エアガン

2020/09/21

【実射】元フランス陸軍兵士と共にベレッタ92比較実射!!

 

 2019年のIWAで発表されたBERETTA 92X PERFORMANCE。M9の最新改良型
M9A3はミリタリーユース向けなのに対し、M92Xは射撃に特化したモデルであった。前編のレポートではこの銃をじっくり比較したが、今回は実射と共に比較し、二挺それぞれの魅力に迫る。

 

前編のレポートはこちら

 


 

BERETTA 92X PERFORMANCE

 

 今回、実射を行なうのに協力してくれたのは、元フランス陸軍兵士のエリックだ。銃の運搬には許可が必要であるため、FMRの銃器エキスパートであるエリックが行なってくれるのだ。今回は彼にも撃ってもらい、その感想をレポートしよう。

 さて、いざ92X PERFORMANCEを撃ってみると、従来のベレッタ92とはまったく別次元の銃だと感じた。すぐにその重量とデザインからリコイルを見事にいなしているのがはっきりとわかるのだ。CZ Shadow2のフィーリングが最高だと信じる筆者から見ても、それに近いフィーリングなのだ。M9A3ではチャンバーからかなりの確率で火花が出たが、92X PERFORMANCEではこうした現象は起きなかった。

 

BERETTA M9A3

M9A3の実射シーン。こちらはエジェクションポートからしばしば火炎が漏れたが、92XPERFORMANCEでは起こらなかった。エリック曰く、ベレッタUSAのM9A3は気に入ったが、フランス製PAMAS G1の方がよくできている、とのこと

 

 M9A3は軽量で誰でも撃ちやすい、万人向けといえるフィーリングだ。トリガーは充分なトラベルとほどほどの重さがあり、不慣れな射手の暴発リスクを減らしている。そのため、トリガーを引くのに多少力がいるという欠点があるのだ。

 だが、コンペディションモデルの92X PERFORMANCEはそのトラベルや重さがない。そのため、トリガーフィーリング、コントロール性など撃ちやすさは、M9A3と比べてまさに別格なのだ。実射に参加したアドリアンはM9A3などのミリタリーユースを好んでいたが、92X PERFORMANCEを撃った後には驚きと興奮を隠せない様子だった。

 ちなみに、アドリアンには先月公開されたレポート、純フランス製オートマチックピストル「MAB PA-15」の実射も手伝ってくれている。そちらもご覧いただければ幸いだ。

 

純フランス製セミオートピストル「MAB PA-15」のレポートはこちら

 

BERETTA 92X PERFORMANCE

アドリアンによる92X PERFORMANCEの実射。彼は手が大きく、トリガーガードの前に指をかけるスタイルで撃つが、92X PERFORMANCEはこのスタイルにも対応。トリガーガード前方のフレームを抉り、極力ハイグリップのポジションにして安定させているのだ

 

BERETTA 92X PERFORMANCE

前後のセレーションはコッキングだけでなく、プレスチェックもやりやすくしてくれる

 

BERETTA M9A3

元フランス陸軍兵士のエリックは、92X PERFORMANCEの撃ちやすさを認めながらも、M9A3を選ぶ。その要因は「軽さ」だという

 

 最後にエリックに感想を聞く。彼はコソボやシリアでの従軍経験があり、ベレッタ92(PAMAS G1)はなじみ深い銃だ。その経験から彼はこう告げた。

 

「ベレッタ92 ってのは最初からアルミフレームで設計されているんだ。軽くなければ92じゃない」

 

 確かに歩兵にとってのメインウェポンは小銃であり、ピストルはあくまでサブウェポン。すなわち、軽い必要があるのだ。その点ではM9A3が秀でいている。

 M9A3はベレッタUSAの製品で、アメリカ軍の制式拳銃トライアルに参加し、アメリ
カ市場向けに投入されたモデル。一方の92XPERFORMANCEはイタリアのベレッタ本社が開発し、92のコンペティションモデルとして生まれた究極の進化形である。どちらも同じ92ファミリーで、同じカタログに載っているのに、これほどキャラクターが違うのが面白い。ベレッタの本気度を感じる92X PERFORMANCEは、ベレッタの長い歴史にその名を大きく刻まれるピストルになるのは、間違いないだろう。

 WEB版ではかいつまんだレポートになったが「月刊アームズマガジン10月号」ではこの実射比較の詳しいレポートが掲載されている。ぜひ、お手に取ってチェックしていただきたい。

 

 

Photo&Text:櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)

Special Thanks:FMR Unique Armory

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年10月号 P.128~135よりウェブ用に再編集したものです。

 

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