見た目をスッキリとシンプルにしている。
チェンバーも電動ガンEVOLTシリーズ専用で、ノズルの位置を安定させるスタビライザーを搭載。これはマガジン内の残弾量でノズルに掛かる力が変化して命中精度が安定しないという問題を、スタビライザーノズルで解消するものだ。
さらにM System Type IIを標準搭載。M Systemは「Magnetical Fire-Control System」を意味するもので、マイクロコントローラユニットがFET、FC(Fire Control:火器管制)、バッテリー、モーター、ギアの回転、安全機能をすべてセンサーを通じて総合的に制御するというものだ。
■リアルな操作
射撃開始はまずチャージングハンドルを操作、あるいはレシーバー側面のボルトリリースを押す。射撃時にはエジェクションポートからダミーボルトの前後動が見える。マガジンの残弾がなくなるとセンサーが検知して、作動停止、ダミーボルトも後退位置で止まる。マガジンを交換してボルトリリースを押すか、チャージングハンドルを引いてダミーボルトを前進させる。この実銃同様の一連の操作がリアルさを感じさせてくれる。
また、新たに採用された「ワン バイ ワン リローディングシステム、インナーエレベーションシステム」は、BB弾が1発ずつマガジンからチェンバーに送られるものとなっている。実銃ではマガジンを抜いてもチェンバーに1発残るが、このシステムではチェンバーにBB弾が残ることはない。つまり敢えてここは実銃と違う構造として安全性を追求している。
■バッテリー
今回の電動ガンEVOLTシリーズは、新開発のMS・Li-poバッテリー7.4V 800mAh スティックタイプ(JBRC加盟商品:安全回路内蔵)を使用、他のバッテリーでは作動しない。バッテリーの収納はバッファーチューブ内(後述するRSはストック内)となった。バッテリーの装着は、EVOLT本体をテイクダウンさせた状態から、バッファーチューブ内部にバッテリーを挿入する形で行なう。すなわち、バッテリーの着脱のためにストックを外すといった作業は必要ない。今回は、この新型バッテリーとチャージャーのセット販売も行なわれる。
EVOLT RS FPR Mk4
今回はEVOLTシリーズの第1弾となるEVOLT M4A1カービンと併せ、その後に発売される第2弾のEVOLT RSのFPR Mk4も発表された。
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DATA
- 全長:724mm/806mm
- 銃身長:229mm(インナーバレル)
- 重量:3,100g(空マガジン、バッテリー含む)
- 装弾数:81発
*オプティックサイトやサプレッサー、フラッシュライト等は参考品
EVOLT M4A1はリコイルレスモデルだが、RSはRecoil Shockの略で、リコイルウエイトを搭載し、実銃のM4カービンを撃った時に発生するリコイルを疑似的に作り出す仕様だ。製品としては、コルトのFPRMK4 (Federal Patrol Rifle)を模したモデルで、これはガイズリーSMRMK4 Federal 10インチタイプ アルミハンドガードを装着した11.5インチバレル、クレーンストック仕様のM4を再現している。
RSモデルはバッファーチューブ内にリコイルメカを搭載するため、バッテリーはクレーンストックに収納する形だ。
またリコイルショックに対応するため、ギアボックスの軸受けが強化され、耐久性を上げるなど、単にリコイルウエイトを組み込んだものではない。
■発売時期&価格
新製品EVOLTシリーズの発売時期についてだが、通常は今回のようなまったく新しい製品を発表する際、“鋭意製作中”といった表現に留まることが多い。今回の東京マルイフェスティバルで発表された他の製品もすべてそうだった。しかし電動ガンEVOLTシリーズについては、かなり踏み込んだ形で、その時期が明言されている。これは異例なことだろう。
EVOLTの発売は“今冬”、EVOLT RSは“その数ヵ月後”ということだ(ちなみに“冬”とは、12月1日から翌年の2月28日までを指す)。 また電動ガンEVOLTシリーズは、今回初の試みとして、完成品の販売の他、アッパーのみ、ロアのみの別売り販売もいずれ行なう予定だそうだ。
そして気になる価格だが、EVOLTがメーカー希望小売価格で¥90,000、EVOLT RSが ¥120,000(ともに税別)と価格も既に決まっている。
電動ガンEVOLTシリーズは東京マルイとして、第三世代に相当する電動ガンだ。1991年に始まった同社の電動ガンの歴史に新たなページを加える記念すべき製品となっている。その特徴はすべて魅力的なものばかりだ。EVOLT、EVOLT RS、そのどちらにも大いに期待したい。
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TEXT:Satoshi Matsuo/アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2026年1月号に掲載されたものです。
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