2021/02/24
リエナクトメントのススメ vol.16【WEB版:HGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」イベントレポート その6】
月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。
WEB版第16回では、2016年1月23日・24日に行なわれたイベント、御殿場SVGNET主催のHGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」のドイツ軍の糧食再現に焦点を当てて紹介する。
HGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」イベントレポート~その6~
第14回、15回の記事では、2016年1月23日~24日に行なわれた、御殿場SVGNET主催のHGG 13「1945 BATTLE OF BIZORY」のイベントにおけるアメリカ軍の糧食再現に焦点を当てた。今回は、ドイツ軍の糧食再現に注目して紹介する。
ドイツ軍側食材
糧食再現で苦労することの一つに、限られた予算内で食材を調達することが挙げられる。これは実際の軍隊でも予算は決められている。理由の一つとして、食材によっては当時廉価で入手できたものが、現在日本で入手するには高価になっていることもあるからだ。また、参加人数が直前まで決まらないと、調達量が定まらない。
ドイツ軍糧食班
ドイツ軍糧食班は、専従の班員3名態勢で糧食を供給した。また、12枚のツェルトバーンで構成された天幕に、3枚のツェルトバーンによるタープを追加したものを設営した。これはそれぞれ、機材および食材を保管するためと、食材の下ごしらえ及び配食に使用した。
ドイツ軍の糧食配給チェック表
中隊規模では輜重科将校がいないので、細かい経理業務は行なわれないが、弾薬や食料のような消耗品については報告書を作成して大隊に報告する。
写真は今回のイベントで使用したドイツ軍の糧食配給チェック表で、支給の際に数量を記載するためのもの。これを元に後から中隊で糧食配給報告書が作成されるのである。
糧食支給準備を完了したドイツ軍
初日の夕食は「暗くて寒い雪中での食事を楽しんでもらいたい」との主催の好意で、状況下で喫食することとなり状況前に支給された。写真は、糧食班天幕前に設えた配食テーブルだ。上には支給する「コミスブロート」「ラード」「ドライソーセージ」と、糧食配給チェック表が準備されている。
配食数を確認するドイツ軍糧食班員
配食数は本来、朝の点呼の結果を中隊先任下士官(シュピース)がまとめ、糧食班に配食方法も含めて指示を出すが、イベントでは途中参加者がいるので、配食直前に過不足が生じないよう配食数の最終確認を行なう。これは配食作業をスムーズに行なうためだけではなく、糧食費を徴収する際にトラブルが生じないようにするための重要な作業でもある。
ドイツ軍の糧食支給
ドイツ軍の糧食支給は、糧食班天幕に各分隊から代表者が受領しに行く。支給は下士官立ち会いで行なわれ、糧食配給チェック表に記入の数量が支給される。イベントでは出撃前に支給されたため、受領する擲弾兵が武装しているが、通常支給は武装前に行なわれる。
取材・画像協力:御殿場SVGNET
TEXT&PHOTO:STEINER