SEECAT /テロ対策特殊装備展'24 国民保護・安全保障に関わる特殊装備品の展示会が東京ビッグサイトで開催

 

日本のテロ対策事情を装備品展示会で垣間見る

 

 

 「テロ対策」がテーマの展示会として定着しつつあるSEECAT(テロ対策特殊装備展)が10月9日~11日の3日間、東京ビッグサイトにて開催された。今回のメインテーマとされたのは、「サイバー・フィジカル・セキュリティ」と「国民保護・安全保障」。ここではそんなメインテーマから少し外れる部分もあるが、本誌編集の目を引いたアイテムを中心にレポートしていく。

 

 

国内事情を反映した展示に注目

 

 このSEECATは「危機管理」をテーマとする国内最大級の総合トレードショー・危機管理産業展(RISCON TOKYO)の特別併催企画展として開催されている。入場審査が必要なクローズドショーではあるが、国内事情から海外の展示会のように実物の火器の展示はなく、光学機器などの展示にもトイガンが活躍しているのが日本らしいところだ。我が国周辺の安全保障環境悪化を受け、防衛力抜本強化を目指した防衛費増額が打ち出された折でもあるためか、これまで参加していなかった国内外企業および団体のブースも見られ、活況を呈していたのも印象的だった。


 今回のメインテーマは、やはり時節柄「サイバー・フィジカル・セキュリティ」と「国民保護・安全保障」であり、サイバー攻撃や情報漏洩への各種対策をはじめドローン活用および対策、CBRNE対策、港湾警戒・水際対策、個人装備品および開発技術、デュアルユース(軍民両用)先進技術、シェルターなどの展示が目立った。また、安倍元首相暗殺やトランプ前大統領暗殺未遂なども記憶に新しいところであるためか、要人警護やソフトターゲットテロ対策などにも注目が集まっていたようだ。

 

 

MEHLER PROTECTION

 

 

 ドイツ連邦軍および連邦警察をはじめ、その信頼性の高さから各国の軍・法執行機関で採用例のあるドイツのメーカー、MEHLER PROTECTIONのボディアーマー。ヘルメットを含め、必要に応じて全身を防護する各種ボディアーマーシステムがラインアップされている。

 

 

このSPECIAL APPLICATION PLATE CARRIERには着水時にセンサーで自動的に膨張するライフプリザーバーが組み込まれており、CSAR(戦闘捜索救難)に従事する隊員などに最適化。多種多様なサイズ、機能の各種防弾プレートも用意される

 

アーマーの内側に装着する各種ソフトバリスティックパネル

 

女性向けにデザインされた防弾プレート

 

 

GATORZ

 

 

 NAVY SEAL's隊員も愛用し、アイプロテクション能力に加えデザイン性も高いアイウェアとして人気のGATORZ JAPANも出展し、各種ラインアップ展示に加え、ミリタリー向けにレーザーから目を保護する、レーザーディフェンダーレンズテクノロジーがアピールされていた。

 

 

 

 

ノーベルアームズ

 

 

 本誌でもおなじみ光学機器メーカーのノーベルアームズは、自社製品をはじめESSやTrijiconなど海外メーカー製品の代理店として各種製品を展示。米海軍・海兵隊などに納入され愛用されているESSのアイウェア各種はミリタリー向けとして、戦場を飛び交う有害な各種レーザーから目を保護するLaser Protective Lensがラインアップ。

 

米軍特殊部隊や英軍、カナダ軍などで採用されているRaytheon ELCAN Optical TechnologiesのSpecterDR 1-4x。倍率可変式の高性能なプリズムスコープで、信頼性の高さにも定評がある

 

近年同社が取り扱いを始めたSCALARWORKSの各種マウントを展示。こちらは本誌P.120でも紹介しているのでご確認いただきたい

 

米海兵隊でSCO (Squad Common Optic:分隊共通光学機器) として採用されたTrijicon VCOG 1-8x28

 

軍事用途だけでなく有害鳥獣駆除における有用性も期待されるTrijiconのサーマルサイト、IR-HUNTER

 

ACOG 4x33LED&RMR Type2。フランスの対テロ特殊部隊GIGNの採用例もある

 

 

GTC

 

 

 ボディアーマーや要人警護向けの折畳式可搬バリスティックシールドなど各種防弾装具を手掛ける国内メーカー、GTC(銀商)。プレートキャリア等に挿入する自社開発の防弾板は高張力ポリウレタンやセラミックスなどを組み合わせたもので、LEVEL Ⅳ対応の製品を各種用意している。

 

 

 

 

 

 

日本ゴア合同会社

 

 

 グローバルな材料科学企業であるGOREはGORE-TEX製品でもおなじみ。ここではGORE-TEX PYRADを用いた難燃性防寒服(英海兵隊および特殊部隊で採用)、各国軍や法執行機関で採用例のある難燃性レインスーツなどを展示。

 

 

 

 

日本海洋

 

 近年戦場でのドローンの活躍に加え、基地のドローン侵入撮影事案などの影響か、会場ではドローン対策機材の展示が目立った。アメリカのメーカー・FLEX FORCEが製造し日本海洋が販売を手掛ける携帯型電子攻撃システムDRONEBUSTER Block4は約2.4kgと軽量で、一般的なドローンが用いる周波数帯をカバー。後面に操作パネルを備え、ドットサイトを通して目標に照準。電子妨害によりドローンが用いる電波の周波数帯を妨害し無力化できるという。オリンピック会場周辺警備などでの採用実績もある。

 

 

 

RAY GEARS

 

 ストックやグリップを備えるグレネードランチャーのようなデザインのプラズマサーチライト・TSUKUYOMI55。対テロ作戦などでは搭載するスコープで目標を狙いピンポイントで照射することで、視覚を奪い脳に影響を与え反撃能力を奪う。照射距離は約6.4kmにも達するという。

 

 

 

URA

 

 

 リブボートやインフレータブルボートなどの資機材輸入販売・メンテナンスを手掛けるURAの展示で目を引いたのが、このREBS COMPACT LAUNCHER。ノルウェーの船舶用特殊機材メーカー、HENRIKSENの製品で、VBSS(船舶臨検)などのシーンで大型船に移乗する際、アーム折畳式グラプネルフックと6mmロープ30m、あるいはロープラダー16mを格納し、圧縮空気により射出することができる。

 

 

 

 

新日本科学製作所

 

 

 レーザー・光技術に特化した産業用システム・機器メーカーの新日本科学製作所は、同社が国内販売を手掛ける韓国の光学機器メーカーEOSTの製品を展示。双眼NVGのRaptor-18Bは第3世代の光増幅式NVGでヘルメットマウントが可能。

 

アサルトライフルなどに装着可能なサーマルサイトSURI-A。上部にドットサイトが付き、近接戦闘にも対応

 

サーマルサイトやレーザー距離計、カメラ、GPSなどを備えた多機能の監視デバイスTHETIS。こちらはさらに軽量化した改良型

 

EDS22ドットサイト+EM21マグニファイア(3倍)。レティクルは2MOAでサークル付きのクイックレティクル、長距離弾道レティクルをセレクトできる

 

 

レーザー照準器DLAF-A4。ピカティニーレール対応で可視レーザー、IRレーザー、IRライトの機能を持つ

 

 

Carrot

 

 

 訓練用ラバーガンTRGは64式7.62mm小銃や89式5.56mm小銃、5.56mm機関銃MINIMI、9mm拳銃など自衛隊の銃器を中心にラインアップ。89式小銃タイプのTRGは、ユーザーである自衛官の意見を採り入れ、銃身部を太くするなど改良が施された。

 

 

Carrotは自衛隊や警察など法執行機関にTRGを納入。ほどよく実銃を模しながら耐久性は極めて高く、射撃を伴わない訓練では貴重な実銃を破損するリスクがなく重宝されているという

 

 

ジャパンセル

 

 以前本誌でもご紹介した、パワーLED搭載のポータブルサーチライトALPHA-1。バッテリー式でコンパクトながら同社が誇る光学技術により高い照射能力を実現している。外部電源による連続照射も可能。

 

 

ジャパンセルでは欧州のグローブメーカー、MoGの防刃グローブも扱っている同社のグローブは高い保護性能はもちろん手指の可動域や感触の掴みやすさ、快適性の高さから特殊部隊員などの愛用者も多いようだ

 

 

エスアンドカンパニー

 

 

 

 国産ガラス保護フィルム・アーマーテックを展開NIJ0108.01規格(耐弾素材)およびUL752規格(防弾ガラス)準拠の防弾フィルムを開発中。

 

 

陸上自衛隊

 

 

こちらはRISCON(危機管理産業展)会場に出展していた陸上自衛隊。中央特殊武器防護隊は除染車や18式個人用防護装備、第1普通科連隊は偵察用オートバイを展示するなど、災害派遣やCBRNEテロ対策などを意識させる展示内容だった。こうした任務にも黙々と従事する自衛官の皆様方には頭が下がるばかりだ。

 

 

 

TEXT:アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年12月号に掲載されたものです。

 

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