2019/03/03
ラスベガス SHOT SHOW2019 レポート 【エアソフト編】
いまや世界の一大ホビー市場となったエアソフトの最先端を見ていこう
1月22日~25日の4日間、アメリカ ネバダ州ラスベガスにて世界最大の銃器展示市 SHOT SHOW 2019が開催された。一見、実銃がメインのように思えるSHOT SHOWだが、会場内には多数のエアガンメーカーが軒を連ねている。いまやエアガンは世界各国に愛好者を抱える一大ホビーであるとともに、実銃メーカーにとってもコラボやライセンス契約を結ぶなど、決して無視できない市場となってきている。今年も数多くの新製品がリリースされていて、中でも気になった製品をピックアップしたいと思う。
G&G ARMAMENT
台湾からはG&Gアーマメントが参加、展示を行なっていた。今回目玉の新製品は、G&GアーマメントオリジナルのハンドガンGTP9だ。G&Gはエアガンメーカーの中でも、特にオリジナルデザインの製品に力を入れている。カラーバリエーションは全部で4種類ある。
H&Kのようなパドル式マガジンキャッチ、グロックのようなトリガー、そしてハンドガンでは珍しいクロスボルト式セーフティなど、とてもユニークなデザインとなっている。このGTP9は日本市場向けにスライド、フレームともに樹脂のモデルも企画されている。これはありがたい配慮だ
GTP9のロアフレームを共通の発射ユニットとして使用するのがカービンデバイスのSMC9だ
このように、カービンデバイスのアッパーフレームにハンドガンのロアフレームを組み込んで使用する。従来のハンドガンを丸ごとを内蔵するカービンデバイスとの大きな違いはここだ。スライドはアッパーフレーム内に組み込まれており、セミ/フルの切り替え機構をもつ独立したユニットとなっている
GTP9、SMC9共用の50連ロングマガジンと多弾数巻き上げ式のドラムマガジンもラインアップされている
新製品のライセンスドプロダクツの1つがCOBALT KINETICSのBAMF(Billet Aluminum Modern Firearm)シリーズの競技用モデル「TEAM」だ。G&GアーマメントはCOBALT KINETICSよりライセンスを受け、これを電動ガンとしてモデル化した
COBALT KINETICSと言えば、マガジンの残弾がゼロになるとマガジンが自動的に落下するCARS(Cobalt Advantage Reload System)だ。本来、実銃ならばロアレシーバーに組み込まれるこの機能をG&Gアーマメントはマガジンにて完全再現しているのである
オリジナル製品やライセンス製品とはまた違う雰囲気を放っているのがクラシックガンシリーズだ。G&GアーマメントはガスガンにてShort Magazine Lee-Enfield (SMLE) Mk1をモチーフとしたLE4 Mk1とLE4 Mk1 Sniperを発表した。こうしたクラシックモデルの製造も盛んになっており、他のメーカーでも何点か目にする機会があった。ファンとしては嬉しい限りである
Airsoft Innovations
カナダ・トロントでエアガン用グレネードを製造販売しているAirsoft Innovationsが発表したのは、昨年2018年にデビューし、業界の度肝を抜いたガスグレネードカート「40 Mike」のバリエーションとなる「Master Mike」だ。同社が特許を持っているQuantum Driveと呼ばれる発射機構でなんと420発/sもの超ハイサイクルにて150発のBB弾を一瞬で発射する40 Mikeをベースに、より広範囲に拡散するよう調整された
メーカー公称値では、0.2g弾使用時で初速220fps(約67m/s)、最大射程60フィート(約18m)、20フィート(約6m)先で直径10フィート(約3m)に拡散する。これは北米市場で一般的なプロパンガスをパワーソースとした場合なので、日本にてHFC134aで使った場合はもう少し下がると思われる。今夏、猛威を振るうこと間違いなしだろう
PTS
香港とアメリカに拠点を置き、高品質のエアガン/カスタムパーツを開発するPTSも新製品を続々投入している。PTSの新シリーズ "Real-Spec" Legacy Airsoft Seriesで製品化されたのは「CAR-15 N23」だ。これは銃器作家 Dave Merrill氏がRecoil誌にて「もしCAR-15に、より短い派生種があったら?」というコンセプトで製作したオリジナル銃器をPTSがエアガン化したという、非常にユニークな製品だ。CAR-15 N23はレトロな外観にも関わらず、内部に電子制御のギアボックスを採用するなど第一線級の仕上がりとなっている
高品質ミッドキャップマガジン「EPM」の新型は装弾数が200+発まで増加、マガジン側面に一目で残弾が分かる残弾インジケーターが追加された。設計は画期的な手回し式BBローダー「M12 Sidewinder」を製作したOdin Innovationsが担当している
そして、PTSのブースには韓国GBLSも共同で出展しており、GDR15のカスタムがずらりと展示されていた。日本でも人気が高まってきているGBLS製品だが、カスタムパーツ含め今後どのような展開を見せるのか目が離せない
ZSHOT
ZSHOTはアメリカ・オハイオ州に拠点を構えるメーカーで、様々なメーカーのライセンシングやライセンス製品を展開するとともにPTW(Pro Training Weapon)製品の製造を行なっている。彼らの新製品は、メーカーのライセンスを受けて製造されたライセンスドPTWだ
Mk18 Mod1をモチーフにCOLTのライセンスを取得して製造されたのがMk18 PTWだ。レシーバーは上下ともCNC切削製。Mk18の象徴とも言えるレールハンドガードMk18 RISⅡはDaniel Defenceのライセンスを取得して製造を行なっているMADBULL製である。このようにライセンスドPTWは可能な限りメーカーライセンス取得パーツにて構成されている
もう1つはH&Kのライセンスを取得したHK416D PTWである。ZSHOTでは10.4インチをモデルアップしている
特筆すべきはマガジンで、HK純正の30 Round Polymer Magazineを再現しているのである
SHOT SHOWから見る世界のエアガン文化
筆者はここ5年ほどSHOT SHOWを訪れ、その度にエアガン関連のブースに足を運んでいるが、各メーカーとも毎年様々な新製品を展開しており活気がある。それらは実銃メーカーとのコラボ、ライセンシング製品だったり、日本では見られない独創的な商品だったりと、多様性に富んでいる。世界に広がったエアガン文化が、それぞれの地域でローカライズドされて盛り上がっている様を見ると、大きな刺激となる。確かに日本という巨大市場でもエアガンは盛り上がっているが、そこから一歩踏み出して違う世界を見てみるのも、新たな発見があって面白い。
TEXT&PHOTO:石岡大樹
この記事は2019年4月号 P.106~109より抜粋・再編集したものです。