2021/10/23
ドイツ軍新兵の日常生活を再現!【リエナクトメントのススメ vol.23】
月刊アームズマガジンにて連載の「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。
WEB版第23回では、2017年10月7日・8日に行なわれた、Kaspar Lueder u. Pohi主催のイベント「Lueders Kaserne」から、2日目に行なったドイツ軍新兵の兵営における生活を再現した様子をレポートする。
ドイツ軍兵営体験イベントレポート ~その3~
「ドイツ軍新兵の兵営生活②」
前回に引き続き、2017年10月7・8日に実施された、Kaspar Lueder u. Pohi主催のドイツ軍兵営体験イベント「Lueders Kaserne」のレポートである。今回は2日目の様子を紹介していく。
このイベントは、訓練中隊内での新任兵教育を想定したもので、新兵の兵営における生活様式、座学、教練に焦点を当てており、参加者がより兵隊に見えるようになることを目指している。ドイツ陸軍の教範の各個教練の最初には、以下のように記されていた。
「兵士の優れた姿態は、洗練された教育と肉体鍛錬の結果を示す尺度である。諸君は日々の軍務のすべての機会に於いて練磨しなくてはならない」
起床:Aufstehen
“起床!:Aufstehen!” ――イベントの2日目はラッパ手の吹く起床ラッパで始まった。写真はその模様を示しているのだが、本イベントでは起床ラッパと帰営ラッパが再現された。余談ではあるが、帰営ラッパのメロディーは、兵隊歌「リリー・マルレーン:Lili Marleen」のイントロとしても使われていることで有名である。
装備点検:Ausrüstung Besichtigung
新兵達は、昨夜の自由時間にきれいに磨き上げた皮革装備の点検を受けている。初日の皮革製装備の手入れでは「行軍靴:Marschstiefel」「ウエストベルト:Koppelriemen」「弾薬盒:Patronentasche」「銃剣の剣差し:Seitengewehrtasche」を磨き上げたが、磨き方の講習から始めたこともあり、かなりの時間を費やしてしまったため、その後のネームタグの縫い付けが終わった頃には、当初予定していた就寝時間を過ぎて、深夜になってしまった。こういった時間配分は今後の課題であろう。
体操:Turnen
イベント2日目の午前中は、フィールドに出てランニングと体操を行なった。前述のように、前日のスケジュールの関係で寝不足気味だった参加者には少々きつめの内容となったが、本来のイベント趣旨が「きつい軍隊を体感すること」なので、このようなイベントは参加者の体調を見極めつつ発展させていきたいところである。
写真は体操風景を写したものであるが、ドイツ陸軍にも“陸軍体操”があった。
昼食:Mittagkost
前々回のリエナクトメントのススメ vol.21でも紹介したが、今回の昼食メニューは、スープが「野菜スープ:Gemüsesuppe」、サラダは「キュウリのピクルス:Gewürzgurken」、主菜である肉料理として「ビーフグーラシュ:Rindsgulasch」と、添えには「塩茹でジャガイモ:Salzkartoffeln」を用意した。
兵営での食事は、営内の食堂で喫食するケースと、内務班(営内居住者の居住単位)ごとに摂るケースがあったが、一般的に訓練大隊の昼食は食堂で供された。
徒手訓練:Ausbildung ohne Gewehr
ドイツ陸軍の新兵教育も、他国の軍隊同様、「各個教練:Einzelausbildung」から始めて部隊行動の訓練を行なう。最初の各個教練では兵士としての所作や行進、敬礼の作法のような徒手訓練と、執銃や模擬弾を使用した小銃の基本操作など小銃を用いた訓練:Ausbildung mit Gewehrが行なわれていた。
写真は、徒手訓練で行なわれた「気をつけ」の姿勢の訓練である。
お遊び:Spielen
最後は、当時のプライベート写真にもよくある、おふざけ写真の再現に挑戦してみた。この写真では教育係の下士官が一緒に写っているが、当時の写真では下士官が一緒に写っていることはなく、あくまでも兵たちの娯楽の1つであった。また、上の写真では教育係下士官に攻撃的なポーズが見られるが、これも今回のイベントの教育訓練が厳しめだったことを反映しており、イベントの趣旨からすれば成功だったことを示していると思われる。
TEXT&PHOTO:STEINER