2025/12/15
ヘルワン ブリガディエ Helwan Bregadier 951

Gun Professionals 2020年6月号に掲載

▶エジプトのベレッタ
今月はHELWAN(ヘルワン)をネタに持ってきた。ベレッタのモデル1951のコピー銃だ。
自分は以前から、元ネタのベレッタのほうに結構な興味があった。シンプルで古めかしくて、ベレッタらしいおっとりした姿に魅了されていたのだ。アル・パチーノ主演の映画『スカーフェイス』(83年)で見せた過激な姿やら、スピルバーグ監督の『ミュンヘン』(05年)での地味カッコイイ感じも良かった。そして何より、モデル1951はベレッタ初のショートリコイル銃であり92シリーズの原点である。その意味でもそそられるものが大いにあった。
ガンショー等では、モデル1951はそれなりに骨董なためかあまり見かけない。たまに出ても、状態は劣悪なのに値段だけ変に高かったりで手を出しにくい。現在の相場は、程度中でも500ドルくらいか。今、行きつけのショップに一挺あり、450ドルの正札だ。全身をつや消しにリフィニッシュされてしまっていながらそのお値段。コレはさすがに買う気がしない。
一方で、モデル1951への興味から、そのエジプト製コピーであるヘルワンも自分は同時に物色していた。出会う比率としては、8対2ほどの割でヘルワンが断然多い。自分は一応ベレッタ優先としつつ、出たとこ勝負で回っていたらコピーのほうが先に来たというワケ。
購入場所はHavelockのガンショーだ。マガジン2個付き(1個はTriple Kのアフターマーケット物)で220ドルの表示。とりあえず手に取ると、グリップに見事なクラックが見えた。あきらめて流そうとしたら、「待て、200でどうだ」とおっしゃる。再度手に取り、「180ドルなら」と値切ったら「OK」で商談成立となった。計40ドル落ちれば、替えグリップ分はきっとカバーできる。「でも、調子はイマイチだよ」と、隠さず自己申告してくれた部分も気に入った。自分としてはネタの部分が大きいし、しばらく所持してしっくりこなければ売り払えば良いと判断した次第だ。
さて、ヘルワンを語る前に、やはり元ネタのベレッタにもうちょい触れねばなるまい。
ベレッタのモデル1951は、ワルサー譲りのフォーリングブロックロッキングシステムを備えた、9mm口径8連発のわりとシンプルなシングルアクションオートだ。1949年に誕生し、80年まで生産された。当初は軽合金フレームで試作され、強度が軍用に適さないということで鉄フレームに変更になったと手元の資料にはある。51年に自国イタリアの軍に採用され、同国海軍の特殊部隊であるCOMSUBINでも使われたほか、州警察等でも使用。さらに、エジプト、シリア、イスラエル、リビア等々の中東の多くの軍隊でも採用を勝ち取り、一応の成功を収めた。設計は同社のモデルを多く手掛けたトウオーレオ・マレンゴーリ。他国での採用の広がりとともにライセンス生産も進み、その流れで出てきたのがヘルワンとなる。
そしてヘルワンは、エジプトのAl Maadi社の製品だ。同社は軍事物資を広く生産する軍需会社。ヘッドクォーターはカイロにある。エジプト軍がモデル1951を採用した関係でライセンス生産を開始。中東のアラブ諸国への輸出にも充てた。現在同社はAK-47のコピーなどを製造中。ヘルワンの名はどうやら銃器類のブランド名らしい。米国へは、80年代後半から95年までInterarms(インターアームズ)およびNavy Arms(ネイビーアームズ)を通じて入った。最終価格は300ドルほど。ちなみにイラクでも同じようなコピーが造られ、それは“Tariq”(タリク)と呼ばれている、と言ったところが背景だ。


