2021/01/14
【実銃】カスタムARのガンメーカー「BLACK RAIN ORDNANCE」
M4(M16)/AR-15シリーズといえば、USミリタリーの制式銃となって50年以上、その高い精度や信頼性もあって、アメリカではもはや小口径ライフルの代名詞ともいえる存在だ。その人気の理由のひとつに、このシリーズはパーツの規格が統一され、汎用性が高いことが挙げられる。そのため、AR15をカスタムするガンメーカーも数多く存在するのだ。
今回はそのうちの一つである新進気鋭のガンメーカー「BLACK RAIN ORDNANCE」をご紹介しよう。
※このレポートは月刊アームズマガジン2019年11月号に掲載されたものを再編集したものです
目次
ラインアップ
BLACK RAIN ORDNANCEとは
ブラックレイン・オードナンスは2009年に設立されたばかりの気鋭のカスタムガンメーカーであり、さまざまなAR-15カスタムをラインアップしている。その製造へのこだわりからコアなガンユーザーを中心に注目を集める存在となっている。評判は海外にも広がっているようで、台湾のトイガンメーカーより同社公式のカスタムAR-15電動ガンが発売されているそうだ。本拠地はミズーリ州ネオショー。州の南端に位置し、オクラホマやアーカンソーにも近い。いわば田舎町だ。見渡す限りの平地が広がる郊外に本社工場は設けられている。
同社マネージャーが、工場に併設されたショールームで私を迎えてくれた。彼らがこだわるのは「メイド・イン・アメリカ」だ。一部は施設が分散しているが、本社工場で多くの部品を加工・製造し、そのために高品質な水準を維持し続けている。マネージャーは「我々の期待する高い基準のもとで製造されているという事実に誇りを持っています」と話してくれた。ここからのページではカスタムメイド品を含む同社ラインナップより、マネージャーが選んでくれたモデルを紹介していこう。
BRO-CUSTOM 5.56
デザートタン・セラコートモデル
パーツ構成
- 削り出しレシーバー
- 18インチ・クロモリバレル
- 17.76インチ・スリムハンドガード
- 塩浴軟窒化ボルトキャリアーグループ
- 3.5ポンド・シングルステージ・トリガー
- Magpul製MOEグリップ
- Magpul製MOE SLストック
ハイエンドなプレシジョンモデル
「我々は幅広い製品を製造しています。軍や法執行機関で使用されているような基本的な“パトロールライフル”モデルからハイエンドな製品まであります。高品質・高精度を求めるユーザーに向けて、削り出しレシーバーや、調整可能なガスシステム、ステンレスバレル、3.5ポンド・シングルステージ・トリガーなどの各種パーツを自社で生産しています」
マネージャーの説明の通り、ブラックレインの高精度なプレシジョンスポーツライフルの評価は高い。この5.56mm口径カスタムARも、そうした高精度ライフルとして組まれた一挺であり、同社の高品質パーツがふんだんに盛り込まれている。繊細な3.5ポンド(約1.5kg)のシングルステージ・トリガーの引き心地は気持ちよく、弾丸が吸い込まれるように標的に向かっていった。
BRO-CUSTOM 5.56
パーツ構成
- 削り出しレシーバー
- 10.5インチ・クロモリバレル
- 10インチ・ハイブリッドM-LOKハンドガード
- BRO-ARISサイレンサー
- 塩浴軟窒化ボルトキャリアーグループ
- GIタイプトリガー
- Magpul製MOEグリップ
- MaximDefense製CQBストック
静粛なバッファースプリングを内蔵
軍や法執行機関のCQBを想定してカスタムビルドされたモデル。10.5インチのショートバレルに同社で人気のあるARISサイレンサーを組み合わせている。
このライフルを撃って気付いたのだが、AR独特の「ガシャン、ガシャン」というバッファーチューブ内の異音が無く、気持ちがよい。ブラックレインの完璧さへの追及は、バッファースプリングにまで及んでいた。このライフルはMaxim Defense製CQBストックに、JPエンタープライズ製サイレント・キャプチャード・スプリングを内蔵する。サイレント・キャプチャード・スプリングは高精度なバッファースプリングであり、静粛性と滑らかな動作を実現している。
いかがだろうか? これらはすべてAR15カスタムだが、組み合わせるパーツによって見た目や感触、撃ち応えは異なってくる。これもAR15の魅力といえよう。
後編ではAR-15カスタムによって生み出されたBLACK RAIN ORDNANCEのスナイパーライフルやPCCをご紹介するので、そちらもぜひチェックしていただきたい。
TEXT:笹川英夫
Special Thanks:
Mr. Clinton Caperton(Black Rain Ordnance)
Mr. Russell Burnside
この記事は月刊アームズマガジン2019年11月号 P.38~45より抜粋・再編集したものです。