2024/01/06
【実銃】カスタムSAIGA-12の実射性能&タラン・バトラーによるSAIGA-12カスタム【Part4】
SAIGA-12 Custom
カラシニコフライフルをベースにしたセミオートマチックショットガンSAIGA は、AR 系ショットガンより大幅にスリムで軽量という魅力がある。確実な作動を実現させるには、手を加える必要があるが、それに成功すれば最高のパフォーマンスを発揮する。SAIGA は高いポテンシャルを秘めているのだ。
実射
AKタイプのセミオートショットガンの人気は高く、現在KS-12に限らず選択肢が多く存在する。SAIGA-12と双璧をなすのが、同じくロシア製のMolot Oruzhie社が製造するVERP-12で、初期生産はイズマッシュが行なったとされる。
他にはSDSインポーツのLYNX-12、JTSグループのM12AK、インターオードナンスKral XP、シタデルRSS1など結構色々あり、それだけAKプラットフォームは人気があると言える。
今回テストしたSAIGA-12はカリフォリニア州のブレットボタンを禁止するアサルトウエポン規制が開始される前に所有者に返却するためにガンスミスが短時間で作業したため、調整が十分とは言えない状態で、00バック以外の装弾では作動せず、さらにマグプルのフォアエンドの取り付けも不十分で反動で外れてしまった。
大柄なイメージが強く、敬遠されがちなボックスマガジン式セミオートショットガンが多い中、AKスタイルのスリムさをほぼそのままで維持して撃てるSAIGA-12の魅力は大きい。
身近なところにSAIGA-12のヘビーユーザーがいた。3ガンマッチの覇者タラン・バトラーだ。しかし聞いたところ歴代のトロフィーを勝ち取ったSAIGA-12は現在カスタマイズ中で、そのまま映画撮影で使用するので今回の記事には間に合わないだろう‥と思われていたが、実射撮影には間に合ったので今回併せて紹介したい。
タランはナショナルズで初めてボックスマガジンのセミオートショットガンをオープン部門で使用して注目され、2012年のマルチガンナショナルズでは優勝を飾った。このことがSAIGAやVERPユーザーを増やす切っ掛けにもなった。
しかし、この優勝時もジャムで20秒のタイムロス(それでも優勝はすごい!)があったため、数人のガンスミスの手で改良を重ねてきた (これまでこのSAIGAに費やした総額は多分1万5000ドル以上になるとか)。
かなり前に半分解状態のSAIGAを前に試行錯誤するタランの姿を見たことがある。SAIGAの可能性を信じて捨てきれなかったのだ。そこで現在競技でSAIGAユーザーから多くの信頼を得ているテキサスのディジデントアームズ(Dissident Arms)が全面改修を担当し、素晴らしい信頼性をまとって戻ってきたのだ。
ベネリにはないSAIGAの利点を聞くと、やはりボックスマガジンの装弾数に加えて、リロードが簡単かつ敏速にできる事だという(タクティカルオプティックス部門ではボックスマガジン装弾式ショットガンは使用できず、あくまでオープン部門用になる)。
ただマガジンが大きく突き出すのでトランジション(銃の切り替え)の際にバケツに入れる時にやや突っかかりやすい事が難点だそうだ。
飛び入り参加となったタランの新型カスタムSAIGA-12だが、これはハッキリ言って素晴らしいカスタムショットガンに生まれ変わっていた。トリガーもこれまでのAKとは一線を画する軽さと、ショートリセットで連射がとにかく容易で、より効果の高いマズルブレイクとの相性もバッチリだ。
タランも自前のレンジのプレート倒しでタイムを計測したところベネリでも成し得なかった0.95秒を2度もマークし、記録を出したタラン本人も吃驚していた。
AKの弱点だったセイフティやマガジンキャッチの操作性の悪さも克服しており、スリムで軽量なボックスマガジンのセミオートショットガンの魅力が引き立ってくる。ARタイプのショットガンもあるが、どれも大型だ。このタランのカスタムガンを撃てたことで、SAIGA-12の魅力とポテンシャルを堪能できた。
それなりにカスタムにお金をかけた結果でもあるが、間違いなく欲しくなる魅力的なセミオートショットガンだと感じた。
SAIGA-12は軍用としては大きな採用には至っていないが、ヨーロッパやアメリカ国内の一部の法執行機関でも運用していると聞く。そしてカスタマイズによるポテンシャルが高く、競技の世界では様々なスポーティなカスタムSAIGA-12を見ることができる。
イズマッシュ製は輸入禁止のあおりで価格も高騰している。現在の国内製クローンモデル達も優秀だと聞くが、やはりオリジナルのSAIGA-12を手にしたいものだ。
Photo&Text:Gun Professionals LA支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年10月号に掲載されたものです
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