2023/08/22
日本映画最大の発砲と弾着!! 『リボルバー・リリー』のガンアクションの舞台裏に迫る!
『リボルバー・リリー』
~コッシーのイチオッシー【番外編】~
敬礼!! 現在大ヒット公開中のダークヒロインアクション映画『リボルバー・リリー』!! 皆さんはもう観られただろうか!? 日本映画最大の発砲と弾着!! 小曾根百合こと「リリー」がリボルバーを片手に悪を撃つ! 時は1924年(大正13年)、今から約100年昔の物語である……。
今回、弊社ビッグファイタープロジェクトは「ガン&軍事監修」として参加し、キャストへの銃の取り扱いなどを指導。陸軍、海軍以外での銃の指導者は元陸上自衛隊普通科出身で、アームズマガジンでもお馴染みの武藤竜馬氏をメインとし、陸軍&海軍の所作指導は元陸上自衛隊警務科(保安中隊)出身の長谷部浩幸氏をメインに据えた。私、コッシーこと越康広(元陸上自衛隊普通科出身)は、全体の監修と双方のサポートとして携わった。
弊社に課せられたミッションは「役者の銃の扱いが、いかにプロっぽく見えるか?」「それを短期間で仕上げなくてはいけない」ということ。銃の扱いを迷うことなく、さも達人のごとく操作し、ぶっ放していくしぐさを身に着けていただいた。
昨年(2022年)の6月半ばくらいからガンアクション指導が始まった。役者とのスケジュール合わせは大変なうえ、時間にも限りがある。トレーニングの日は与えられた時間内に教えられることを詰め込み、基礎ができたらプロフェッショナル編、応用編と段階を踏んで役者さんに技術指導を行なった。
ガンアクション指導
小曾根百合(綾瀬はるか)
主演である小曾根百合役の綾瀬はるかさんは、特別な彫刻が施されたS&W M1917リボルバーで、来る日も来る日も手に馴染むまで常にリボルバーを握っていて豆ができても黙々とトレーニングを重ねていた。弾丸の入れ替えに関しては、3発クリップ(ハーフムーンクリップ)付きの弾丸の込め方に苦労をしていたが、武藤氏の教えもあり、本番はトレーニングの成果がバッチリ出ていて素晴らしい画が撮れた。
奈加(シシド・カフカ)
奈加役のシシド・カフカさんは、ウィンチェスターM1894ライフルとモーゼルC96の二挺拳銃を扱う百合の右腕。トレーニングも2種類の銃があるので大変だったと思うが、根性で粘り強く頑張っており、本番では“プロっぽさ”がしっかり出ていた。
琴子(古川琴音)
琴子役の古川琴音さんは、水平二連散弾銃。行定監督の依頼で、銃をくるっと回して撃ったり、薬莢の排出の仕方にこだわってご教授した。
細見慎太(羽村仁成)
細見慎太役・羽村仁成さんは、ベレッタM1915だが、演じる細見は触ったこともない拳銃を突然父親に託されるキャラクターなので、銃の構造は教えるものの、扱い慣れていない今の感じでよしとなった。
細見欣也(豊川悦司)
細見欣也役・豊川悦司さんは、スプリングフィールドM1903。特にボルトアクションがスムーズにできるよう練習をしていただいた。
筒井国松(石橋蓮司)
筒井国松役・石橋蓮司さんは、ウィンチェスターM1897。勘が良い方なのですぐさま格好がついていた。
その他、南部十四年式拳銃、三八式歩兵銃、二十六年式拳銃など、大正13年頃のありとあらゆる銃が登場する。
今回の陸軍は背広組と軍服組に分かれていたので、背広組は拳銃中心に、陸軍兵士は三八式歩兵銃の扱いと立ち撃ちや膝撃ちの射撃姿勢を中心に教え、撃たれた場合のリアクションの仕方も指導。
海軍大佐山本五十六役の阿部サダヲさんには、海軍軍人のたたずまい、特に“立っているだけで威厳が出る立ち姿”をお伝えして実施していただいた。
他の海軍の軍人役は、ほとんど現場で最小限の基本教練と銃の構え方を教え、並び方などは撮影しながら微調整を行なった。
こうして制作された本作は、数えきれない銃弾の数、弾着数から『バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌』を超えたとも言われている。
超大作エンターテインメント作品『リボルバー・リリー』、まだ観ていない人はぜひ! すでに観た方は、再度観ていただき、銃に関する細かい部分をチェックされたし! 以上、敬礼!!
『リボルバー・リリー』作品情報
CAST
綾瀬はるか、長谷川博己、羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、佐藤二朗、吹越満、内田朝陽、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司 ほか
STAFF
監督:行定勲/脚本:小林達夫、行定勲/2023年/日本作品/原作:長浦京「リボルバー・リリー」(講談社文庫)/配給:東映
INTRODUCTION
「“小曾根百合”のところにいけ!」
少年と出逢い、現在が目覚め、
S&W M1917リボルバーを握り、未来が覚醒する。
1924年帝都東京。
欲望が剥きだしになった人間たちの思惑が交錯するなか、
明日の「生」に向けた伝説が幕を開ける――。
ライタープロフィール
越 康広
元陸上自衛官。現在は陸海空自衛隊、海保、消防、警察出身の専門家が多数在籍する株式会社ビッグファイタープロジェクト代表。軍事アドバイザーとして国内外の映像作品に出演する有名俳優から軍隊エキストラまで、幅広く指導する。
月刊アームズマガジンでは、自身が制作に関わった映像作品を紹介する企画「コッシーのイチオッシー」を連載していた。
TEXT:越 康広(ビッグファイタープロジェクト代表)
©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
この記事は月刊アームズマガジン2023年10月号に掲載されたものです。
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