ミリタリー

2025/02/07

「みちのくALERT2024」東北6県を舞台に実施された大規模実動演習

 

陸上自衛隊東北方面隊主催の災害対応訓練

 

 2024(令和6)年11月15日から24日まで、東北6県を舞台とする大規模実動演習「みちのくALERT2024」が実施された。2008年から開始されているこの演習は、コロナ禍の影響もあり大規模実動演習としては6年ぶりに開催。防衛省陸上自衛隊東北方面隊が主催し、災害対処における関係各機関および企業との連携強化を図った。

 

人命救助活動のため前進する第22即応機動連隊の96式装輪装甲車

 

各機関の連携により大災害における「公助」を強化


 「みちのくALERT(アラート)2024」のコンセプトは「繋がる」で、自衛隊と関係自治体や団体、企業などと一体化し、組織間の連携強化を狙っている。また、東北方面隊で考えられている災害対処計画の具現化や、過去の震災から得られた教訓を活かすことも目的となっている。


 訓練は岩手県沖を震源とする地震と津波によって青森県、岩手県、宮城県に大きな災害が発生し、特に宮城県と岩手県沿岸に複数の孤立地域が発生したという想定で開始。秋田県と山形県で日本海に停滞する活発化した前線によって大雨が発生し、複数の河川で氾濫が起きている状況も含まれた。

 

石巻工業港に入港する海上自衛隊の輸送艦「くにさき」。災害で破壊されたインフラの復旧を想定し、災害対策車輌が搭載されていく


 今回取材できたのは、宮城県石巻市で発生した孤立地域への災害応急対策活動の一部で、具体的にはヘリコプターを用いた空路からの救助活動、海路を使用した海上自衛隊による海上輸送、そして崩落した橋の横に応急橋梁を構築し、陸路からの前進経路を開設するというもの。

 

国土交通省東北地方整備局(協力:一般社団法人宮城県建設業協会)のパワーショベルや第10施設群のバケットローダによる道路啓開作業

 

「みちのくALERT」初登場となった陸上自衛隊犬型UGV(Vision 60)による被災者捜索

 

 この他にも、土砂崩れを想定した道路啓開や人命救助作業、通信や電源等インフラが破壊されたことを想定した関係省庁および指定公共機関の協力によるインフラ応急復旧、さらに航空自衛隊松島基地所属隊員による炊き出しなども行なわれている。


 同じく宮城県内にある霞目駐屯地では、関係部外医療機関などとの連携を確認するため東北大学病院や仙台市立病院など各病院が持つDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)と、仙台赤十字病院救護班、東北方面衛生隊や自衛隊仙台病院などが医療活動の協同訓練を行なっている。

 

津波避難タワー上の住民を仙台市消防航空隊のベル412EPや陸上自衛隊東北方面航空隊のUH-1Jが救助


 次回の「みちのくALERT」は自治体、関係機関等との調整会議を経て開催時期および地域等が決定される。今回は自治体等の協力により会場周辺に無料の臨時駐車場と無料シャトルバスなどが運営され、一般人が気軽に足を運び見学することもできたので、ご興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

 

石巻市内の海岸に上陸する海上自衛隊のエアクッション艇LCAC

 


 この演習でクローズアップされたのは国や自治体の組織・機関を主体に国民を助ける「公助」だが、大災害に遭った際にはまず自分の身を守る「自助」、周囲の人とお互いに助け合う「共助」の各段階が生存確率を上げることを忘れてはならない。国民の一人一人に、日頃から防災意識を高め、いざという時に備えることが求められている。

 

石巻広域消防と陸上自衛隊が連携して被災者を救助する

 

92式浮橋を架設するため、橋節部分を水上に降ろす場面。着水した橋節は自動的に展開し、手前や奥にあるイカダのようになる

 

 

Text&Photos:武若雅哉

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年3月号に掲載されたものです。

 

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