2019/03/04
次世代電動ガンも発売される「Mk46 Mod.0」を徹底解説
独占レポート!
注目を集めるMk46をエアガン&実銃から徹底解説
※写真は試作品です。量産品とは細部が異なる場合があります
東京マルイから次世代電動ガンの新製品として発表されたことで注目を集めているMk46 Mod.0。実銃はアメリカ海軍特殊作戦司令部の要請によりM249 SPW の改良型として誕生し、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズやアメリカ陸軍第75 レンジャー連隊が運用している。制式採用銃とはいえ、やや謎に包まれた感のあるMk46 Mod.0 を、東京マルイの次世代電動ガンMk46 Mod.0と実銃の両面からその特徴に迫る。
東京マルイ 次世代電動ガン Mk46 Mod.0
2018年11月に開催された「東京マルイFESTIVAL 5th inベルサール秋葉原」において電撃発表された東京マルイの次期新製品「次世代電動ガンMk46 Mod.0」(以下次世代Mk46)。その衝撃は日本だけではなく世界中を驚かせた。LMGクラスの電動ガンは国内メーカーではTOPから発売され、現在では海外メーカーを中心に発売されている。LMGクラスの電動ガンということだけでは驚く要素はさほどないのだが、ここで重要なのは電動ガンのパイオニアである東京マルイが、しかも次世代電動ガンで作るということなのだ。
今回発売が予定されている次世代Mk46は、東京マルイ初となるLMGクラスの電動ガンだ。実銃のMk46 Mod.0の特徴については後述の飯柴氏によるレポートを参照していただくとして、ここでは次世代Mk46に絞って話を進めよう。東京マルイは今まで数多くのエポックメイキングなエアガンを世に送り出してきたが、その最たるものが電動ガンである。豊富なラインアップはもちろん、マイクロメカボックスを搭載した電動ガンハンドガンタイプ、コンパクトメカボックス採用の電動コンパクトマシンガン、実銃さながらのリコイルショックが体感できる次世代電動ガン、3発同時にフルオートで発射できFETを搭載した電動ショットガン、10歳以上用の電動ガンBOYsや電動ガンライトプロなど、他社の追随を許さない電動ガンシステムを開発してきた。創造と革新を常に行なってきた東京マルイにとって、LMGのボディに従来の次世代電動ガンのメカボックスを単純に組み込んだだけ終わるはずはなかった。
もっとも肝心なメカボックスは、アサルトライフルタイプに比べて約2倍のリコイルショックを発生させるものを新規開発。モーターやリコイルウエイトの搭載位置など現時点では詳細は明らかになっていないが、今までにない構造を有していることが予想される。電動ショットガンで採用されたFETや各種センサーが標準装備され、実銃同様にバレルは着脱可能で、チャージングハンドルはライブで可動する。センサーによる検知機能は今までの電動ガンでは採用されてこなかった。電動のメリットを活かした安全性の追求は、もはやおもちゃの領域を超えていると言っても過言ではない。
実銃ではボルトなどが収まるレシーバーアッセンブリーと、トリガー/シア/セーフティ/グリップが付属するトリガーメカニズムアッセンブリーから構成されている
アッパーレシーバー右側にはボルト部分への異物の侵入を防ぐダストカバーが付属。コッキングハンドルを引くと持ち上がり、戻すとスプリングテンションで自動的に閉まる
マニュアルセーフティはショットガンのようなクロスボルト式。Mk46はフルオートオンリーなのでセレクターレバーは存在しない
バレル基部にあるバレルロッキングレバーはライブ
最新型を再現したバイポッド。脚は前方と後方へ折りたたみと伸縮が可能だ。
実銃の特徴であるウッドランドパターンのカバーで覆われたボックスマガジンは装弾数は約1,000発の電動巻き上げゼンマイ給弾式。今回撮影したサンプルでは、ダミーカートに隠すように銃本体にBB弾を送り込むチューブのようなものは見受けられない。おそらくレシーバー下部から給弾するものと思われる。バッテリー収納スペースはハンドガード内に設けられており、ニッケル水素AKバッテリーが収納できる。
ウッドランドパターンのカバーに覆われたボックスマガジン。装弾数は約1,000発で、電動巻き上げゼンマイ給弾式
ベルトリンクで連結された5.56mm×45弾のダミーカートはボックスマガジンからフィードトレーへとつながっている。射撃時はリコイルショックとともに揺れ動くようになっている
ボクシーなレシーバーやMk46の特徴であるレールシステムはアルミ切削製。グリップとストックを除くほぼすべてのパーツが金属製となっており、リアルなディテールと手にした時の重量感は次世代電動ガンにふさわしい。作動させることはできなかったが、東京マルイが作ったLMGがここにあるというだけで感慨深いものがある。
Mk46の特徴であるレールシステムはアルミ切削製。連射時の放熱性を高めて、フィードカバー上面のトップレールと高さが平行になるようにアッパーレールは高い位置にある
レールシステムと並ぶMk46の特徴であるフィードカバー上面のトップレール。各種光学機器が搭載される
価格・発売日は未定だが、東京マルイからLMGの発売を心待ちにしていた方もいるはずだ。そんな方の期待を裏切らない出来映えであることは間違いない。内部メカなど詳細がわかり次第、順次レポートしていきたい。
DATA
- 価格:発売日:未定
- お問い合わせ先:東京マルイ
実銃解説「Mk46とは何か」
Photo:U.S.NAVY
いかにしてMk46は誕生したのか? M249ガナーとしての経験を持つ飯柴智亮氏がM249からMk46への進化の系譜を、そしてアメリカ軍におけるMk46の役割について解説する。
▶歩兵部隊に必須の支援火力
Tier-One部隊を含め、歩兵部隊において機関銃は重要な意味を持つ。私は今でも基礎訓練時代のドリルサージェント(訓練軍曹)の言葉を鮮明に記憶している。それは行軍訓練中、M249SAW(以下SAW)を持った私が上り坂で遅れ始めたときのことだ(なお、他の訓練生は軽量なM16A2を持っている)。
「イイシバ! 行軍のスピードを落とすな! 歩兵部隊にとってお前の脱落は、支援火力の脱落を意味するんだ! お前が遅れたら部隊が全滅すると思え!」
怒鳴られた私は、必死に集団に食らいついていったことを覚えている(余談だが、M4/M16より重いSAWの射手を務めると、自然と腕力と行軍力が付く)。
教育期間を終え、第82空挺師団に配属されたのちも、しばらくはSAWの射手だったので、この銃は私にとって馴染みの深い銃器の1つである。今回、テーマとなるMk46は、言うまでもないことだがSAWの発展型バリエーションの1つだが、具体的にどのような違いがあるのか、私の経験を交えながらSAWの発展について振り返ってみよう。
▶M249パラトルーパー
私が第82空挺師団でSAWを手にしたとき、「あれっ!?」と感じたのがストックの形状だ。基礎訓練で使用したSAWとは、明らかにデザインの異なるパイプ型のParaストックになっていた(いわゆる「M249 Paratrooper」)。これはこれで悪くはないのだが、問題もあった。伸縮するので降下時に邪魔にならず、取り回し易いという利点はあるが、取り回しを優先するあまりパイプ型ストックは頬付けがしづらく、射撃時の操作性が悪かった。ただし、これは慣れの問題もあり、使っているうちに気にならなくなったのも事実である。
だが、数年後にさらなる取り回しの良さと軽量さを求めて銃身を切り詰めた「スナブノーズ」(と部隊では呼んでいた)が登場すると、明らかに命中精度と有効射程が低下し、射撃時のコントロールは難しくなった。私が一番危惧したのは、夜間射撃時のマズルブラストだ。肉眼でも、NVG越しにも、目に見えて大きくなっていた。「これでは実戦で被弾率が上がるんじゃないか…」と心配したことを覚えている。軍からは「銃身とストックが短くなり、シルエットが小さくなったので生存性が上がる」と説明されたが、気休め程度の話でしかないだろう(支援火力を提供する機関銃手は、実戦で通信兵や将校に次いで狙われやすい標的である)。
Photo:U.S.NAVY
▶M249SPW
続いて特殊作戦コマンド(SOCOM)の要請により、「M249SPW(Special Purpose Weapon)」が生み出された。SPWでは、銃身交換用のハンドル、M4/M16マガジンを挿すマグウェル(と、その機能)、CSW(Crew Serve Weapons、車輌搭載火器)用ラグなどが取り除かれた。
これらの改良には賛否両論もあったが、軽量化を考えれば正しい判断だと言える。まず、M4/M16マガジン用マグウェルだが、もともと緊急事態向けの実用性の低い機能だった。私自身「100%ジャムるから使うな」と教えられたし、実際に使ってみると、数発置きに作動不良が起きた。実際、SAWを除く全小火器が使用不能となる事態は考えづらく、なくなったとしても問題はないだろう。また、CSWラグを取り外すということは、完全に徒歩での使用を前提としているわけだから、軽いほうが良いに決まっている。
さて、SPWにはParatrooperモデル同様に、フィードトレイカバー上にピカティニー・レールが取り付けられている。各種オプティクス(照準装置)の搭載により、精度の向上が図られたわけだが、私はこの改良には不満があった。下手にオプティクスなど覗いたら、視野が狭くなって支援火器として本末転倒になってしまう可能性があるからだ。支援火器とはエリア・ウェポンであり、面を叩く武器なのだ。ピンポイントの命中精度は要求されない。また、当然ながら重量も増加する。銃身を切り詰めてまで削った軽量化の効果は失われてしまう。さらに最悪なのが、オプティクスの位置がフィードトレイカバー上であるため、リロードの際に邪魔になる。私に言わせれば、4倍率の視界より、リロードの早さが、生存率向上には重要である。
▶Mk46
SPWの更なる改良型として、NAVSPECWAR(US Naval Special Warfare Command、アメリカ海軍特殊作戦司令部)の要請により生まれたのが『Mk46』である。SPWからの改良は小さなもので、まずストックがParaストックから通常のものに戻されている。やはりParaストックの形状が、射撃時の操作性に悪影響があると判断されたのだろう(銃身を切り詰めて全長を短くしているので、空挺降下も可能である)。そもそも、ストックはピンを外せば簡単に交換できるので、この点は改良と言うほどのことではないかもしれない。
次にハンドガード上にピカティニー・レールが設けられた。これによりホワイトライト(フラッシュライトのことをアメリカ軍ではこう呼ぶ)やLRF(レーザー測距計)などを取り付けることができる。私はParaモデルやSPWモデルに搭載されたエルカン製M145 Machine Gun Opticよりも、LRFのほうが必要性は高いと考えている。エルカンは悪いサイトではないが重量があり過ぎる。より軽量なエイムポイントなどを使う例を見かけることが多いのも、そのためであろう。
Photo:U.S.ARMY / Spc. Matthew Hulett
▶常に発展する歩兵火器
Mk46の運用だが、Tier One部隊に配備する以上、なにより空挺降下が前提として挙げられる。通常のストックにフルサイズの銃身を付けた一般的なM249SAWでは、長すぎて降下できない可能性がある(空挺降下する際、小火器は布製のウェポンケースに収納し、左腕の下、体側に沿って固定される。小火器は、ここに収まる長さでなければならない)。Tire One部隊の装備・銃器はJumpable(空挺降下可能)が必須なのである(なお、現在では一般部隊用のM249、Mk46ともにテレスコピックタイプのストックが採用されている)。
分隊支援火器としての役割は変わらないが、CSW用ラグがないため、前述の通り徒歩でのみ運用される。この点もTire One部隊が求める機動力と火力はそのままに余分な要素を徹底的に削ぎ落した結果と言える。わかりやすい例が陸軍第75レンジャー連隊による運用だろう。短期決戦・強襲作戦を得意とするレンジャーにとって、最適のセットアップと言える。
アメリカ軍の兵器システムは、実戦から得た知見をもとに常に進化を続けている。初期のM249SAWからMk46に至る流れを見たとき、この武器に何が求められ、何が不要だったかがよくわかるだろう。私は、M249ガナーとして少なくない時間をこの銃とともに過ごしてきた。そのことが、この銃の変化を理解する大きな助けとなってくれていることも付記しておきたい。
解説:飯柴智亮
この記事は2019年4月号 P.28~37より抜粋・再編集したものです。