2021/03/15
リエナクトメントのススメ vol.17【WEB版:HGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」イベントレポート その7】
月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。
WEB版第17回では、前回に引き続き、2016年1月23日・24日に行なわれたイベント、御殿場SVGNET主催のHGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」のドイツ軍の糧食再現に焦点を当てて紹介する。
HGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」イベントレポート~その7~
前回に引き続き、2016年1月23日~24日に行なわれた、御殿場SVGNET主催のHGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」のイベントにおけるドイツ軍の糧食再現に着目して紹介する。
コーヒーを準備するドイツ軍糧食班
コーヒー用の湯沸かし準備のため、飲料水缶から寸胴鍋に水を移し入れるドイツ軍糧食班員。常に必要量を把握し、無駄なく糧食を作ることを求められていた糧食班員は、分量の間違いを防止するための規則である「計量は2名で行なう」を遵守している。
コーヒーを運搬するドイツ軍糧食班
初日の夕食は「カルテスエッセン:kaltes Essen(火を使わない冷食)」だったので、糧食班はコーヒーを沸かすだけで仕事を終える予定であった。本来であれば前線からフードコンテナを受領にくる手筈だったが、前線は損害が出て余裕がないので、コーヒーは糧食班が運搬することとなった。
ドイツ軍の薪割り
ドイツ軍糧食班の主な燃料は薪であった。現地調達が比較的容易な反面、このように薪割り作業を必要とした。薪割りやジャガイモの皮むきなどの作業は、2名の調理兵だけではこなせない場合、中隊より人員を抽出して行なわれることが多かった。
調理中のドイツ軍糧食班
設定時期には、前線部隊に精肉を供給する屠殺中隊などの後方部隊は、すでに撤退を開始している。残り少ない肉を均等に分けるため、支給人数で割り切れる数にベーコンを切り分けている。これはドイツ軍の野戦調理10則の「肉を公平に支給する」に則したリエナクトメントである。
ドイツ軍の配食
2日目の昼食は、部隊ごとに全員が各自の飯盒と水筒のコップを持参して、糧食班天幕前で配食された。温食支給に擲弾兵たちにも嬉しそうな表情がみられる。温かい物を喫食できる喜びを体感するのも、リエナクトメントの醍醐味の1つであると感じる。
ドイツ軍2日目の昼食
メニューは「アイントプフ」というスープで、末期の定番メニューである。状況的には携行食でもおかしくないが、温食支給を重視した連隊長の意向に従った設定だ。ドイツ製の肉エキスで味付けをした野菜中心のスープに、1人4切れのベーコンが添えられた。
取材・画像協力:御殿場SVGNET
TEXT&PHOTO:STEINER