ラスベガス SHOT SHOW2019 レポート 【実銃&アクセサリ編】

 

シグザウエル、コルト、グロック、STI、etc. 2019年注目の新製品を一挙紹介!

 

毎年1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催される全米最大の銃器展示会「ショットショー(SHOT SHOW)」。米国のみならず、100ヵ国から出展者を合わせて6万人以上が訪れ、大小さまざまな銃器メーカーとその関連メーカーが新製品の発表を行なう。その年の銃器業界のトレンドと新製品の動向がわかるのが「ショットショー」である。各社の新製品をピックアップしていこう。

 


SOL INVICTUS ARMS

 

SOL INVICTUS ARMS

ショットショー前日に行なわれた試射会「ショットショー・インダストリーデイ」でもっとも注目を集めていたのが、新しい銃器メーカー、ソル・インビクタス・アームズ。同社が発売予定のフルオートショットガン「AA12」を試射することができた

 

SOL INVICTUS ARMS

AA12は様々な映画に登場し、東京マルイからも電動ガン化もされているので有名ではあるが、試作の段階を出ていないモデルである。オープンボルトからのサイクルで発射されるフルオートのみ。ボルトが後退した時にその衝撃をレシーバーへと伝えない「コンスタントリコイル」での作動をするため、特筆して反動が少ない

 

SOL INVICTUS ARMS

同社の最初の製品は、KG9をベースに近代化を行なったTAC9。シルエットは往年のKG9を彷彿とさせるが、グロック用マガジンが使用でき、トリガー、ストック、グリップ等、AR15のパーツが使用できる

 


Kel-Tec

 

Kel-Tec

ダブルチューブのマガジンを持つ独特なKSGショットガンのシリーズに、シンプルなシングルチューブを持つKS7が登場した。構造や操作性はKSGに準ずるが、シングルチューブとなり薄く、軽量化が推し進められている

 


SIGSAUER

 

SIGSAUER

スイスのシグは銃器部門から撤退し、完全米国資本となったSIGSAUER。P320が米軍次期制式ハンドガンとして選ばれたことが発表され波に乗っている。MCXシリーズも幅広いバリエーション展開で注目となっている。単銃身を持つラドラーシリーズにサプレッサーを組み合わせたバージョン。シグではサプレッサーの開発に力を入れている

 

SIGSAUER

P320のハイエンドシリーズ、Xシリーズ。Xコンパクトは新しいデザインのグリップとともにミリタリースタイルのオプティクスレディースライドを組み合わせた注目のモデルだ

 


Daniel Defense

 

Daniel Defense

高品質なAR15の製造で知られるダニエルディフェンスだが、今年は完全新規自社デザインによるボルトアクションライフル、デルタ5を登場させた

 

Daniel Defense

バレルエクステンションとバレルナットを使ったユーザーによるバレル交換が可能なデザイン。2ラグ60度オープニングのボルト等、最新のボルトアクション向けテクノロジーが満載されたモデルとなっている

 


GLOCK

 

GLOCK

新たにスタートした「スリムライン」シリーズとして今年発表となったG43XとG48は、セミダブルスタックのマガジンを使用する薄型コンパクトなコンシールドキャリー向けピストルだ。写真のG43Xは9mmパラベラム弾を10+1発装填できる

 

GLOCK

G48サイズはグロック19に準じている。だが厚さは28mmと薄くコンシールドキャリーしやすい

 

GLOCK

G43Xはグロックに慣れたシューターであればすぐに取り扱いできる。非常に撃ちやすく、装弾数、サイズ、携帯のしやすさといったバランスが取れたハンドガンに仕上がっている

 


STI

 

STI

2011モジューラーフレームで知られるSTI。今年からはSTACCATOシリーズとして新しいグリップデザインとともに、多くのバリエーションを更新した。STACCTO-P /H.O.S.Tは新型グリップ、マイクロドットサイトを取り付けられるスライドカットを含む新デザインのバリエーションだ。2011 G2Gripはこれまで変化のなかった2011グリップを大きくモダンなデザインへと押し上げた。材質はポリマー製

 

STI

2019年5月に公開予定のジョン・ウィックシリーズ第3弾となる映画『ジョン・ウィック3:パラベラム』で使用されるSTIとタランタクティカルとのコラボレーションモデル

 

STI

IPSC規定で使用できる最大の長さを持つスライド&バレルに、トライカットを行なっている

 


ZEV

 

ZEV

グロック用のカスタムパーツで知られるZEV。オリジナルデザインのフレームを持つコンプリートピストルであるOZ9は、グロックをベースとした発展型とも言えるモデル。パーツはZEVがこれまで開発してきたグロック向けのパーツを使用している

 

ZEV

OZ9のフレームはシリアルナンバーのあるアッパーシャーシ部分とポリマー製のグリップ部分に分割されている。内部機構はグロックそのままでパーツも共有されている

 


CZ

 

CZ

ポリマーフレームのP10シリーズと、スコーピオンEVOシリーズが好調なCZ。P10FはP10Cに続くフルサイズモデル。マイクロオプティクスを直付できるオプティクスレディのスライドを持つ

 

CZ

人気のスコーピオンEVOシリーズのピストルバージョン。カスタムパーツも豊富になり、射場でも多く見かけるようになってきた

 


Standard Manufacturing

 

Standard Manufacturing

S333はダブルバレルを持つ、ダブルアクションリボルバーだ。8発の.22リムファイアマグナム弾をシリンダーに装填でき、トリガーを引くたびに2発が同時に発射される。非常に重いトリガーを弾き切るため、人差し指と中指の2本でトリガーを操作する

 

Standard Manufacturing

2本のバレルが水平に並んでおり、トリガーを引くたびに同時に発射される。装弾数は8発だが、発射回数は4回ということになる

 


COLT

 

COLT

2017年に発売された.38スペシャル口径のコブラは、2インチ銃身を持つ小型スナブノーズであった。キングコブラは.357マグナムを使用し、コブラよりもフレーム強度を上げた中間サイズのマグナムリボルバーである

 

COLT

ステンレススチールを使用したMIM製造によって作られたフレーム、バレルシュラウドを持つキングコブラ。内部構造にも近代的な製法が投入され、過去のキングコブラとはまったく異なる製品となっている

 

COLT

コルトによるレトロシリーズは、正確な刻印の再現を含め、完璧な復刻版となっている。その中でも人気なのがXM177E2である。ハンドガード、ストックなどすべて新規で製造し、オリジナルを正確にトレースしている

 


Q

 

Q

QはAR15をベースとし、スライディングストックを備えた「ハニーバージャー」シリーズと、独自のボルトアクションライフル「フィックス」をラインアップに備え、注目を浴びているメーカーだ

 

Q

サプレッサーのデザイン、独特なハンドガードと共にスライディングストックを備えたロアレシーバーを組み合わせ、魅力的なAR15のバリエーションを生み出している

 

Q

フィックスは、AR15およびAR10シリーズのパーツを流用することができる発展性の高いボルトアクションライフルである

 


Arsenal Firearms

 

Arsenal Firearms

2挺の1911ガバメントを左右に並べたAF2011A1で知られるアーセナルファイアアームズ。今回は実際に試射を行なう機会に恵まれた。一体のフレーム、スライドから成り立つAF2011A1。こういったダブルガンはガンスミスの技術を示すためのサンプルとしてボルトアクションやショットガンで作られることはあるが、セミオートピストルでの製造は珍しい

 

Arsenal Firearms

操作は1911ガバメントと同じ。だが2倍の厚さとなったフレームはしがみ付くようなグリップ感となる

 

Arsenal Firearms

発射の瞬間。.45ACPのリコイルが2発分同時に来るので確かにきつい反動だが、銃の重量が重いため、充分にコントロールできる

 


FK Brno

 

FK Brno

チェコ製のFK Brno。専用の7.5FK弾を使用するユニークで強力なピストルだ

 

FK Brno

ダストカバー部分には発射時の慣性で作動するリコイルリデューサーが組み込まれている。大型の銃だが、充分な肉抜きがされており、見た目よりも軽量。組み立ての精度も素晴らしい

 


MAXIM FIREARMS

 

MAXIM FIREARMS

マキシムファイアアームズは、超小型のAR15用バッファーチューブとスライディングストックを持つコンパクトなAR15カスタムを展開している。5.5インチ銃身を持つスーパーコンパクトAR15。作動のためにマズル部分にAK74Uと同様のブースターを取り付け、充分な作動圧を得ている

 

MAXIM FIREARMS

コンパクトなスライディングストック。バッファーチューブとバッファーもコンパクト化されている

 


Fire Control Unit

 

Fire Control Unit

SIG P320のファイアコントロールユニットを使用するユニークなコンバージョンを生み出しているFCU。X01に続いて、5.56mm弾を使用するアサルトライフルへのコンバージョンキットを発表した

 

Fire Control Unit

P320のファイアコントロールユニットを移植することでPDWとなるX01コンバージョン

 

Fire Control Unit

P320のファイアコントロールユニットをフレーム内に組み込むことで完成するアサルトライフルコンバージョンキット。多くのパーツがAR15から流用できる。まだ3Dプリントによる試作段階だが、期待が持てるプロジェクトだ

 


Silver Shadow

 

Silver Shadow

イスラエルのメーカー、シルバーシャドウ。ユニークなダブルバレルAR15と、コーナーショットを展示した。Gilboa(ギルボア)はAR15を左右に並べたダブルバレルスタイルのアサルトライフルだ。オリジナルモデルでは1つのトリガーで左右のバレルから同時に発射できるが、米国の法律上、2つのトリガーで別々にコントロールしなければならない

 

Silver Shadow

コーナーショット。先端に取り付けられたハンドガン(他にもグレネードやレスリーサルなどのオプションが付けられる)が左右に曲がり、遮蔽物の陰から射撃が行なえる。先端につけられたカメラの映像を見て照準を行なう

 

Silver Shadow

 


SUPER VEL

 

SUPER VEL

スーパーベルはベトナム戦争時代に使用されたハッシュパピー消音ピストルのリバイバルを行なっている。新たな技術で蘇ったハッシュパピープロジェクトはM&Pとグロックの2種類で開発されている

 

SUPER VEL

サプレッサーはバッフルとワイプを使ったハイブリット構造となっている。ワイプとはゴム製の蓋のことで、その蓋を弾が貫通しながら発射されるため、多くの発射ガスをサプレッサー内に閉じ込めることができ、高い消音性能を誇る

 

SUPER VEL

グロックのスライド後部にはスライドロックが追加されており、セレクターを下げればスライドは固定され単発となる。スライド作動の音を完全に消すことで高い消音性を誇る。M&Pではフレーム側にスライドロックが追加されている

 


Aimpoint

 

Aimpoint

スライドへ直接ドットサイトを装着する「スライドマウントマイクロドット」が流行しているが、エイムポイントが発表したAcro P-1は、マイクロドットの決定版となるかもしれないと期待されている新製品だ。写真はグロック17 Gen5 MOSに搭載されたAcro P-1

 

Aimpoint

左側にドットのアジャスメント、右側には電池コンパートメントを配したデザイン。チューブスタイルでより頑丈な構造となっている。スイッチを切らずに1年間の連続使用が可能。エイムポイントらしい頑丈で信頼性の高い構造となっている

 

Aimpoint

Acro P-1のAR15向けマウント。左右に電池コンパートメントやアジャスメントノブが飛び出していないクリーンな視界で、ライフルに取り付けた状態でも使いやすいオプティクスだ

 


Ideal Conceal

 

Ideal Conceal

携帯型2連発デリンジャーを発売するアイディアルコンシール。シンプルなダブルアクショントリガーを持つ

 

Ideal Conceal

折りたたんだ状態ではiPhone Xと同じサイズとなっている

 

Ideal Conceal

バレルをティップアップさせ、2発装填することができる。グリップを展開すれば射撃状態となり、展開しない状態ではトリガーを引くことはできない

 


MAGPUL

 

MAGPUL

発売以降人気の高いマグプル製バイポッド。ポリマーを巧みに使い、軽量ながら強度が高く使いやすいバイポッドだ

 

MAGPUL

7.62mm用の50連発ドラムマガジン

 


 

 今回も様々な新製品やアイデアに出会えたショットショーであった。全体的に大きな新製品発表はなかったが、小粒ながらユニークな製品に出会うことができた。すでにAR15とグロック市場は完璧な飽和状態となっており、各社、ユーザーともに新たなアイデアを求めていることが感じられた。サプレッサーメーカーの勢いは大きく、様々なアイデアと新製品が投入されていたのも特徴的な年だったといえる。2019年も米国市場を中心とした銃器、アクセサリーの流行がわかるショットショーであった。

 

TEXT&PHOTO:SHIN

 


この記事は2019年4月号 P.92~105より抜粋・再編集したものです。

 

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