2025/11/01
東京マルイ P320 FULL SIZE テストレポート by Hiro Soga

10月9日発売の東京マルイ製P320 フルサイズについて、海外実銃レポートと同等の詳細なレポートをお送りする。これが現在考えられる最高レベルのガスブローバックであり、日本で所持できる最も完成度の高いP320だからだ。
*諸般の事情で掲載が当初の予定より、3週間近く遅れました。深くお詫び申し上げます。
*それぞれの画像をクリックするとその画像だけを全画面表示に切り替えることができます。画面からはみ出して全体を見ることができない場合に、この機能をご利用ください。
こだわりが詰まったP320
実銃の世界では何かと話題のP320だが、2025年5月の静岡ホビーショーで東京マルイ製エアソフトガンのP320プロトタイプを手にした際、驚きのあまり固まってしまった。
若いころ日本からアメリカに渡って定住、実銃の世界にどっぷりと浸かってきた私だが、近年は諸般の事情で日本に滞在する機会がかなり増えている。そんな私にとってエアソフトガンは、0.2g程度のBB弾をかなり正確に、かつ安全に飛ばしてくれるトレーニングツールであり、実銃が持てない日本でも「撃って当てる」という、最早私の生き甲斐となってしまった生活基盤を満たしてくれる貴重なツールなのだ。
ただ今回私が驚いてしまったのは、その“フィール(Feel:触れて知る感覚)”であった。私もUSで3挺のP320(XFIVE,コンパクト, M17)を所有しており、結構撃ち込んでいるほうだと思うのだが、握った感覚やマニュアルセイフティのクリック感、そのトリガープルの始まり方やレットオフ(切れ具合)の感じなど、それらの触感が酷似しているという部分に驚いたのだ(トリガープルは、実銃よりはかなり軽いものではあるが)。
特にアンビセイフティのクリック感は、実物の再現といっても過言ではない。押し上げる際の重さ、キレの小気味良さ、節度感、そのどれをとっても実物に限りなく近いのだ。
そしてさらに驚いてしまったのは、精度の高い東京マルイクオリティでBB弾を飛ばすというエアソフトガンでありながら、各部の再現性がこだわり抜かれているという点であった。
中でも顕著なのが、このP320の大きな特徴である“モジュラーシステム”の心臓部ともいえる“FCU(ファイアリングコントロールユニット)”の存在だ。まずフレーム(P320やP365の場合、フレームとはこのFCUを指す)の材質こそダイキャスト製(実物はスティール:形状の互換性はない)だが、フレームのデザインがそっくりな上に、トリガーバー、テイクダウンレバーバー、ディスコネクターといったパーツのデザインが限りなく似ている。つまりFCU単体で比べてみても、その外観は見間違うばかりなのだ。加えてエアソフトには全く必要ないエジェクターまで再現されているという“こだわり”が凄い。
もう一つ気付いてしまった点がある。ハンマーが見当たらないのだ。これまで東京マルイG17 Gen5を愛用してきたが、こいつにはスライドを外すと、フレーム後部に銀色に輝くハンマーが鎮座している。エアソフトではマガジンにあるバルブをたたくという必然上、こういったストライカースタイルのモデルでも“インナーハンマー”と呼ばれる撃鉄を内蔵しているのが常だが、このP320にはそのハンマーが見当たらないのだ。
これは後にエンジニアから説明されてわかったのだが、FCUのデザインを壊したくないというのと、スライド内にあるピストンのストロークを長く取る目的で、東京マルイとしては初の“アンダーハンマー”方式を採用し、ただでさえスペースのないFCU内にハンマーを組み込んでしてしまった。


