ミリタリー

2025/01/28

陸上自衛隊板妻駐屯地創立62周年記念行事「磨きをかけた陸自普通科の“技”を披露」

 

第34普通科連隊による迫力のCQBドリル

 

 

 2024(令和6)年11月24日、静岡県御殿場市にある陸上自衛隊板妻駐屯地において、創立62周年記念行事が行なわれた。第34普通科連隊を中心に、観客のまさに“目の前”で披露された迫力ある「CQBドリル」や訓練展示の模様を、自身が即応予備自衛官でもあるミリタリーフォトグラファー、武若雅哉がお伝えする。

 

昨年8月から第34普通科連隊長を務める兜連隊長は前職が第2師団の第3部長で、部隊運用の知見は深い。自然災害が多い静岡県の防衛・警備を担当する同連隊の指揮官として、災害対処能力の強化や、地域と密着し良好な関係を築くことなどを語った

 

式典にて徒歩行進する第34普通科連隊第1中隊。各普通科中隊ごとに異なる装備で行進していた

 

普通科隊員によるCQBドリル。4名1組の動きも展示する。人数が多くなればそれだけ揃えるのが難しくなるが、何度も練習しているうちに自然と揃ってくる

 

障害物を避けて射撃する姿勢の一例。低くなればなるほど足先が銃口よりも前に出るが、筆者が実際に撃ってみたところ、まったく問題はなかった

 

磨きをかけた戦闘技術を展示


 板妻駐屯地は1909(明治42)年に陸軍板妻廠舎として設置され、日本陸軍が行なう演習の拠点として使われていた。戦後は米陸軍に占領されていた時期もあったが、1960(昭和35)年には陸上自衛隊の部隊が同地に駐屯を始めた。そして1962(昭和37)年からは駒門駐屯地の分屯地から板妻駐屯地へと格上げされ、いくつかの部隊改編を経て現在の形になっている。

 

CQBにおける様々な姿勢と隊形で射撃展示を行なう。統制が取れているからこそできる技だ。細かい動きも揃えているため、見ていて楽しい

 

全員が横一列に並んで行なう展示も、しっかりと息を揃えてうまくやっていた。ファンシードリルのようにリズムを刻む音がないので、なかなか難しいはずだ

 

演目が終わり離脱する際も、1名が警戒についていた。ただ帰るだけではない点に注目だ


 主な所在部隊は第1師団隷下の第34普通科連隊、東部方面混成団隷下の第3陸曹教育隊で、そのほか部隊や駐屯地の機能をサポートする複数の部隊が所在している。


 そんな板妻駐屯地だが、毎年記念行事として駐屯地を一般開放しており、関東近郊では「リアルな普通科連隊」を見ることができるイベントとして人気を博している。その声に応えるかのように、第34普通科連隊は毎年恒例のCQBドリルと、支援部隊のサポートを受けて大迫力の訓練展示を披露した。

 

訓練展示では、本記念行事のもう一つの名物である「悪役」が登場。悪役の装甲車が先ほどまで副連隊長を乗せて観閲行進していたCCV(82式指揮通信車)なのもお約束だ。本車の具体的な後継の話はないが、パトリアAMVに置き換えられるかもしれない

 

第1飛行隊のUH-1Jからリペリング降下するレンジャー隊員。タイミングよく同時に降りているため、ヘリの揺れも少なかった


 特に、訓練展示は観客席からの距離が非常に近いことで有名である。もちろん、空包射撃の安全距離は確保しているのだが、他の駐屯地とは比較にならないほど距離が“近い”のが最大の特徴であろう。また、昨年新編された第1偵察戦闘大隊の16式機動戦闘車、そして東部方面特科連隊第1特科大隊のFH70と連携した攻撃要領の展示は、陸上自衛隊が考えている戦い方を非常にわかりやすく展示している。

 

野戦特科部隊のFH70による支援射撃。今年は斜めに配置されたため、正面気味で撮ることができ
た。空包に詰められた細かいコルク片などが飛び散る様子がよくわかる

 

16式機動戦闘車による空包射撃。空包とはいえ発射炎は大きい。つまり、正面気味で撮影すると砲塔や車体が大きく隠れるため、撮影には向かない

 

 もちろん、本当の戦闘とは時間軸も距離感も異なるが、コンパクトな会場を所狭しと使っているため、その狭さを感じさせないのも板妻ならではの魅力であろう。


 板妻駐屯地は地元の郷土部隊として、そして首都圏を守る第1師団の一員として、その戦闘技術にさらなる磨きをかけていくだろう。

 

もはや絶滅危惧種となったジープも敵役車輌として登場。初期ロットは50年以上前に製造されているが、このモデルは1990年代に作られた最終ロットであろう

 

敵陣内に入り込み、制圧射撃を行なう小銃小隊。ある程度の敵勢力は叩かれているが、残存している敵勢力は近接戦闘で倒すしかない。なお、写真の隊員が携行している110mm個人携帯対戦車弾を用いることで、不意に現れた敵の装甲車に対して攻撃を仕掛けることができる

 

Text&Photos:武若雅哉

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年3月号に掲載されたものです。

 

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