ミリタリー

2025/02/05

陸上自衛隊第10師団創立62周年・守山駐屯地創設65周年記念行事

 

新鋭第10偵察戦闘大隊と仮設敵の活躍が光った訓練展示

 

 2024(令和6)年10月13日には、愛知県名古屋市にある陸上自衛隊守山駐屯地にて「第10師団創立62周年・守山駐屯地創設65周年記念行事」が行なわれた。第10師団の各部隊を中心とする訓練展示では、迫力の機動を見せた第10偵察戦闘大隊の16式機動戦闘車や、AKを模した89式小銃を手にリアルな敵役を演じた仮設敵などが活躍を見せた。

 

仮設敵役の隊員が物陰に隠れて出番を待つ。敵役らしさを演出するため、89式小銃には木目シートを貼ってAKを模している

 

乾いた土を巻き上げながら走り回る第10偵察戦闘大隊の16式機動戦闘車。重量約26tの巨体を軽々と動かす強力なエンジンのパワーを見せつける

 

4輌の16式機動戦闘車が会場狭しと迫力の機動を見せ、105mmライフル砲から空砲を撃つ。74式戦車譲りの主砲により敵の戦車や装甲車との戦闘も可能だが、偵察任務がメインになるため、ヒット・アンド・アウェイ戦法が主軸になる

 

陸上自衛隊の要・第10師団と守山駐屯地

 

 守山駐屯地は1897(明治30)年、日本陸軍第3師団第5旅団歩兵第33連隊が名古屋城から新設の守山衛戍地に移駐したことによってその歴史を歩み始めた。戦後は連合国軍によって接収されるも、1959(昭和34)年に陸上自衛隊守山駐屯地が創設され、第14普通科連隊第2大隊が金沢から、そして第10混成団本部などが久居駐屯地から移駐してきた。1962(昭和37)年には、第10混成団は第10師団になり、第14普通科連隊第2大隊は第35普通科連隊へと改編。それ以降も細かな改編があり、現在の姿になっている。

 

駐屯地司令を務める第10師団副師団長の兵庫剛陸将補。戦車連隊長や方面防衛部長を歴任する部隊運用のスペシャリストだ

 

地域との信頼関係構築に尽力している酒井師団長。訓示では能登半島地震に触れ、この時も活動している隊員たちを労った

 

新たに配備されたヤマハMT-03に乗る警務隊の隊員。これまではヤマハXJR400が主流であったが、これからはMT-03に置き換えられていく

 

 現在(2024年時点)の主な駐屯部隊は第10師団司令部、司令部付隊、第35普通科連隊、第10後方支援連隊、第10通信大隊、第10特殊武器防護隊、第10音楽隊などで、それ以外の諸隊も多く所在。岐阜県の各務原には岐阜分屯地も持つ。

 

万全の準備を整えた仮設敵の隊員。CCVとRCVを使う重武装っぷりで、負け戦とはいえ負けてはならないという気概を感じる

 

中部方面特科連隊第2特科大隊によるFH70の空包射撃。2024年に新編されたばかりの部隊で、記念行事には初登場となる


 所在地である大都市・名古屋には、地域のエネルギーをまかなう火力発電所や製油所、各種工場など社会インフラを保つために必要な重要防護施設が多数存在する。また、同地には三菱重工業や豊和工業といった防衛装備品メーカーも多く、第10師団の防衛責任は非常に大きいと言わざるをえない。

 

第10飛行隊のUH-1Jからリペリング降下するレンジャー隊員。隊舎の屋上に降り立ち、次いで建物の壁沿いに降下するための準備をする

 

明野駐屯地から支援で訪れた第5対戦車ヘリコプター隊のAH-1S。敵の攻撃ヘリコプター役で登場し、低空飛行で訓練展示に華を添えた


 残暑が続く10月半ばに開催された第10師団および守山駐屯地の記念行事は、2024年の年明けに発生した能登半島地震での被害者に対する黙とうから始まった。まだ災害派遣が続いている中ではあるが、この記念行事開催は部隊の活動を広報するうえではいいタイミングであったのかもしれない。実際、災害派遣に関するパネル展示エリアでは、多くの来場者が部隊の派遣活動について熱心に見学する姿が印象的であった。

 

味方が窓から突入できるように、逆さづりになって射撃するレンジャー隊員

 

軽装甲機動車から下車して戦闘を開始する第35普通科連隊の隊員。生身の隊員にとって、この装甲は安心感を与えてくれる

 

 さて、多くの来場者が見たかったであろう訓練展示は、新編されたばかりの第10偵察戦闘大隊による大迫力の機動展示があり、大盛り上がりだった。


 来場者との距離も近く、会場をぐるりと囲むように見学席が用意されていたため、様々な角度から訓練展示を楽しむことができたであろう。

 

 名古屋という大都市を拠点に、南北に広い担任エリアを持つ第10師団は、まさに本州の中心で活動する陸自の要部隊なのだ。

 

M24SWSで狙撃する狙撃班。訓練展示では姿を見せているが、実際の任務では完全に隠れてしまうため、こうした姿を見ることはない

 

携帯地対空誘導弾でヘリコプターを攻撃しようとした仮設敵の隊員が、我のスナイパーの狙撃によって倒されてしまった

 

倒れた仲間を見捨てないのは敵も同じだ。裏話をすれば、このあとの突撃で車輌に轢かれないための処置でもある

 

 

Text&Photos:武若雅哉

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年3月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×