実銃

2019/12/12

【前編】 SIG SAUER「P365SAS」【実銃レポート】

 

SIG SAUERを代表するサブコンパクトピストルと聞くと、多くの方がP230を思い浮かべるだろう。現在はアメリカ軍にM17として採用されたP320を参考にしたP365シリーズがその役を担っている。ここではP365シリーズの中でも2019年10月に発売されたばかりのP365 SASを紹介しよう。

 


米国では民間人のコンシールドキャリーが非常に一般的になった。一部の州を除き銃器を合法的に所持できる人物には、簡単なクラスと実技をパスすることによって、地元警察より「コンシールドキャリーパーミット」が交付される。

 

スミス&ウェッソンM442(写真左)は.38スペシャル弾を5発装填できる。対してP365 SAS(写真右)はさらに小さく薄型ながら、より強力な9mmパラベラム弾を10+1発装填できる。

 

職務によって積極的に銃撃戦に参加する必要のある法執行官と、護身のために生き残り、逃げるチャンスを得るために銃器を使用する民間人とでは、必要となる要素が異なってくる。日常生活を送る民間人にとって、銃器の存在は他者に脅威を与える要素になるので、よりコンシーラービリティ(隠匿性)が高くなければならない。

 

P365 SAS(SIG Anti Snag=シグ・アンチ・スナッグ)はその名のとおりスナッグフリー(引っ掛かりのない)なハンドガンを目指して開発された。コンシールドキャリーではパンツの中に装着するIWB(インサイド・ウエスト・バンド)ホルスターが多く使用される。この際、薄さと衣服などへの引っ掛かりのなさは重要なファクターとなる。

 

そのためにはより小型で、そして日常生活の邪魔にならないように軽量、薄型であることが望まれる。だが護身用とはいえ充分な威力が必要なため、最低でも9mmパラベラム弾を使用する必要がある。そして装弾数は多ければ多いほうが良い。

 

もっとも引っ掛かりやすいフロントサイトとリアサイトを廃止、変わりにFTブルズアイ・ファイバートリチウム・ナイトサイトをスライドに埋め込んだ。

 

スライドキャッチは指をかける部分を最小限にして、かつテイクダウンレバーはスクリュー式にすることで薄く仕上げている。

 

購入時には2本の10連マガジン(フィンガーレストあり/なし)が付属する。

 

【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】

近年は各銃器メーカーとも民間需要に即したコンパクトなモデルを多く世に送り出している。その中でも最新作であるP365SASは、コンシールドキャリーに特化したフィーチャーを数多く採用している。次回公開の中編では、そのメカニズムに迫る!

 

 

Text&Photo:Shin

編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年1月号 P.112-119より抜粋・再編集したものです。

 

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