2025/02/28
RUGER RXM ルガーの新型9mm自動拳銃
米国を代表する銃器メーカーであるルガーは、大手アクセサリーメーカーのマグプルと共同開発したグロックスタイルの自動拳銃RXMを2024年12月11日に発表した。単なるクローンではなく、モジュラー構造をはじめ各部が近代化された興味深い製品だ。
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ルガーのセンターファイア自動拳銃
1949年に.22口径自動拳銃をもって銃器業界に参入したルガーは、1980年代中期にセンターファイア自動拳銃の開発を開始した。この分野における同社初の製品は、1987年に発売された9mmのP85だ。スティール製スライドとアルミ合金製フレームを含む多くのパーツは鋳造ブランクから削り出されたもので、当時としては画期的な工法であった。初期不良のリコールと無償改修を経てP85マークⅡ/P89となり、低価格ながら堅牢性と信頼性をもつ9mm自動拳銃として官民問わずそれなりに売れたようだ。
ルガーPシリーズの撃発方式は外装式ハンマーでトリガーメカニズムはDA/SA(ダブルアクション/シングルアクション)、ディコッキング機能を備えたマニュアルセイフティの組み合わせが基本であったが、操作後にレバーが自動的に通常位置に戻るディコッキングオンリー仕様や、スパーレスハンマーをもつDAオンリー仕様も製造された。口径のオプションとして45ACPと40S&Wが追加され、スライドはスティールのブルー仕上げかステンレスの地肌、フレームにはブラックまたはグレーのアナダイズ処理が施されている。

Pシリーズ初の合成樹脂製フレーム仕様は、1996年に登場したP95だ。1999年には合成樹脂製フレームの45ACPであるP97が登場、2004年にはスリムなスライドやフレームをもつP345に更新され、これがPシリーズ最後の製品となって2013年に製造中止された。

ルガー初のストライカー撃発方式の自動拳銃は、2007年に登場したSR9だ。初期のものは安全性の問題でリコールされたが、トリガーセイフティが改良され、コンパクトサイズや他口径など豊富なバリエーションが展開されている。

ルガーがSRシリーズの後継自動拳銃の開発を進めていた頃、米陸軍ではM9の更新が検討され、MHS(モジュラーハンドガンシステム)と呼称されるプログラムの要求事項が公開された。グリップのサイズが変更可能で、各種装備の追加に対応、ストライカー撃発方式などというMHSの要求事項は、ルガーで開発が進められていた新型自動拳銃にも反映されている。これはルガーアメリカンピストルと命名され、2016年度の新製品として始められた。ルガー初のモジュラー構造をもつ自動拳銃で、グリップフレームからファイアコントロールインサートアッセンブリーを取り外せる。
ルガーは結局MHSトライアルへは参加しなかったが、膨大な費用をかけても採用されなければ水泡に帰すというリスクが熟慮された結果であろう。17(+1)連発の9mmのほか、10(+1)連発の45ACPに対応したやや大型のバリエーションも追加されている。

2018年にはSRシリーズが製造中止となったが、初心者にも購入しやすい価格に設定されたエントリーレベルのセキュリティナイン(Security-9)が登場した。内装式ハンマーをもつ撃発方式は同社の380ACPの小型拳銃である“LCPⅡ”をアレンジしたもので、スライド側面のコッキンググルーブやグリップエリアの滑り止めパターンにも共通性が認められる。名称からもわかるようにセキュリティナインの口径は9mmで銃身長は4インチ、標準マガジンの装弾数は15発となっており、入門者向けの価格とはいえキャリー/ハウスプロテクションとしてもパワーは十分だ。後には全長と全高を切り詰め、3.42インチ銃身と10連マガジンを備えたコンパクトモデルも追加された。
