2019/12/19
オーストリアが誇る、ブルパップの最高傑作を紹介【後編】
AUGはオーストリアのステアーが開発したアサルトライフルだ。グリップより後方に機関部を持つブルパップ方式を採用し、ポリマーフレームを大胆に採り入れた現代的なアサルトライフルの先掛けとして登場。その信頼性の高さから今でもオーストリア軍やオーストラリア軍の制式小銃として君臨し、ブルパップの最高傑作と評価されている。後編である今回は、いよいよ実射シーンの登場だ。
今回は、オーストリアのエーデルワイス・アドベンチャー(EDELWEISS ADVENTURE)という訓練施設を訪れた。オーストリアの首都ウィーンには国連ウィーン事務局や国際原子力機関本部などがあり、これらを警備する国連独自のセキュリティ部門もこのエーデルワイス・アドベンチャーで訓練している。
AUG A1 COMPACTの射撃。機関部がグリップの後ろにあるブルパップは、一般的なアサルトライフルとはリコイルの具合も異なる。
16インチバレルにサプレッサーを付けても、一般的なアサルトライフルと比べれば充分に短い。ブルパップのデメリットを補って余りあるメリットと言えるだろう。
エーデルワイス・アドベンチャーのCEOであるアンドレアス氏はグロックに在籍していたこともあり、筆者とはその頃からの顔見知りだ。彼にオーストリアならではの銃を、とお願いしたところAUGの各種バリエーションを用意してくれた。やはり自国のライフルは大切にしているのだろう、と感心する。
A3 PARA XSの射撃。通常の.223仕様と比べマズルブラストは控え目だ。
せっかくオーストリアが誇るAUG使いの面々が揃っているので、ちょっとしたテクニックを教わった。そのひとつがタクティカルリロード。新しいマガジンの端でマグキャッチを押しつつ古いマガジンを前に押し出して落とし、素早く装填するというもの。ブルパップを使う際にはぜひ習得しておきたい。
まずは射撃してみよう。機関部は頬付けしているストックの内部にあるので、撃つごとに金属音が頬に伝わってくる。リコイルはストックと接触している肩と胸にうまく吸収されていく…そんな感触だ。ブルパップは確かに欠点はあるものの、それを補って余りあるメリットがあると信じている。特にこのAUGがその成功作であることを、エーデルワイスの面々に思い知らされたのであった。
【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】
一時は一世を風靡したブルパップ方式のライフルも、今では数えるほどしかなくなってしまった。その中でもAUGは生きながらえ、進化を続けている。リコイルの処理のし易さや、全長に占める銃身長の割合など、ブルパップ方式ならではのメリットは数多い。それこそがAUGの美点であるといえよう。
Text&Photo:櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)
編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2020年1月号 P.128-135より抜粋・再編集したものです。