実銃

2023/06/10

【実銃】アメリカで注目のハンドガン「STACCATO-P」の魅力に迫る【中編】

 

STACCATO ☆ P

The Best Shooting Duty Gun

 

 

 レースガンとしてのイメージが強いSTIの2011だが、新製品であるSTACCATO☆Pモデルは、2019年から2020年にかけて全米で250以上のローエンフォースメントエージェンシーから正式に認定されるなど、デューティガンとして華麗なる大変身を遂げた。あのUSマーシャルSOGやLAPDのSWATといったエリートチームでの採用が決まり、その影響もあって全米のエージェンシーが認定に踏み切ったともいわれている。これはその社名をSTACCATOと変えて、新しい陣容で開発&マーケティングを進めたSTIが勝ち取った快挙だ。

 

前編はこちら

 


 

バレルのフィッティングはタイトだ。マズル部分は布で拭ってしまったが、まだカーボンが盛り上がっている。スライドやダストカバーに見える模様は発射ガスによるものだ

 

 この状況が大きく変化したのは、ここ数年のことだ。STI社では、会社そのもののリオーガナイズともいえる変革が進行していたのだ。まず、経験豊かなミリタリー出身者やローエンフォースメントプロフェッショナルを何人も雇い入れ、彼らの意見を取り入れながら、短い間に2011プラットフォームをハイエンド競技銃から、“ハイパフォーマンス デューティレディツール”へと変身させていったのだ。

 当然のごとく、マガジンは新設計がされ、そのフォロワーも刷新されていく。

 

大幅に進化しているグリップ部分。中指のフィッティング、滑り止めの大きさ、深さ、場所など、よく作り込まれている。サムセイフティやスライドストップのコーナー部分は絶妙に丸めてあり、感触、操作性ともに優れている

 

 その片鱗は2019年末にリリースされたニューモデルだけでなく、2020年のSHOT SHOWでも案内されていた社内プロフェッショナル達によるデモンストレーションや、トレーニングプログラム等にも表れていた。

 製品をプロモートするだけでなく、全米の法執行機関向けに、積極的な働きかけをしていったのだ。本誌の35ページで、2020年モデルをリストアップしたので見てほしい。2019年後半にリリースされたモデルとは微妙に銃身長などが異なっている。

 

リコイルスプリングガイドの下部をご覧いただきたい。このように先端下部を指先で押し込むとスプリングがストロークした状態でプラグロックすることができる

 

リコイルスプリングガイドをロックした状態。スプリングのテンションがかかっていないので、スライドをアジャストして、スライドストップを簡単に抜くことができる。組み上げる際も同様だ

 

C2とPモデルにはアイアンサイトのみのモデルと、オプティックサイトが搭載できるDUO(Dawson Universal Optic System)モデルがある。CとXLはオプティック搭載可能モデルのみ、XLはアイアンサイトのみ

 

 ここで注目したいのは、XLモデル以外はすべて9mm口径のみに設定されているのと、4.4インチ銃身のPモデルがデューティ向けのメインモデルである点だ。ローエンフォースメント向け1911というと、フルサイズである5インチバレルという先入観があるが、そこは直接のリサーチと9mm口径のみであるが故の割り切りがしっかりとしてある。ここにはローエンフォースメント関係者からのインプットが大きく影響しているそうだ。

 

通常分解。リコイルスプリングが圧縮されている状態がよくわかる


 また、全モデルに共通しているのは、パーツ供給会社として有名なDawson Precision(ドーソンプレシジョン)社との提携関係だ。サイトやリコイルシステムといったコンポーネントについて同社から供給を受けることによって、製品の完成度が向上するのだ。

 

オーナーであるジェイソン好みのIWB(Inside the Waistband)ホルスター。彼は左利きだ。こいつを腰骨の後ろに吊っている

 

 

 こうして大きな変貌を果たしたSTI社は、2020年5月、その社名も“STACCATO”に変更することが決まった。これは“スタカート”と読む。アクセントは“カ”の部分にある。
 STACCATOは、USMSSOG(United States Marshals Service, Special Operations Group:連邦保安官局特殊作戦グループ)でPのDUOモデルが採用されるという驚きのニュースがあったほか、LAPDSWAT、シカゴPD SWATなどでもPモデルの採用が決まっただけでなく、全米250もの法執行機関から正式な認定(デューティガンとして使ってよいという認可)されるなど、急速に浸透していっているというのが現状なのだ。

 

これはスライドが後退しきった状態。バレルのリンクにスライドリリースのシャフトを差し込んである。この状態でランプ中央部に次弾が激突しつつ装填されていく

 

装填された状態。マガジン最上部の次弾は、実際にはもう少し下に控えていることになる

 

9mm用にフルファンクションするよう新設計されたマガジン。左2本が17連、右は20連だ。マガジンベースは10-8 Performance製に交換されている

 

誇らしげに刺繍された20☆11のロゴと、各モデルのベルクロパッチ

 

別レイヤーにはマガジンが5本収まる

 

よく考えられたパッケージングだ

 

アルミ製の10-8パフォーマンス社製マガジンベース。8個あるドットにカラーインクなどを流し込めば、マガジン個体の識別ができる。使う順番や使い始めた時期など工夫次第で区別することができる

 

続きはこちら

 

Photo&Text:Hiro Soga

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年2月号 P.156-160をもとに再編集したものです。

 

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