2023/07/22
【実銃】狙撃銃の新たなる運用方法を見出した革新的なライフル「KIVAARI」【中編】
DRD Tactical
KIVAARI
Takedown Rifle
.338 Lapuaマグナムカートリッジを一役有名にしたのは、やはり2009年にイギリス軍王室騎兵隊のCraig Harrisonがアフガニスタンで達成した2,475mの最長狙撃達成記録(当時)であろう。
このミリタリーのスナイパー向けに開発されたカートリッジには、.50BMGと.300ウィンチェスターマグナムの狭間を埋めるという役割もあった。1,000m以上を撃つスナイパーライフルといえばボルトアクションライフルが一般的だが、この.338 Lapuaマグナムを使用するARスタイルセミオートライフルも存在する。その一つとしてDRD Tactical 社のKIVAARIを紹介したい。
コンストラクション/アッセンブリ
KIVAARIは、ロア/アッパーレシーバー、バレル、ハンドガードの3点に分割され、ハードケースに収めて出荷される(ソフトケースバージョンもある)。
銃本体の重量は14.6lbs(約6.6kg)で、アキュラシーインターナショナル社のAWM(イギリス軍名称 L115A3)に比べるとほんの少し軽いが、二つのローデッドマガジンを入れると、そのケースの総重量は50lbs(約23kg弱)を超える。車を使っての移動か、もしくは割り切ってソフトケースを使うのが正解だろう。
バレルには、ガスチューブとチェンバー部分をプロテクトするためのガードが、バレルナットを使って取り付けてある。よってKIVAARIのアッセンブリは、ボルトをロックした後、このプロテクターをアンスクリュー(ネジを緩める)することから始まる。チェンバー部分をむき出しにしたら、これをアッパーフレームの定位置に最後まで押しみ、バレルナットを締めてゆく。
バレルナットは手締めだけでなく、添付のレンチを使って締め付ける。締め付けトルクが決めらているわけではなく、とにかく閉まる場所までねじ込む。
ハンドガードを装着し、バレルナットリテイニングピンを押し込み、レバーを締めればアッセンブリは完成だ。
24.5インチステンレスバレルは“Lother Walther”社製。ツイストは1:10だ。マズルブレーキは、サイレンサーCo製ASRがスタンダードだが、もちろんチョイスは可能だ。17インチハンドガードは、フルレングスのMIL-STD 1913アーパーレイルと、先端6時部分に3.5インチバイポッドレイルがついている。
チャージングハンドルは、ノンレシプロケーティング(ボルトにはアタッチされていないので、発射時に一緒に前後しない)で、レシーバーの左側に位置している。これにより、ガス作動でありながらサプレッサー使用時に発射ガスが顔面に噴出してくる、というARシリーズ独特の欠点が解消されている。
そのARシリーズとそっくりな外観を持つボルトキャリアは、その長さ、大きさ、そしてその重量から.338Lapuaマグナム威力を彷彿とさせる。その7つの巨大なラグを含む全体は、ニッケルボロン処理が施されている。ARと違い、ファイアリングピンはリターンスプリングを持ち、そのリテイニングピンは割ピンではなく、ソリッドの太いピンが採用されている。
また、ボルトを支えるカムピンは、頭にローラーベアリングを持ち、そのスムーズなオペレーションを可能にしている。
このテストガンにはガイズリー社のトリガーシステム組み込まれ、クリスプな3.5lbs(約1.6kg)トリガープルを実現している。
上下レシーバーはもちろんビレットからの削り出しで、そのフィッティングはタイトだ。参考価格は、今回のセットアップで約6,000ドルとなる。スコープと各アクセサリーを揃えると、トータル1万ドルといったところか。
Photo&Text:Hiro Soga
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2019年9月号に掲載されたものです。
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