エアガン

2024/09/30

知れば知るほど奥が深い! 「リボルバー」を基礎から徹底解説

 

意外と知らないリボルバーの基礎知識

 

意外と知らないリボルバーの基礎知識

 

 日本語では回転式拳銃と呼ばれるリボルバー。カートリッジが装填されるシリンダーと呼ばれるレンコンのようなパーツが発射するたびに回転することから、この名称が付けられている。ハンドガンの中でも歴史が古く、かつては警官用ハンドガンといえばリボルバーだったが、現在ではオートマチックピストルが主流になっている。リボルバーはオートマチックピストルに比べて装弾数が少なくてリロードしにくい反面、.357マグナムや.44マグナムといった威力の強いカートリッジが使える。それがリボルバー最大の魅力であり、今なお愛される理由だ。ここではリボルバーに関する基礎知識を解説する。

 

■リボルバーの種類/作動方式

 

 リボルバーは複数のチャンバーを持つシリンダーと1つのバレルを持ち、シリンダーはハンマーが起きる動きと連動し、シリンダーを回転させ連射を可能としている。リボルバーは作動方式の違いから2種類に分けられる。一つは撃つたびにハンマーを指でコックしなくてはならない「シングルアクションタイプ」だ。

 

リボルバーの種類/作動方式
シングルアクションリボルバーの代表作であるルガースーパーブラックホーク。シングルアクションリボルバーは1800年代半ば頃に登場したリボルバーの原点である。メカニズムは極めてシンプルで故障が少ない

 

 もう一つがトリガーを引くとシリンダーが回転してハンマーが起きて、トリガーを引き切るとハンマーがダウンして発射する「ダブルアクションタイプ」だ。ダブルアクションリボルバーは連射できるのが特徴で、シングルアクションモードが備わっているモデルが多い。現行のリボルバーではダブルアクションタイプが多く、シングルアクションタイプは強力なマグナム弾を使うリボルバーに用いられる例がある。

 

リボルバーの種類/作動方式
ダブルアクションリボルバーの代表作であるスミス&ウェッソン(S&W)モデル29。ダブルアクションリボルバーは1800年代後半に登場し、リボルバーの2大メーカーであるS&Wとコルトではメカニズムが異なっている

 

リボルバーの種類/作動方式
コルトパイソンを使ったダブルアクションリボルバーの発射サイクル。トリガーを引くことでハンマーが起き始めているのがわかる。同時にシリンダーを固定していたシリンダーストップが解除されシリンダーが回転し始めている

 

リボルバーの種類/作動方式
シリンダーが1/6回転するとシリンダーストップがシリンダーを固定。シリンダー内のバレルと同軸線上に並んだチャンバー内にカートリッジのプライマーをハンマーが叩き発火させブレットが発射される。オートマチックピストルに比べると反動を利用しないシンプルな構造を持つのがリボルバーである

 

■リボルバーのパーツの名称

 

 リボルバーでは回転式のシリンダーの中に複数のチャンバーを持つ。バレルと並んだチャンバー内部のカートリッジを撃発させ、その後シリンダーを回転させることで連射を可能としている。マニュアルセーフティはダブルアクションリボルバーのほとんどに備えられておらず、内部にあるオートマチックセーフティによって安全が確保されている。スミス&ウェッソンPCモデル19キャリーコンプを使ってリボルバーの各パーツ名称を紹介していこう。

 

リボルバーのパーツの名称

 

リボルバーのパーツの名称

 

■スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状

 

 スミス&ウェッソンのリボルバーで知っておきたいのがフレームのサイズだ。小さい順から大きい順にJフレーム、Kフレーム、Lフレーム、Nフレーム、Xフレームの5種類ある。主なカートリッジの口径はJフレームとKフレーム、Lフレームが.38口径、Nフレームが.44口径、Xフレームが.500口径となっている。

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
フレームの名称とそれに属する代表銃/カートリッジの一覧表

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
最も小さいJフレームは.38スペシャル弾が5発装填できる。チタニウムシリンダー仕様のM360シリーズは. 357マグナム弾が使用できる(以下写真はタナカのペガサスシリーズ)

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
標準的なKフレームは.38スペシャル弾が6発装填できる。M19は. 357マグナム弾仕様だが、強度に問題があることからLフレームが開発された

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
R8シリーズは.357マグナム弾が8発装填できる。Lフレームでも.357マグナム弾が7発装填できるモデルがある

 

 内部メカニズムはすべて共通である。各フレームともグリップ後端が角ばって裾広がりな「スクエアバット」と丸められている「ラウンドバット」がある。バレル長が4インチ以上はスクエアバット、4インチ以下はラウンドバットが多いものの、2000年以降に開発されたNフレームR8シリーズはラウンドバット、Xフレームのグリップサイズは握りやすさを重視してかKフレームのラウンドバット仕様となっている。

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
写真上からJフレーム、Kフレーム、Nフレーム、Xフレーム。実銃ではKフレームとNフレームの間にLフレームがある

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
グリップ後端が角ばって裾広がりなのが「スクエアバット」

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
グリップ後端が丸まっているのが「ラウンドバット」

 

スミス&ウェッソンのフレームサイズと形状
フレームの形状にあわせてグリップも複数用意されている。左からスクエアバットのオーバーサイズ、スクエアバットのサービスサイズ(フラットボトム)、同じくスクエアバットのサービスサイズ(ラウンドボトム)、ラウンドバットのサービスサイズ

 

■スミス&ウェッソンのダブルアクションメカニズム

 

スミス&ウェッソンのダブルアクションメカニズム

 

 いわゆる「スミス&ウェッソンアクション」を生み出している❶ トリガー、❷シリンダーストップ、❸ハンド、❹ハンマー、❺ダブルアクションシア、❻リバウンドスライドの各パーツ。タナカはこれらのパーツを再現しており、スムーズかつメリハリのあるトリガーフィーリングが体感できる。

 

スミス&ウェッソンのダブルアクションメカニズム
ハンマーとトリガーの動きを見てみよう。まずはハンマーがダウンしてトリガーが前進している状態。リバウンドスライドは前進しており、トリガーを前に押し出し、かつハンマーが前進して撃発するのを防いでいる

 

スミス&ウェッソンのダブルアクションメカニズム
シングルアクション状態、ハンマーをコックするとトリガーが後退してハンドがシリンダーを回転させ、シリンダーストップがシリンダーを固定、ハンマーのシングルアクションノッチにトリガー後端が引っかかる。そのままトリガーを引くとハンマーがダウンして発射される。トリガーを戻せば発射可能状態に復帰する

 

スミス&ウェッソンのダブルアクションメカニズム
ダブルアクション状態。トリガーを引き始めるとトリガーがハンマーに備え付けられたダブルアクションシアを押してハンマーを起こし始める。と同時にハンドがシリンダーを回転させ、シリンダーストップがシリンダーを固定、さらにトリガーを引くとハンマーがダウンして発射される(写真ではパーツの飛び出しを防ぐためにハンマーを指で押さえている)

 

■コルトのダブルアクションメカニズム

 

コルトのダブルアクションメカニズム

 

 コルトはサイドプレートが左側にある。「コルト・ポジティブ・ロック」と呼ばれる機構によりトリガーが完全に引かれた状態にならない限り、ハンマーはフレームに固定されたファイアリングピンに触れることはできないため高い安全性を確保している。コルトは多くのリボルバーでリーフスプリングをハンマースプリングとして採用していた。

 

コルトのダブルアクションメカニズム
シングルアクション状態にすると、フレーム側に固定されたファイアリングピンが見える。その下にはコルト・ポジティブ・ロックと呼ばれるハンマーブロックがある

 


 

TEXT:毛野ブースカ/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2024年10月号に掲載されたものです。

 

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