2020/02/21
【最新GUN事情・後編】スナイパーライフルの最新事情
毛野ブースカがアメリカ在住のリアルガンレポーターのSHINに、ガンやタクティクスに関する疑問、質問を聞いてみようというコーナー。今回のテーマは日本でも人気のあるカテゴリーである「スナイパーライフル」。アメリカにおけるスナイパーライフルの最新事情を語ってもらった。
【SHIN】 |
スナイパー技術の進化に大きく貢献しているのが「プレシジョンライフルシリーズ」と呼ばれる遠距離狙撃をモチーフにした試合を、全米を転戦しながら戦っていく新しい射撃競技です。戦技であるスナイピングを一定のルールに従って争うことで成立している戦技競技会になります。 |
【毛野】 |
競技射撃とすれば競うことで進化は早まりますね。 |
【SHIN】 |
プレシジョンライフルシリーズには実戦経験豊富な元ミリタリースナイパー、ハンターとして深い経験を持つシューターと軍人、民間人を問わず参加しています。勝つために必要な効率的で無駄のないデザインが費用を無視して開発され投入されるのが競技の場であって、そのため、公的機関が研究するよりもはるかに速いスピードで新しい技術が生まれ、テストされ淘汰されていっています。ここで生まれたのが先に紹介した.260レミントンや6.5クリードモアといった新型弾薬であり、高倍率のスコープやターレットデザイン、レティクルデザインといったハードウェアであり、これらはすでに米軍特殊部隊スナイパーをはじめ多くの先端部隊において実戦で運用されています。 |
【毛野】 |
プレシジョンライフルシリーズ等のスナイパー競技によって生まれた技術にはどのようなものがあるのでしょうか。 |
【SHIN】 |
先に紹介した環境を測定し弾道を計算するサポート機材の他に、ライフル自身にも大きな進化が加えられました。それまで競技射撃用に用いられていた微調整可能なアルミ製シャーシ型ストックがスナイパーライフルにも使用され始め、10発を超える装弾数の脱着式マガジン、そしてサプレッサーの使用も一般的になりました。 |
【毛野】 |
米軍に採用されている最新のスナイパーライフルを見ても、使用される弾薬やスコープ、シャーシシステムと呼ばれる新型のストック、標準的となったサプレッサーの使用も、10年前では考えられないまったく違う形になっていますね。 |
イスやタンクトラップをサポートにしての射撃のステージだが、様々なサイズのフロントバッグを使っての高さ調整。そしてリバースニーリングや、変則的なシッティングポジション等、臨機応変にステージにあわせて対応しなければならない。この部分が実戦的なプレシジョンライフルマッチの楽しさでもある。
ブッシュネル製LRTSスコープ。4.5〜18倍率可変の高倍率を持つ。10年ほど前までは10倍率のスコープがスナイパーライフルには装備さされていたが、今では5〜25倍率可変などが珍しくない。スコープもサプレッサーと同様にスナイパーライフルに起こった進化のひとつである。
【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】
競技がスナイパーライフルの進歩を支えているとは、非常に興味深い。しかも、弾薬や銃本体のデザインは言うに及ばず、その周辺機器においても競技が強く影響しているのだ。現在の銃器の最先端は、この射撃競技にあるのだ。
TEXT:SHIN、毛野ブースカ
PHOTO:SHIN
編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2020年3月号 P.148-151より抜粋・再編集したものです。