エアガン

2019/11/09

実銃レポート「PISTOL,CALIBER .45,AUTOMATIC,M1911A1」【後編】

70年もの長きに渡ってアメリカ軍で使われた”GIコルト”

 

アメリカ軍に1911年から1985年の間、サイドアームとして配備されていたM1911ピストル、日本では「コルトガバメント」もしくは「ミリガバ」「GIコルト」としても知られるハンドガンのマスターピースの1つである。1911年にアメリカ軍に採用されたセミオートマチック式、.45ACP弾を使用するハンドガンがM1911であり、第一次大戦で

の経験から改良を加えられたモデルがM1911A1である。

 

「ミリガバ」の詳細を紹介!
「PISTOL,CALIBER .45,AUTOMATIC,M1911A1」【前編】はコチラ

 

今回CMPから入手したM1911A1はフレーム、スライド、そして多くのスモールパーツも恐らくコルトで1945年に製造された時のままの部品を使用してアーセナルリビルドされている

 

フレーム右側には「UNITED STATES PROPERTY M1911A1 U.S.ARMY」の刻印が打刻されている。

 

オリジナルの.45ACP弾は230gr(14.9g)弾を900ft/s(275m/s)で発射する威力を持っている。これは当時のアメリカ騎兵隊に使用されていた.45コルト弾とほぼ同等の威力を持っており、他国が求めていた将校用の護身用サイドアームではなく、戦闘に使用す

るためにハンドガンにも充分なパワーを求める当時のアメリカ軍の意識がうかがえる。

 

フィールドストリッピングした状態。構造は非常にシンプルであり、故障や破損の際には調整せずパーツの交換が行なえる。この「製品規格」の存在も第二次大戦中のアメリカ製武器における特徴の一つでもある。

 

シューティングインプレッション

74年前に生まれた銃であっても、もちろん問題なく射撃できる。.45ACP弾を5インチサイズのフルサイズ1911ガバメントで撃つのは特に楽しい。握りやすいグリップと扱いやすいトリガー。セーフティやマガジンキャッチ、スライドストップがあるべきところに絶妙なサイズで存在し、シュッとした5インチのスライドは自然にサイティングが決まる。撃っていてストレスがなく、また.45口径のドシンとした反動は射撃の楽しさを高めてくれる。

 

スライドを後方へと引き切り、パッと放す。マガジンスプリングやリコイルスプリングなどのテンションも絶妙であり、この銃がスプリングのテンションに頼らない、バランスのいいデザインで作られていることが感じられる。

 

実射では100発程度を射撃した。すべてスタンダードロードのラウンドノーズ.45ACP弾であり、作動不良は起こらなかった。

 

1896年に初めて量産されたオートマチックピストルであるマウザーC96がドイツで登場し、1908年にはルガーP08がドイツ帝国陸軍に採用されるなど、1900年前後は充分なパワーを持ち、信頼性に足りる実用的な軍用オートマチックピストルが誕生し始めた時代であるといえる。このような時代背景の中、アメリカ軍が1911年に採用したのがコルトのM1911である。M1911はアメリカ軍とともに第一次大戦、第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争を戦い、アメリカのアイコンとして定着した。同時期に登場した他の軍用オートマチックピストルが現在では第一線で使用されることのないアンティークとしての存在であるのに対し、M1911は基礎構造をまったく変えぬまま、100年以上がたった今でも改良が続けられ優れたピストルとして多くのシューターによって愛用されているのである。

 

【アームズマガジンウェブ編集部レビュー】

74年も前に生産された軍用ピストルが、このようなコンディションで保管され、尚かつ民間に放出されることが我々からは想像できない。が、それだけではなく何の問題もなく射撃できるとは…。洗練されたデザインや操作系は、未だに生き続けるレジェンドといえるであろう。

 

 

Text&Photo:Shin

編集部レビュー:アームズマガジンウェブ編集部

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年12月号 P.106-113より抜粋・再編集したものです。

 

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