2018/11/19
タナカ SIG P220 IC海上自衛隊 製品レビュー【2018年12月号掲載】
話題のP220ICに海上自衛隊バージョンが登場
日本の銃器メーカーのDNAを継承
精密機械の国スイスらしい精巧な仕上げで「軍用銃のロールスロイス」としてコストを度外視して製造されたP210を徹底的なコスト削減と、時代に沿った機能を盛り込んだ新しい軍用銃として開発されたのがP220だ。P220はマニュアルセーフティを廃止したデコックのみとし、四角い薬室と排莢口をかみ合わせて、スライドとバレルをロックするロックブリーチ・ショートリコイルを採用。なおスイスは日本と同様に国内の銃器輸出規制があり国外に武器を輸出することができない。これを回避するため、ドイツにあるシグ社傘下の企業「ザウエル&ゾーン」にP220シリーズの製造が委託されている。陸上自衛隊のサービスピストル更新に伴い、1982年に「9mm拳銃」の制式名で採用され、日本ではミネベアでライセンス生産されている。ミネベア社は長野県で誕生したベアリングやモーターを中心とする電器部品メーカーで、南部銃製造所を前身とする新中央工業と1975年に合併することで数少ない国内銃器メーカーになった。
9mm拳銃の文字とシリアルナンバー、各自衛隊を示すマークが刻印されている。桜に錨のマークが海上自衛隊の証だ
元となったP220が様々な口径を使用することを考慮されたフレームサイズであったため、日本人の手に合わせた専用のグリップ形状に改められている
マニア心をくすぐる魅惑のバリエーション
タナカワークスはSIGモデルを精力的にモデルアップしており、P220自衛隊モデルもバージョン2までマイナーチェンジを経てきた。内部機構に大幅な改良を加えたインテグレイテッド・シャーシ・システムを搭載したP220ICは、旧タイプに比べて好調に作動するモデルとして好評を得ている。また今回の海上自衛隊モデルは前作の陸自、空自バージョンと内部メカは一緒だが、ラインアップのレア度でいったらダントツだろう。自衛隊マニアならコンプリートしたくなる見逃せないバリエーションとなっている。
スライド上部の斜めの面取りに注目して欲しい。オリジナルSIGにはない9mm拳銃独特の改良点も再現されている
調子の良いブローバックを生み出すインテグレイテッド・シャーシ・システムフレーム先端にまでインナーシャーシが延長されたことでバランスと剛性がUPした
マガジンも再設計され、装弾数も12発から20発に増えた
初速(m/s) | |
---|---|
1発目 | 70.5 |
2発目 | 70.3 |
3発目 | 70.3 |
4発目 | 69.6 |
5発目 | 69.3 |
6発目 | 69.4 |
7発目 | 68.5 |
8発目 | 69.3 |
9発目 | 69.9 |
10発目 | 68.7 |
平均値 69.6m/s(0.48J)
※気温27℃ 東京マルイ0.20g弾使用
DATA
- 全 長:208mm
- 全 高:141mm
- 全 幅:36mm
- 重 量:740g
- 装弾数:20発
- 価 格:¥26,784
- お問い合わせ先:タナカ
TEXT:IRON SIGHT
この記事は2018年12月号 P.92より抜粋・再編集したものです。