エアガン

2025/07/03

実銃を超える創造力! メーカーオリジナルライフル【トイガンの進化に迫る】

 

進化はとどまることを知らない、オリジナルデザインライフルの今に迫る!

 

近年、実銃にはないトイガンメーカーによる独自デザインのオリジナルライフルが人気を集めている。個性的なフォルムだけではなく使い勝手や内部メカにこだわったものもあり、エアガンとして完成度の高い製品もある。今回の特集は最新のメーカーオリジナルライフルをフィーチャーする。

 

実銃を超える創造力! メーカーオリジナルライフル

 

プロローグ ~メーカーオリジナルライフルの歴史と躍進~

 

 近年エアガンのトレンドは二極化している。ひとつは、実銃メーカーと正式契約を結ぶことにより実銃同様のディテールや刻印を再現したモデルガン的な要素を持つもの。もうひとつが実銃のトレンドを取り入れつつトイガンメーカーが独自にデザインした実銃には存在しないオリジナルなもの。前者は「オフィシャルライセンスドモデル」、後者は「架空銃(オリジナルエアガン)」と言われることがある。

 エアガンの黎明期である1970~1980年代は、マスダヤ(増田屋コーポレーション)やヨネザワ(後のセガトイズ)、グンゼ(現GSIクレオス)といった玩具やホビー系のメーカーがエアガンを製造・販売するのは珍しいことではなかった。東京マルイもその当時はプラモデルやラジコンを製造していた。モデルガンが大人志向だったのに対して、エアガンは子供向けというイメージが強く、それゆえにガンショップではなく玩具屋で売られており「オモチャっぽい」架空銃が多かったとも言える。

 

オールドエアガンの代名詞的存在であり、架空銃の元祖といっても過言ではないマスダヤのデタッチャブルSS-200。基本となるボディをベースに、バレルやストック、フォアエンド、スコープといったオプションパーツを自由に付け替えて遊ぶことができる
オールドエアガンの代名詞的存在であり、架空銃の元祖といっても過言ではないマスダヤのデタッチャブルSS-200。基本となるボディをベースに、バレルやストック、フォアエンド、スコープといったオプションパーツを自由に付け替えて遊ぶことができる

 

デタッチャブルと並ぶオールドエアガンの傑作であるタカトクのSS-9000。当時、実銃を知らない子供たちはこれがボルトアクションライフルだと思ってしまった。実銃にありそうに見えるが、ベースとなった実銃は存在しない
デタッチャブルと並ぶオールドエアガンの傑作であるタカトクのSS-9000。当時、実銃を知らない子供たちはこれがボルトアクションライフルだと思ってしまった。実銃にありそうに見えるが、ベースとなった実銃は存在しない

 

 1980年代半ば以降、トイガンの主流がモデルガンからエアガンにシフトし、MGCやコクサイなどのモデルガンメーカーがエアガンの製造に本格着手したことによりエアガンのリアル化が急速に進み、エアガンにリアルさを求める傾向が出てきた。この当時のユーザーは実銃からトイガンに興味を持つ方が多かったからかもしれない。

 

 

「実銃の再現」から「多様なオリジナリティ」の時代へ

 

 1990年代から2000年代にかけてモデルガンの新製品の数が少なくなると同時に、ガスブローバックガンの台頭からエアガンにモデルガン的な要素を求める流れが一層強くなった。さらにメーカーはもちろんユーザーサイドでも実銃の資料が入手しやすくなり、リアルさを求める動きに拍車がかかった。リアルさの追求は外観だけではなく内部構造においても製品のレベルアップに繋がった。
 しかし、2010年頃を境に、TVゲームやアニメの影響、あるいはサバイバルゲームの道具としてトイガンに興味を持つ方が増え始め、ユーザー層の変化と多様化、リアルさにこだわらない「カッコいい」ものを求める動きから次第に架空銃が注目されるようになった。メーカーのオリジナルモデルの誕生はそうした世情がある一方で、実銃メーカーとの契約を回避するためという名目もあった。

 

G&Gアーマメントの傑作CM16 SRXL RED EDITION
実銃のトレンドを取り入れつつ実銃にはないオリジナルデザインのライフルをいち早くリリースしていたG&Gアーマメントの傑作CM16 SRXL RED EDITION。他社に先駆けて電子トリガーシステムを標準装備したことでも話題になった

 

FF26 BlowBack
通称「ピンクのM4」と呼ばれたG&GアーマメントのFF-16カービンや写真のFF26 BlowBackは日本のみならず世界中に衝撃を与えた。女性向けに作られているが、意外と男性のユーザーからも好評だった

 

東京マルイのパトリオットプラス
バレルを短くしてストック(バッファーチューブ)レスにしたピストルスタイルの通称「パトリオットカスタム」をイメージした東京マルイのパトリオットプラス。単に短くするだけではなくエアガンとしての実用性もしっかり追求されている

 

MTR16
MTR16はM4カービンの民間モデルをイメージした東京マルイオリジナルデザインのM4カスタム。コントロールレバー類はすべてアンビで、M-LOKを採用したハンドガードは実銃の装着して使い勝手や耐久テストを行なうなど、まさに実銃に存在しても違和感のないオリジナルライフルだ

 

 いずれにしてもエアガンの歴史は前述したように架空銃から始まっており、原点回帰したといっても過言ではないのだが、最近の架空銃は実銃にありそうな形状や機能性、実用性を備えており、もしかしたら架空銃をベースにした実銃が誕生するという夢のようなことが起きても不思議ではない。

 


 

TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部
撮影協力:バトルシティ

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年7月号に掲載されたものです。

 

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